Hyundai Mobility Japan(ヒョンデモビリティジャパン)は、2024年末から日本市場向けに中型電気路線バス「エレクシティタウン」の販売を開始することを発表しました。
現在、日本国内のEVバス市場は、2015年から販売を開始した中国メーカーのBYDが300台超、約8割のシェアを有する状況ですが、2024年5月には、いすゞが年間150台販売目標の大型EVバス「エルガEV」を発売するなど、国内外のメーカーが注力し始めています。
ヒョンデは2010年からEVバスの開発を開始。2017年に「エレクシティ」を韓国市場に投入すると、その後も継続的に改良を重ねてきました。
韓国では環境対策として次世代バスの導入が積極的に進められており、2020年以降、EVやFCEV(燃料電池自動車)バスの登録台数が急増。2023年には路線バスの新規登録台数のうち70%近くを電気バス(FCEV含む)が占め、そのうちBEVは63%の2434台でした。
この流れの中で、ヒョンデは先進技術を持つメーカーとして大きなシェアを獲得。日本市場向けの「エレクシティタウン」は、こうした同社の韓国での経験を基に開発をされました。
エレクシティタウンのサイズは、全長8995mm、全幅2490mm、全高3400mm、ホイールベース4420mm。日本の中型バス規格に適合していて、都市部や郊外での運行に適応します。乗車定員は運転手を含めて55名(座席18名、立席36名、運転手1名)となっています。
本モデルは145kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、航続距離は定速60km/hで一般的な路線バスの運行距離をカバーできる233km(定速30km/hでは330km)。充電方式には日本の充電インフラとの互換性を考慮したCHAdeMOを採用し90kWh×2の入力に対応します。また、駆動システムには、最高出力160kWのZF製セントラルモーターが使用されています。
安全面では、各種センサーによって車両の挙動を測定し、モーター出力・ブレーキを制御する事で悪天候や滑りやすい路面などでの車両コントロールを容易にするVDC(車両安定装置)やEDSS(ドライバー異常時対応システム)などの安全装置を標準装備。また、乗客が乗下車する際に死角地帯の障害物を感知する「SEW-Near」機能も搭載されています。
現在、日本の公共交通機関においては、環境対策としてCO2削減が課題となっています。EVバスに活用できる国土交通省の補助金に関しても、2024年度は、前年から160億円アップの960億円になっていて、市場では環境配慮型車両の選択肢拡大が求められています。今回のエレクシティタウンの投入は、これらのニーズに対応する動きの一つとも言えます。
エレクシティタウンは、すでに世界自然遺産でもある屋久島への5台の導入が発表されていて、価格は一台約5000万円の予定です。
エレクシティタウンのスペック
全長 | 8995mm |
全幅 | 2490mm |
全高 | 3400mm |
ホイールベース | 4420mm |
乗車定員 | 55(18+36+1)名 |
バッテリー容量 | 145kWh |
バッテリー種類 | リチウムイオン |
充電方式 | CHAdeMO |
航続距離 | 233 km(定速60km/h) |
最高速度 | 80km/h |
モーター最高出力 | 160kW |
駆動モーター | ZF製セントラルモーター |