ゼネラル・モーターズ(GM)やフォード、現在はステランティス・グループ傘下となったクライスラーといった米国ビック3を中心に、世界の主要35の自動車メーカーが出展しているのが、9月14日~25日(現地時間)に、米国ミシガン州デトロイトで開催されている世界5大モーターショーのひとつ、デトロイトモーターショー(北米国際自動車ショー)です。会場にEVの試乗コース設置され、各メーカーのEVシフトが話題となっているその展示会で、一際大きな注目を浴びているのが、eVTOLベンチャー企業、アレフ・エアロノーティックス(Alef Aeronautics)が公開したアレフ・モデルA。このEVは、2022年の10月に発表され、2025年の実際のデリバリーに向けて予約を開始している、世界初の ”空飛ぶクルマ” です。
支援企業には宇宙開発会社スペースXも含まれているという、話題のアレフ・エアロノーティックスですが、今回、注目されている一つのポイントは、アメリカ連邦航空局(FAA)がモデルAの飛行テストを認定したと、同社が6月に発表をしたことです。
CNNのレポートによると、これは飛行と道路走行の両方が可能な、米国政府の承認を受ける世界初の完全な電気自動車とのこと。アレフは、モデルAを「公道で走行可能で、通常の自動車と同様に駐車できる世界初の”空を飛ぶ乗り物”」と述べました。このEVは、垂直離着陸機能を備えていて、1〜2人の乗員を乗せることができ、航続距離は321.9km、飛行距離は177kmの予定です。
アレフによると、同車のスケルトンバージョンの最初の自動テスト飛行は、2018年に成功し、2019年には実物大のプロトタイプが飛行しました。そして、今後必要な研究開発を継続するために必要だった、FAAの特別な耐空証明書を、今回、同社は獲得したのです。
FAAは、アレフに対して、展示、研究、開発などの限定された目的を許可する特別な耐空証明書を発行。多くの企業が全電気式 VTOL (離着陸航空機の略) に取り組んでいて、FAAは、アレフが特別耐空証明書を取得したこの種の航空機で「初めてではない」と述べています。しかし、アレフは、モデルAは道路上でも空中でも機能し、普通の車のように見え、通常の駐車スペースに駐車できるという点で、他と異なると主張をしています。
アレフ・モデルAの離陸のイメージ動画
「私たちはFAAからこの認証を受け取ったことに興奮しています。これにより、環境に優しく、より速い通勤を人々に提供することに近づき、個人や企業の時間を節約することができます。これは飛行機にとっては小さな一歩ですが、自動車にとっては大きな一歩です」とアレフの最高経営責任者(CEO)ジム・ドゥコフニー氏は語りました。
アレフが考える空飛ぶ車が一般化する未来の通勤イメージ
事故に遭遇しても垂直離着陸機能を備えるアレフ・モデルAならば軽く一飛び
アレフによると、空飛ぶクルマは「低速車両」として認定される予定で、舗装された道路では時速約40km以上の速度では走行できません。同社は公式サイトに「ドライバーがより速いルートを必要とする場合、ドライバーは飛行機能を使用することが想定されている」と掲載しています。
アレフ・モデルAが飛行中しているイメージ動画
アレフ・モデルAは、2025年末までに最初の納車が計画されており、1台あたり約30万ドル(4434万3900円)で販売予定。2023年度の初めには、400台以上の払い戻し可能な予約注文を受けていて、一般販売では150ドル(2万2000円)、優先販売は1500ドル(22万円)の手付金が必要と発表しています。
アレフ・エアロノーティックスの公式サイト