欧州におけるテスラの完全自動運転(FSD)が、一歩前進しそうです。欧州での規制障壁が緩和され、2025年9月から高速道路でFSDの一部が利用可能になる見通しとなったと、NotATeslaAppが報じています。

イーロン・マスク氏は5月12日、自身のXアカウントで「テスラはEUの承認を待っています(ため息)」と投稿しました。欧州でのFSDの進展が、北米より大幅に遅れている現状へのガッカリ感がにじみ出るポストです。
国連欧州経済委員会(UNECE)の最新会合によると、「システム主導の操作」(SIM)を可能にする規制改正が2025年9月26日に発効する予定。この情報はXでKees Roelandschap氏が明らかにしました。この規制変更はUNECE規則171の改正に関するもので、2025年3月のWP29世界フォーラムで正式に採択されていたものです。
「システム主導の操作」が認められることで、テスラ車は運転者の監視のもと、高速道路での車線変更などを自律的に行えるようになります。これは、現行の規制よりも大幅な前進です。これまでは、車から提案された車線変更などの動作について、運転者が自身で操作を開始する必要がありました。
これにより、北米や中国で導入されている「ハンズオフ、アイズオン」アプローチに近づくことになりますが、欧州版には制限もあります。この規制は高速道路のみに適用され、市街地での利用は引き続き認められません。つまり、FSDの「駐車場からの出発」や「目的地の駐車スペースへの到着」などの機能は、欧州ではまだ利用できないことになります。

さらに、UNECE規制では運転者の監視と注意力に関する要件が厳しく、ハンドルを握る必要があるなどの制約は残る見込みです。
ヨーロッパでも、ノルウェーなど一部の国では公道でのFSDテストが承認されていますが、一般ユーザーが広く利用するためには、UNECEの統一規制が鍵となります。

北米との完全な機能一致にはまだ長い道のりがありそうですが、「システム主導の操作」の実装は欧州のテスラオーナーにとって大きな一歩となります。9月の予定通りに進めば、欧州でもFSDの一部機能が利用可能になる見込みです。