CATLは2025年5月7日、ドイツのミュンヘンで開催されたees Europe 2025において、世界初となる9MWh超大容量エネルギー貯蔵システム「TENER Stack」を発表しました。
TENER Stackの最大の特徴は、その内部容量が最大9MWhに達する点。これは150台のEVを一度に充電可能な容量であり、ドイツの平均的な家庭に約6年間電力供給できる量に相当します。

EV普及が加速する中、充電インフラの容量と効率性は常に課題となっています。TENER Stackのような大容量システムは、ピーク時の電力需要を管理し、グリッドへの負荷を分散させる重要な役割を果たす可能性があります。
また、再生可能エネルギーの変動性を補完する役割も期待されます。太陽光や風力発電からの余剰電力を貯蔵し、需要ピーク時や発電量の少ない時間帯に放出することで、EVの真の意味での「グリーン充電」を実現するインフラとなることが可能です。

TENER Stackは、CATLが開発した高エネルギー密度セルと5年間劣化ゼロ技術を採用し、従来の20フィートコンテナシステムと比較して体積利用率を45%向上、エネルギー密度を50%増加させています。
この空間効率により、800MWhのストレージ配備に必要なコンテナ数は、従来の6MWhシステムと比較して約3分の1に削減されます。電力変換ユニットの数を減らし、土地利用効率を40%向上させることで、総建設コストを最大20%削減することが可能です。

「TENER Stackは、単なるエネルギー貯蔵製品ではなく、グローバルに適用できるエネルギーアクセシビリティのソリューションです」とCATL ESS欧州のCTOであるハンク・ジャオ氏は述べています。「9MWhはエネルギー容量やスペースの限界ではありません。将来のエネルギー密度の向上により、より小さな設置面積からさらに大きなエネルギー価値を引き出すことができるでしょう」