充電サービス

UR都市機構、賃貸住宅団地へのEV充電設備導入を本格展開

EV充電設備の導入計画を進めるUR都市機構

 独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)は、賃貸住宅団地におけるEV充電設備の導入を本格化させています。2023年1月の初の試行導入から段階的に展開を進めており、今後、新たに9物件への導入を予定。EVcafeは、UR都市機構に取材し、同機構のEV充電器設置についての取り組みをお聞きしました。

東京のUR団地へ初のEV充電設備を設置

 UR都市機構は、URの団地内駐車場へのEV充電設備の導入検討を進め、2023年1月には、東京都内初のEV充電設備の試行設置をひばりが丘パークヒルズ(東京都西東京市・東久留米市)で実施。都心部への通勤者が多く、ファミリー層のEVニーズが見込めるひばりが丘パークヒルズにおいて、自走式駐車場の2階に最大出力6kWのパナソニック社製普通充電器2台を設置し、EV充電設備付き駐車場の契約者が専用利用できる「プライベート型」として運用を開始しました。

UR都市機構が東京都内で初めてEV充電設備を設置したひばりが丘パークヒルズ
UR都市機構が東京都内で初めてEV充電設備を設置したひばりが丘パークヒルズ

 同充電設備は、EV充電事業者のユアスタンドが運営を実施。利用料金は月額550円(税込)で、6kW対応車両1時間150円~最大300円(25~50円/kWh)、3kW対応車両1時間75円~最大150円(25~50円/kWh)の充電都度利用料が必要となります。UR都市機構によると、ひばりが丘パークヒルズへの充電設備導入決定のポイントの一つには、団地外部からの電力の引込みの容易さがありました。

 続いて2024年2月には、同じくユアスタンドの運営によって、東京都23区の哲学堂公園ハイツ(中野区・新宿区)、すまいる⻲有(葛飾区)の平面式駐車場と千葉県のヴェルディール市川南(市川市)の自走式駐車場に各1台、最大出力6kWの日東工業社製普通充電器を導入しました。これらの物件では、ひばりが丘パークヒルズと同じ料金設定(超過料金は分単位決済で1時間900円)で、充電をするタイミングで駐車場契約者が共同の充電スペースを利用できる「セミパブリック型」を採用。利用形態による需要の違いを検証しています。

すまいる⻲有の平面式駐車場では、「セミパブリック型」を採用して利用形態による需要の違いを検証
すまいる⻲有では、「セミパブリック型」を採用して利用形態による需要の違いを検証

EVシェアが拡大している中部エリアへの導入

 2024年4月には、乗用車保有台数が全国トップクラスで、近年、電気自動車のシェアが拡大している愛知県において、UR都市機構による中部エリア初のEV充電設備をアーバンラフレ鶴舞公園(名古屋市中区)に設置。同物件での運営はEV充電事業者のユビ電が担当し、自走式駐車場2階に20台のプライベート型充電器を導入しました。

 利用者は、ユビ電のWeChargeアプリをダウンロードして、通常の月額駐車場料金に加えて、月額EV充電設備利用料2000円と電力量(kWh)に基づいた充電サービス料の支払いが必要となります。同物件に設置されたパナソニック社製の3kW普通充電200Vコンセントでは、1時間の充電で約20kmの走行が可能。日本自動車工業会の調査による1日あたりの平均走行距離(約20km)をカバーできる仕様となっています。

 アーバンラフレ鶴舞公園では、入居者や入居検討者が「充電の心配をせずに安心できる環境」を提供する目的があり、実際にEV充電設備に関する利用検討の相談や新規入居検討時での問い合わせも増えつつあるといいます。

20台のプライベート型充電器を導入したアーバンラフレ鶴舞公園
20台のプライベート型充電器を導入したアーバンラフレ鶴舞公園

居住者の生活に配慮したEV充電設備設置計画

 今回のUR都市機構でのEV充電設備の導入は、設置から管理運営までのすべてを公募により選定された充電サービス事業者が実施する形で進められています。事業者の選定にあたっては、対象団地や利用タイプなどをUR都市機構が決定した上で事業者の公募、EV充電設備の管理運営実績や適合性などを総合的に判断して決定します。

 また、設置工事では、入居者への配慮を重視。電力の引込み位置や配線経路を工夫し、既存の契約車室への影響を最小限に抑える工夫を行うとともに、集合住宅という特性を考慮し、夜間・早朝工事を避けるなど、居住者の生活環境への配慮を徹底しています。

 UR都市機構は、今後新たに9物件の導入を計画。東京都の経堂赤堤通り(世田谷区)、フレール西経堂(世田谷区)、武蔵野緑町パークタウン(武蔵野市)、千葉県の幕張四丁目(千葉市)、埼玉県のコンフォール鶴瀬(富士見市)、愛知県の大幸東(名古屋市)、大阪府のアルビス池田(池田市)、福岡県のアーベインルネス大橋(福岡市)、アーベイン大濠(福岡市)への導入が予定されています。

 UR都市機構は、「今後も脱炭素社会実現に向けた国内外の動向を踏まえつつ、適切にEV充電設備の設置を進めていく方針です。各物件の特性やニーズに応じた充電設備の導入を通じて、入居者の利便性向上と環境負荷低減の両立を目指していきます」としています。

メイン画像:ひばりが丘パークヒルズのEV充電設備付き駐車場

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