EVcafeで考える 第6回
byがす
イーロン・マスク「テスラの長期的な競争上の優位性は製造になる」
(2020年のCleanTechnicaでのインタビューから)
こんにちは、がすです!
テスラと聞くとアップデートされるアプリや自動運転のAIなどといった、ソフトウェア重視の印象が強いかも知れませんが、実はそうではありません。
有名な話ですが、かつてイーロン・マスクは、世界最安値となる3万ドルE Vを目指し、従来のモデルSやXよりも安く大量生産しようとした「モデル3」の製造で、地獄を味わいました。
イーロン・マスクは、モデル3の大量生産の過程で、なぜ製造機械が思い通りに機能しないのか? なぜ部品の位置がずれるのか? なぜ製造機械の動きが遅いのか? 等々、エンジニアたちと一緒に「地獄」のような日々の中で、大量生産できる工場作り、製造機械から機械のソフト(イーロン・マスクの言葉によると、工場のシステムには、自動車よりも多くのソフトウェアが搭載されているとのことです)に至るまで、週末も工場内で寝泊まりをして、あらゆる改善を続けました。
これが俗にいう「Production Hell」(生産地獄)です。
イーロン・マスクは、この「生産地獄」の経験で、車(EV)そのものと同様に、「車を作る機械である工場」が大切であることに気が付きます。その後、イーロン・マスクは工場(ギガファクトリー)のことを「マシンを構築するマシン」と好んで表現するようになりました。
イーロン・マスクが、スペースXという宇宙航空の会社も成功させているのは有名ですが、ロケット工学を本などで独学していて、スペースX社内では、筋金入りのロケットエンジニア達と議論できるという話もまた有名です。
テスラとスペースXの両方で実際にチーフエンジニアを務めているイーロン・マスクは、EVやロケットのエンジニアリングに詳しいだけでなく、同様に、「生産地獄」を通して得た経験によりEVを作る「工場」そのものについても造詣が深いと言うわけです。
その工場(マシンを構築するマシン)の仕組みと大切さを理解しているイーロン・マスクは、テスラのEVと同じように、工場(マシンを構築するマシン)に対してもイノベーションに取り組んでいます。
そのためテスラはEV製造と同様に、工場での製造も物理学的にその方法が最善であると考えるのであれば、従来からの常識にとらわれずに、新しいスタイルの自動車製造方法を取り入れます。
その最たるものがテスラの「ギガプレス」です。
世界最大の鋳造マシンを活用した「ギガプレス」
「ギガプレス」とは、簡単に説明すると、超巨大な鋳造マシン(ダイカストマシン)を使って、その金型にアルミ合金を流し込んで、ひとつの大きな部品を作ってしまうという手法です。通常は70個の鋳物で作る車体のフロント部分をたった1つの部品に置き換えます。
テスラはこれを「ギガプレス」と呼んでいますが、プレスと言うとプレス機みたいですが、中身は鋳造マシン(ダイカストマシン)のことです。
このテクノロジーの最大のメリットは高品質化とコストダウン(最大40%のコスト削減が可能とのこと)です。ギガプレスを使用することで部品が大幅に減り、その製造ロボットが減り、工場規模が縮小され、製造スピードもアップするのです。
「革新的なテスラの自動車製造方法。他メーカーが有効活用するのが難しい本当の理由とは? 後編『自動車業界の概念を破壊したギガプレス』」では、ギガプレスの驚くべき効率性と、他メーカーがそれを導入できても有効活用するのが難しい本当の理由を、テスラギガプレスの内部動画とともに解説します。
「革新的なテスラの自動車製造方法。他メーカーが有効活用するのが難しい本当の理由とは?
後編『自動車業界の概念を破壊したギガプレス』」へ続く。
がす(来嶋 勇人)
福岡県出身。(株)ファミリーマートのマーケティング本部でアプリやコーヒーのパッケージを作っていたが早期退職。無職になりテスラでハローワークに通い見つけた会社に入社。そこでゼロからスタートし、そこの関連会社の社長に抜擢され就任。現在はECやアニメーション事業を行っている。
プライベートでは2024年からイーロン・マスクの公式パロディアカウント(フォロワー140万人)からオファーをもらいイーロン・マスク(パロディ)公認のAIデザイナーとなり、ハイクオリティなAI画像をイーロン・マスク(パロディ)に提供中。そのメールをやりとりしているイーロン・マスク(パロディ)はイーロン・マスク本人だと思っている。
Xではイーロン・マスク、テスラ、AI、EV、自動運転、スペースXの最新ニュースを発信中です!
https://twitter.com/Gusfrin92486024