トランプ大統領の再選により、イーロン・マスク氏の影響力が前例のない水準に達しています。政治、メディア、ビジネスを横断するマスク氏の存在感は、「史上最も影響力のある民間人」との評価を生んでいると、Axiosが報じています。
マスク氏は今回の選挙戦で、トランプ氏の最大の支援者として存在感を示しました。「マスクズ・アメリカPAC」を通じて1億2000万ドル(約180億円)の政治献金を行い、選挙当日にはフロリダ州のマー・ア・ラゴでトランプ氏と夜を過ごすなど、密接な関係を築いています。さらに、人気ポッドキャスト番組「ジョー・ローガン・エクスペリエンス」に出演し、同番組からのトランプ氏支持獲得に貢献しています。
情報プラットフォームの支配者としての影響力も際立ちます。マスク氏が所有するX(旧Twitter)は、フォックスニュースをも凌ぐ右派メディアの中心的存在となっています。トランプ陣営のメディア戦略の要として、その影響力は選挙結果にも大きな影響を与えたとされます。
マスク氏の野心は、地球規模を超えて宇宙にまで及んでいます。「人類の未来は多惑星種となることにかかっている」という信念を持つマスク氏は、その実現に向けて着々と布石を打っています。人工衛星の打ち上げ事業でほぼ独占的な地位を確立し、宇宙開発企業SpaceXはNASAの不可欠なパートナーとなっています。宇宙旅行から惑星の植民地化まで、宇宙開発の主導権を握りつつあります。
新政権下では政府機関の再編に関する提言機関の運営も担うとされ、政策決定にも大きな影響力を持つことが予想されます。このように政治、メディア、宇宙開発と複数の分野で強大な影響力を持つマスク氏の存在は、かつてない規模の利益相反を生む可能性も指摘されています。
しかし、トランプ新政権がこれを問題視する可能性は低いとされています。さらに、情報の流れを大きく支配するマスク氏は、自身に関する世論の形成にも大きな影響力を持つことになりそうです。