世界の注目が集まる中、2024年10月10日に予定されているテスラの「We, Robot」イベントを前に、ウォール街のアナリストたちが興味深い予測を展開しています。特に、ディープウォーターのジーン・マンスター氏とブライアン・ベイカー氏による分析が、業界内外で話題を呼んでいます。
米国のWebメディア、Teslaratiによると、マンスター氏とベイカー氏は、このイベントでテスラが3つの新しい車両を発表すると予測しています。具体的には、手頃な価格のEVとして期待される「モデル2」、完全自動運転を目指す「ロボタクシー(サイバーキャブ)」、そして大型の自動運転車「サイバーバン」です。
注目度が高いモデル2については、実質的にモデル3のストリップダウンバージョンになるのではないかとマンスター氏は述べています。価格は2万5000ドルからと予想され、ロボタクシーと類似点を持つものの、ステアリングホイール、ペダル、ミラーを備えた従来型の車両になるとされています。しかし、FSD(完全自動運転)なしでも操作可能な設計が特徴になるとのことです。マンスター氏は、モデル2の生産開始時期を2025年後半と予想しており、これはイーロン・マスクCEOが以前示唆した時期よりも遅い見込みです。
ロボタクシー(サイバーキャブ)については、実物のプロトタイプが公開される可能性が高いとみられています。マンスター氏によれば、サイバートラックを彷彿とさせる未来的なデザインで、ステアリングホイールやペダル、ミラーを省いた革新的な外観になるとのこと。さらに、テスラのライドヘイリングアプリを使用した呼び出しと自動運転能力のデモンストレーションが行われるのではないかと予想されています。
3つ目の車両であるサイバーバンは、完全自動運転の大型パッセンジャーバンとして構想されています。8〜10人乗りの仕様で、主に都市部での利用を想定しており、将来的には公共交通の一翼を担う可能性もあるそうです。マンスター氏は、このサイバーバンの登場によってライドヘイリングの対象市場が20%拡大する可能性があると分析しています。
ただし、マンスター氏はこのイベントは「ローンチパーティー」的な性格が強くなると予想しています。つまり、イーロン・マスクCEOが高いレベルでテスラの取り組みを紹介するものの、具体的な販売時期やコストなどの詳細情報は限られる可能性が高いという見方です。
ディープウォーターのアナリストたちはまた、テスラが生産予定の車両に焦点を当てつつ、サイバーバンやオプティマスのような将来の製品についても触れる可能性があると指摘しています。
このイベントの背景には、テスラの成長戦略があります。先日発表された第3四半期のテスラ車販売台数は46万2890台でした。アナリストたちは、テスラの成長率が来年には12%に上昇すると予想しており、その達成には新モデルの投入が不可欠だと見ています。特に、モデル2の生産拡大時期が重要で、マンスター氏は「来年の成長率予想を達成するためには、年央までにこの低価格モデルの生産拡大が始まる必要がある」と指摘しています。
10月10日の「We, Robot」イベントは、テスラの将来戦略を占う上で極めて重要な機会。EVの普及と自動運転技術の進展が期待される中、業界のリーダーであるテスラがどのようなビジョンを示すのか、投資家や自動車業界全体が注目しています。
アナリストが予測したように具体的な製品発表や技術デモンストレーションがあるかどうかは未知数ですが、このイベントは、テスラの次の成長フェーズを示す重要な指標となりそうです。