積極的なEV充電設備設置を進める公社住宅
現在、東京都住宅供給公社(JKK東京)は、公社住宅における電気自動車(EV)充電設備の設置を積極的に推進しています。2030年までに1890区画への設置を目標に掲げ、東京都の「充電設備導入促進拡大事業(非公共用)助成金」を活用することで、着実に実績を重ねています。
JKK東京の取り組みは平成25年度から始まり、特に平成30年度以降は毎年設置を進めています。令和5年度からは東京都との連携協定を結び、EV充電設備の設置を強化しています。
令和6年9月末時点での設置実績は39住宅326区画に及びます。その内訳は、実際に充電設備を設置した区画が94区画、将来の設置に向けた配管工事を済ませた区画が232区画となっています。
現在のEV充電設備利用状況
JKK東京でEV充電設備設置を担当している公社住宅事業部の布施孝二課長によると「現在、EV充電設備付き区画の契約率は54.3%です。今後、EVが普及し、ますますの利用を期待しています」とのことです。
また、2023年2月から2028年1月までEVやFCV(燃料電池車)所有者向けに駐車場月額使用料を20%減額する制度を導入。それにより、EVを所有しているオーナーについて確認できており、現在60件(JKK東京の駐車場契約は全体で約1万7200件)が同制度を利用し、その内訳はEV56件、FCV4件となっています。
「EV充電設備設置場所の選定にあたっては、これらのデータや住民へのアンケートなどを参考にしており、EVの需要に基づいた設置の推進を心がけています」と布施課長は語ります。
充電設備は月極駐車場の区画に設置され、契約者専用のクローズド型として運用されています。設置される充電器は200V普通充電器でスタンド型が中心、近年はコンセントタイプの小型モデルも導入され始めています。現在、EV充電設備付き区画の使用料は、それぞれの駐車場の月極金額に月額3000円をプラスする形となっています。また、EV充電設備の区画が空いている場合は、公社住宅の一般駐車場同様に、地域にも開放しています。
EV普及促進に向けたイベントを開催
また、JKKは都と連携し充電設備の設置だけでなく、EVの普及促進イベントも積極的に開催しています。2023年11月には板橋区向原でイベントを開催し、約2000人のファミリーが参加し大盛況でした。そして、2024年10月26、27日の2日間には、中野区のコーシャハイム中野弥生町で「EVをもっと身近に!」と題してEV試乗会や展示会を実施します。
イベントでは、各自動車ディーラーによるEV展示や試乗会、子ども向けのイベントも多数用意。特に試乗・展示会にはディーラー7社が協賛、16台のEVを体感することができます。
「EVをもっと身近に!」に参加するE V
【試乗車】
テスラ モデルY、モデル3
トヨタ クラウン”SPORT”RS
フォルクスワーゲン ID.4
マツダ MX30 Rotary-EV
メルセデスベンツ EQB250、EQA250
【展示車】
アウディ Q4e-tron
トヨタ bZ4X、クラウン(FCEV)
日産サクラ、リーフAUTECH
フォルクスワーゲン ID.4
マツダ CX60 PHEV
メルセデスベンツ EQS450 4MATIC SUV
「EVをもっと身近に! @コーシャハイム中野弥生町」の詳細はこちら
時間課金制の採用と今後の設置計画
JKK東京によるEV充電設備の課金方式については、従来の定額制に加え、世田谷区の新築賃貸「カーメスト桜新町」において、ユアスタンドのアプリを活用したサービス提供により公社で初めて時間課金制を採用しました。
2030年までに1890区画への設置という目標達成に向けては、東京都との緊密な連携のもと年間約200区画のペースで設置を進める必要がありますが、令和5年度まで東京都の23区内への設置だった計画を、令和6年からは市部の住宅にも拡張することなど計画的な展開を図っています。
集合住宅におけるEV充電設備の設置は、一般には住民の合意形成など多数の課題がありますが、JKK東京は自社の賃貸住宅という特性を活かし、円滑な導入を実現しています。この取り組みは、今後の都市型集合住宅におけるEV普及のモデルケースとなることが期待されます。
メイン画像:2023年11月開催のEVイベント「EVをもっと身近に!@コーシャハイム向原ガーデンコート」で約2000人を集めたコーシャハイム向原ガーデンコート