米調査会社JDパワーが発表した「2025年米国電気自動車体験(EVX)公共充電調査」によると、テスラのスーパーチャージャーネットワークがDC急速充電部門で5年連続の顧客満足度首位を獲得しました。1000点満点で709点を記録し、前年から22ポイント下落したものの、依然として業界の圧倒的リーダーとしての地位を維持しています。
同調査は充電の容易さ、充電速度、充電ステーションの物理的状態、充電器の利用可能性、立地の利便性、充電中の過ごしやすさ、場所の安全性、充電器の見つけやすさ、充電料金、支払いの容易さの10項目で満足度を測定しており、EVドライバー向けアプリ・調査会社プラグシェアと共同で実施。2025年1月から6月にかけて、BEVとプラグインハイブリッド車のオーナー7428人を対象に行われました。
調査では、公共EV充電ステーションでの「非充電訪問」(充電ステーションを訪れたものの充電できずに立ち去ること)が過去4年間で最低水準に達したことも明らかになりました。JDパワーが調査を初めて実施した2021年には、公共充電に失敗したEVドライバーはわずか13%でしたが、その後20%に増加していました。今回は、EVオーナー全体の14%が「充電せずに立ち去ったことがある」と回答し、前年から5ポイント改善。充電インフラの信頼性向上が示されています。
特に注目すべきは、テスラ・スーパーチャージャーの非充電訪問率がわずか4%と、全ての充電ネットワークの中で最も優秀な数値を記録したことです。他の事業者では、エレクトリファイ・アメリカが6%、Red Eが10%、EVgoが12%となっていて、テスラの信頼性の高さは際立っています。

メルセデス・ベンツ充電ネットワーク、リビアン・アドベンチャー・ネットワーク、フォード・チャージなど非テスラ自動車メーカー運営のネットワークが3社合わせて709点を獲得し、テスラと同水準の満足度を達成したことも注目されます。これらのネットワークは限定的な展開のため今年の順位対象外でしたが、自動車メーカーがテスラから学んだ教訓を有効活用していることを示唆しています。一方、より幅広い顧客層をターゲットとするサードパーティDC急速充電プロバイダーの顧客満足度は平均591点にとどまりました。

JDパワーEV部門のブレント・グルーバー責任者は「NEVI(国家電気自動車インフラ)資金がない中でも、業界はEVエコシステムの様々なステークホルダー、特に自動車メーカーと充電ネットワークによる協調した取り組みにより、顧客の公共充電体験を改善している」と米国のEV充電インフラについて評価しました。
ドナルド・トランプ大統領は、2025年2月に、NEVIプログラムへの資金提供を凍結し、EV充電器への数百万ドルの支出を停止しましたが、8月にはガイドラインを改訂し、NEVIの50億ドルの資金を州政府引に続き配分することを許可しています。
しかし、充電料金への満足度はDC急速充電器、レベル2充電器ともに16ポイント下落し、それぞれ430点、459点となりました。DC急速充電利用者にとって、調査対象10項目の中で充電コストが最も不満の大きい要素となっています。
グルーバー氏は「満足度低下の一因は、非テスラオーナーがテスラスーパーチャージャーを利用する際、テスラオーナーと比べて料金に見合わない体験となっていることです。以前は多くのDC急速充電ネットワークが市場参入のため料金を低く設定し、自動車メーカーも購入特典として無料充電を提供していましたが、インフラ市場の成熟と電気料金上昇により、充電価格が大幅に値上がりしています」と分析しました。

レベル2充電部門では、テスラ・デスティネーションチャージャーが2年連続で首位を獲得し、661点を記録しました。2位はチャージポイント(628点)が続きました。
