中国政府が一般向け乗用車として初めてとなるレベル3の自動運転ライセンスを発行しました。2025年12月15日付けの中国系自動車メディア各社が報じています。ライセンスを取得したのは国有自動車メーカーの長安汽車と北京汽車(BAIC)の2社で、対象車両は長安汽車の「ディーパルSL03」とBAIC傘下の「アークフォックスS」です。
レベル3の自動運転は、特定の条件下でドライバーがハンドルから手を離したり、道路から目を離したりすることが許される段階を指します。ただし今回のライセンスには厳格な条件が付いており、本格的な商用展開前の試験運用段階と見られています。

中国では今年初め、シャオミSU7による死亡事故で3人の学生が犠牲になる事例が発生しました。事故当時、車両は自動運転支援システムで制御されていました。この事故を受けて中国の工業情報化部は、「自動運転」「無人運転」といった誇張的な用語の使用を禁止し、代わりにSAE(米国自動車技術会)の自動化レベル分類による正確な表記を義務付けました。
autoevolutionの記事によると、今回ライセンスを取得した2車種は、それぞれ長安汽車の本拠地である重慶市とBAICの本拠地である北京市の指定エリア内でのみレベル3システムを使用できます。速度制限は重慶で時速50km、北京で時速80kmです。使用できる道路は限定されており、各社のライドシェアリング部門での運用が許可されています。

中国は自動運転技術の開発で世界をリードすることを目指しており、公道での試験を厳格に管理することで国有企業に優位性を与えています。現時点では民間のEVスタートアップ企業はレベル3ライセンスを取得していません。なお中国当局は、レベル3システムが故障して事故を起こした場合、メーカーとサプライヤーに責任を負わせる方針を示しています。

