メルセデス・ベンツ日本は10月23日、同社初となる4輪独立モーター式EVの「G 580 with EQ Technology Edition 1」を発表しました。2024年11月より納車を開始する予定で、価格は2635万円から。
44年の歴史を持つGクラスの電動化は、単なるパワートレインの置き換えにとどまりません。4輪それぞれに最高出力108kWの永久磁石同期モーターを搭載し、システム合計で最高出力587PS(432kW)、最大トルク1,164N・mという、従来のAMG G63のV8エンジンを上回る圧倒的なパフォーマンスを実現しています。
注目すべきは、この4輪独立モーターを活用した革新的なオフロード機能です。その場で最大2回転できる「G-TURN」や、後輪軸を中心に小回りを可能にする「G-STEERING」といった、内燃機関車では実現できない新機能を搭載しています。伝統的なオフローダーの価値を損なうことなく、電動化ならではの新たな走破性を付加することに成功しています。
メルセデス・ベンツがXへ投稿したCESでのG-TURN映像
バッテリーは116kWhの大容量ユニットを採用しています。最大4mm厚のスチール製ラダーフレームに組み込まれ、車両の低重心化と車体剛性向上に貢献します。WLTCモードでの一充電走行距離は530kmを実現。充電は150kWのDC急速充電に対応し、バッテリー残量10%から80%までを41分で充電できます。
オフロード性能面では、最大渡河水深850mmと内燃機関モデルの700mmを上回る性能を確保しています。バッテリーは泥や水の侵入を防ぐ専用ケースに収められ、カーボンファイバーを含む複合素材で作られた26mm厚のアンダーボディプロテクションで保護されています。
室内では12.3インチのデジタルメーターパネルと同サイズのセンターディスプレイを採用しています。最新世代のインフォテインメントシステム「MBUX」を搭載し、オフロード走行時の車両姿勢や各種情報を直感的に確認できる専用ディスプレイモードも用意されています。
外装デザインは、スクエアなボディやフロントフェンダーのウインカーレンズなど、Gクラスの伝統的なデザイン要素を継承しながら、後端を持ち上げたボンネットフードやリアホイールアーチのエアカーテンなど、EVならではの空力性能を高める要素を随所に織り込んでいます。
市場投入されるEdition 1は、AMGラインパッケージを標準装備としています。サイドのブルーアクセントやブルーステッチ入りのナッパレザーシート、ブルーアクセントが織り込まれたAMGカーボンファイバーインテリアトリムなど、電動Gクラスならではの特別な内外装デザインを採用しています。
メルセデスは新規EV購入者向けに、5年10万km保証の「EQケア」や、1年間の充電サービス「Mercedes me Charge」を無償提供。高電圧バッテリーについては8年16万km以内で、容量が70%を下回った場合の保証も付帯します。
電動化によって44年の歴史を持つGクラスは、その伝統的な価値を損なうことなく、むしろEVならではの新機能によってオフロード性能を進化させることに成功しています。次世代のオフローダーとしての新たな可能性を示す意欲的なモデルと言えるでしょう。