ポルシェは6月17日、同社のハイパフォーマンスEV「タイカン ターボGT」が米国ジョージア州のロードアトランタサーキットとUAEのヤスマリーナサーキットで量産電気自動車のラップレコードを更新したと発表しました。
ロードアトランタサーキット(全長4.088km)では、「タイカン ターボGT with ヴァイザッハパッケージ」が1分27秒1を記録しました。これは同サーキットで2020年にタイカン ターボSが記録した1分33秒8を6.7秒上回っています。

記録走行は気温約24度の変わりやすい天候条件下で実施され、コースには部分的に湿った箇所が残っていました。ドライバーを務めたパトリック・ロング氏(ポルシェ・カーズ・ノース・アメリカ ブランドアンバサダー)は走行後、「正確なステアリング操作は期待していましたが、ポルシェ アクティブライドシステムが車体の挙動をこれほど完璧に補正するとは思いませんでした」と語りました。

ヤスマリーナサーキット(全長5.281km)では、日中の高気温を避けて夜間に記録走行が実施されました。ラメズ・アザム氏の運転により2分7秒2を記録し、UAE モータースポーツ協会(EMSO)がヤスマリーナのフルGPサーキットにおける量産BEV記録として公式認定しました。この記録は同サーキットのツーリングカー記録から1.1秒差となっています。

記録走行時の気温は約28度でした。アザム氏(UAE在住GTレースドライバー)は走行後、車両のサスペンションとブレーキ性能について高く評価しています。

タイカン ターボGTは今回以外にも複数のサーキットで記録を更新しています。2025年2月にはフェリペ・ナスル氏がブラジルのインテルラゴスF1サーキットで1分42秒1を記録しました。
ポルシェの開発ドライバーであるラース・カーン氏は、2024年10月に上海インターナショナルサーキットで2分11秒2を記録したほか、2024年春にはウェザーテック・レースウェイ・ラグナセカで1分27秒8を記録しています。
ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェでは、カーン氏がプリプロダクション版で7分7秒5を記録。これは2022年8月に同氏がタイカン ターボS パフォーマンスパッケージで記録したタイムを26秒上回っています。
タイカン ターボGTは「標準モデル」と「ヴァイザッハパッケージ」の2仕様で構成されています。

リアアクスルには炭化ケイ素を半導体材料としたパルスインバーターを採用し、両モデルとも1100PS超のピークパワーを発生します。「アタックモード」により最大10秒間、最大120kWのパワー増加が可能で、この機能はポルシェのフォーミュラE参戦車両と同様のシステムです。
車両重量はタイカン ターボSと比較して最大75kg軽量化されており、カーボンファイバー部品の採用が軽量化に寄与しています。ヴァイザッハパッケージ仕様では、リアベンチシートが省略されています。
また、両モデルにはGT専用チューニングが施されたポルシェアクティブライドサスペンションが標準装備されます。

