日産自動車が2025年3月に実施した「EVと充電環境に関する調査」によると、自宅に充電設備がないことを理由に電気自動車(EV)の購入を断念した消費者が52.2%に上ることが明らかになりました。この調査は、2025年4月から施行された、東京都による新築集合住宅のEV充電器設置義務化に向けて、1都3県の集合住宅に住む500名を対象に実施されました。

調査結果では、集合住宅でも自宅充電が可能であればEV購入意向が高まると回答した方が74.4%と、住環境がEV普及の重要な要素となっていることが浮き彫りになりました。この傾向は「集合住宅に充電器が設置されてから、EV利用者が増えたと感じますか」という質問で、63.7%が「そう思う」と回答していることからも明らか。身近な充電環境の整備がEV普及に不可欠であることが示されています。


EVを保有したいと考える人のうち、半数が「3年未満に購入を検討している」と回答する一方、購入を躊躇する理由としては「費用が高額」(59.4%)に次いで「自宅で充電できない」(56.2%)が挙げられました。この「自宅で充電できない」ことで実際に購入を諦めた人が52.2%と半数を超えており、住環境の整備がEV市場拡大の重要課題となっています。


東京都が2025年4月から導入した、一定規模以上の新築マンションへのEV充電器設置義務化について、その認知度がわずか41.2%にとどまっていることが判明。全国でも先駆けとなるこの制度について、58.8%が「知らない」と回答しており、制度の周知不足が浮き彫りになっています。
また、2024年に国土交通省が「マンション標準管理規約」を改正し、EV充電器設置の合意要件を「4分の3」から「過半数」へと緩和した点についても、68.6%が「知らない」と回答。制度改正が生活者に十分浸透していない実態が明らかになりました。
一方で、こうした義務化により62.0%の人がEVの購入意向が高まると回答しており、制度の周知徹底が今後のEV普及を大きく左右する可能性があります。

「既存の集合住宅に充電設備を設置するサービス事業者があるのを知っていますか」という質問でも、60.8%が「知らない」と回答しており、EV充電インフラの整備に関する情報や選択肢の周知不足が明らかになりました。
EVを検討する理由としては「環境にやさしいから」(26.2%)が最も多く、次いで「ガソリン価格の高騰」(21.8%)が挙げられました。「昨今のガソリン高騰により、EVへの切り替え意向は高まりましたか」という質問に対しては、73.0%が「そう思う」と回答しており、環境意識とともに経済的要因もEV関心の高まりに影響していることが示されています。

「充電設備が整えば、EVの普及は加速すると考えますか」という質問では、73.8%が「そう思う」と回答しており、充電インフラの整備がEV普及の加速に直結することを示唆しています。

このような状況下において、業界全体では動きが活発化しており、ENEOSや東京電力などエネルギー企業によるマンション向け充電サービスへの参入が始まっています。今後この分野での競争が激化し、集合住宅向けの充電ソリューションが多様化していくことが予想されます。
日本におけるEV保有率は依然として低水準にとどまっている中、「充電インフラの不足」、特に集合住宅における自宅充電環境の改善が最重要課題として浮上しています。4月からの東京都の条例施行を皮切りに、他の自治体でも同様の動きが広がりつつある中、今後のEV市場の発展に向けた住環境整備と消費者啓発の重要性は一層高まっています。