2022年12月、カリフォルニア州サクラメントにあるペプシ社の車両基地に、テスラが最初のセミ(クラス8車両)を納車してから約10カ月。そのテスラ・セミが、9月11日から30日まで行われている、北米貨物効率化評議会(NACFE)主催のEV商用車の評価イベント「Run On Less」に登場しました。テスラ・セミとしては、これが初めての独立機関による性能テストとなります。
運送業界が脱炭素化に向けて代替燃料車両やEV車両に舵を切る中、NACFEは「Run On Less」を通じて、車両の燃費や貨物効率、パフォーマンスほか、充電状況やインフラ設備はどうか、どの程度環境負荷の低減に貢献できるか、EV商用車を運用する上での利点や課題を明確にし、業界全体で共有できるよう情報を提供しています。
今回の「Run On Less」には、ペプシ社サクラメント車両基地のテスラ・セミをはじめ、10の車両基地にある全21台のEV商用車が参加しており、テスラ・セミは「重量物の長距離輸送業務」という観点で追跡調査が行われています。
Inside EVsによれば、初日の9月11日に行われたペプシ社テスラ・セミ3台の走行距離と充電状態(SoC)のテスト結果から、テスラ・セミの500マイル(804.672キロメートル)バージョンのバッテリー容量は約 850~900 kWhといったところではないかと推定しています。また、傾斜地における性能は、ディーゼル車両と比較して、テスラ・セミのほうが明らかに優位であるとも伝えています。
実際のところ、現在、ペプシ社はテスラ・セミをどのように運用しているのでしょうか。同社の業務改革・戦略ディレクター、アマンダ・デヴォー氏は「すでに日常的に1日12時間程度、主に日中に100マイル(160.934キロメートル)圏内で配送を行っている」とのこと。テスラ・セミの使用は、「こうした近距離の配送に非常に便利であり、もはや不可欠だ」とも語っています。
とはいえ、納車された21台のテスラ・セミのうち3台は、航続距離250~450マイル(402.336~724.205キロメートル)の長距離専用車両です。この長距離車両について、同社の電化プログラムマネージャーのデヤン・アントゥノヴィッチ氏は、サクラメントからネバダ州までの往復ルートにおいて、「ドナー峠(※)を越える際に、回生ブレーキによって充電状態が向上し、復路の充電消費量が実質ゼロにできました。つまり、さらに航続距離を延ばせる可能性があるということです」と期待の大きさを語りました。
※米国カリフォルニア州ネバダ郡、シエラネバダ山脈北部にある標高2,151mの峠。ドナー・パスとも。
実際にテスラ・セミを運転するドライバーや運行管理者からは、「テスラのメガチャージャーは、20~30分ほどで充電状態が95%に達します。輸送時において、これは非常に役立つ」との声が聞かれ、さらに「テスラ・セミはドライバーシートが車両の中央に位置し、運転しやすい。コックピット内も非常に快適だ」ともコメントしています。今後のテスラ・セミの普及に期待がかかります。
出典:Run On Less
参照:Inside Evs
NACFE「Run On Less-Electric DEPOT-Pepsi Beverages」
https://insideevs.com/news/686339/pepsico-tesla-semi-545-mile-range-test/