2024年 イーロン・マスク10大ニュース
今年も、テスラ、スペースX、そしてX(旧Twitter)など自らが経営する企業で異常なレベルの業務量をこなし、毎日のように話題を提供し続けたイーロン・マスク。テレビのワイドショーでもお馴染みになっており、もはや世界中でその名前を知らない人はいません。EVcafeでは、代表的なテスラ系インフルエンサーの「がす」さんを迎え、根っからのテスラーである編集長・駒井とともに、「2024年イーロン・マスク10大ニュース」をセレクトしてみました。
10位 スターリンク事業の拡大
2024年9月13日、ユナイテッド航空がスペースXのスターリンクと提携し、2025年から全機への無料Wi-Fi導入を開始すると発表。乗客は世界中で高品質なWi-Fiサービスを利用でき、乗務員の業務効率化も期待されています。このスターリンク、ハワイアン航空が今年2月、米航空会社として初めて導入。ユナイテッド航空が後続することで、航空業界全体のWi-Fi環境を劇的に変える可能性を秘めています。
駒井編集長「スターリンクのサービスは着々とやっていますよね。飛行機や船でも使えるようになって、通信速度も速い。知り合いが、最近ハワイアン航空に乗ったらWi-Fi環境がめちゃめちゃ快適で、普通にネットできるしオンライン会議もできるというレベルになっていると言ってました」
がすさん「私は、スターリンクがテスラにデフォルトで設置されるようになると思いますよ」
駒井編集長「スターリンクは、スーパーチャージャーにも設置されるようになると思いますね※。SCで充電する際には無料のWi-Fiサービスでエンターテインメントを楽しめる」
がすさん「それは最強ですね。充電インフラとネットワークサービスの連携サービスは、他の自動車メーカーは真似できないですからね」
※北米などの一部のスーパーチャージャーでは、スターリンクがすでに設置され、WiFi接続を提供しています。
(以下敬称略)
9位 12人目の子どもが誕生
イーロン・マスクは、今年初め、現パートナーのニューラリンク社ディレクター、シヴォン・ジリスさんとの間に3人目となる子どもを授かり、12人の子どもの父親となりました。マスク氏は「妊娠は友人や家族には知らせていた」と語り、大家族への賞賛を表明。同時に、日本を含む世界的な出生率低下への懸念も示しました。なお、最新の子どもの名前と性別は非公表となっています。
がす「イーロン・マスク、いつも息子のリトルXを仕事場に連れて歩いているじゃないですか。トランプ大統領に会う時も連れていましたよ。現場がなごんだりするでしょう。あれイーロンの外交術かも(笑)」
駒井「シヴォン・ジリスと3人の子どもは、ギガテキサスの近くに住んでいて、イーロン・マスクもそこに寝泊まりしているって噂です。リトルXはいつもイーロンと一緒にいますが、母親が別ですし、また違うところに住んでいるんでしょうかね」
8位 XでGrokの実装が開始
Xは5月8日、有料会員向けにチャットAI「Grok」を公開。ブラウザとiOSアプリで利用可能。標準モードとユーモアモードの2種類の回答パターンを搭載し、状況に応じて切り替えられる。回答の根拠としてXのポストを提示する機能もあるが、現在は精度は低い。プライバシーに関わる情報は入力を避けるべき、とXは注意を促している。
駒井「XへのGrokの実装は面白かったですね。XのAI機能として、投稿の解説ができるようになりました」
がす「xAIのGrokはChat GPTを倒そうと思っているんでしょうが、そこはGoogleもふくめて激戦です。しかしGrokにはChat GPTにはないXとの連携や、テスラやオプティマスのAIなどいろいろなアプローチが可能なので、今後の広がりが楽しみです」
7位 ニューラリンクによる脳インプラントの成功
ニューラリンクは2人目の被験者への脳インプラント手術に成功し、マスク氏はポッドキャストで「非常にうまく行った」と発表。1月に手術を受けた最初の被験者は、四肢まひながらビデオゲームをプレーできるようになっています。
ニューラリンクは2024年中に計10人の被験者への施術を予定。さらに、脊髄への電極装着による機能回復にも取り組んでおり、動物実験では麻酔下で歩行動作を確認。脳と脊髄のインプラントを組み合わせることで、まひした手足の筋肉収縮が可能になるとしています。
Redefining the boundaries of human capability requires pioneers.
— Neuralink (@neuralink) May 16, 2024
If you have quadriplegia and want to explore new ways of controlling your computer, we invite you to participate in our clinical trial. pic.twitter.com/svqfAkVV1M
ニューラリンクによる被験者の動画
駒井「ニューラリンクの人体実験には賛否両論ありましたが、技術的な成果は確実に出ていますね」
がす「ニューラリンクの考え方は昔からあったようですが、技術的に他を圧倒しています。イーロン・マスクが手がける企業の技術はスピード感がとにかくすごいです。それを感じたニュースでした」
6位 560億ドル報酬パッケージ問題
イーロン・マスクへの560億ドル(約8.4兆円)の報酬支払いが、デラウェア州裁判所により再び無効判決を受けました。2018年に設定された12段階の目標達成報酬制度は、2024年1月に取締役会の独立性欠如を理由に無効とされ、6月の株主承認後も同様の判断が下されました。
駒井「この報酬パッケージの問題、6月に株主投票を実施し、賛成多数で承認を得ましたが、直近の12月に再度却下されました。6月の投票の際は、報酬パッケージが認められないと、マスクはテスラを去る可能性もあるとされていました。ただ、今回の判決では、テスラの株価にはあまり影響がなかったですよね」
がす「どちらにせよイーロン・マスクは、多分CEOをやめないと思いますよ。本人は、テスラが好きだから。でもイーロン・マスクがいなければテスラはやばいですね」
駒井「確かに。しかしいつか、イーロンが火星に行くってことになったら、誰か他の人に任せなければならなくなりますね」
がす「でも、全ての会社に相当有能なスタッフが揃っていますからね。それに、現在イーロン・マスクはテスラの株を20%未満しか持っていないので、実際はあまり影響力はないんですよ。でも会社の方向性は示している」
駒井「そうですよね。イーロン・マスクがCEOじゃなければ、サイバーキャブみたいな車は出てこなかった。ハンドルがない車を作って売ろうなんて考える人は、恐らく今までいなかったんじゃないかと」
5位 イーロン・マスクの中国訪問とFSD承認
イーロン・マスクは、4月に中国を電撃訪問。李強首相らと会談を行い、テスラのFSD(完全自動運転)の中国での暫定承認を取り付けました。
また、テスラのAIチームは9月、2025年第1四半期までのFSD開発ロードマップを公開。9月にはドライバー介入までの走行距離が3倍改善されたv12.5.2や、サイバートラックへのFSDをリリース。10月にはv13で介入までの距離を6倍に改善。2025年第1四半期には欧州・中国でのFSDを展開予定とする計画を発表しました。
がす「中国でのFSD承認は大きな一歩でしたね。中国はテスラにとっても大事な市場です。中国で売れないから日産とホンダの経営統合の話になっているわけじゃないですか。あれだけ、BYDとかEVのライバルがひしめきあっている中でテスラは戦っていて、しかもトップだからすごい」
駒井「テスラがバイドゥのマップを使って、中国独自のFSDを展開する動きも興味深いです」
がす「テスラがエンドツーエンドでのAI自動運転(FSD)を成功させそうなので、多くの中国企業が同じように真似して追いかけてきている。イーロン・マスクも言っているように、いずれ中国企業もテスラと同じような自動運転を完成させるでしょう。今はテスラに少し時間もある、アドバンテージもある、ここでテスラは次の中国でのFSDの拡大戦略を練っていると思います。おそらくロボタクシーを中国で走らせると思いますよ」
4位 スターシップ打ち上げとブースターキャッチ
スペースXは2024年10月13日にスターシップの打ち上げと、「メカジラ」によるブースターのキャッチに成功、その衝撃的な瞬間の映像は世界中に拡散された。
Thousands of distinct vehicle and pad criteria had to be met prior to catching the Super Heavy booster. Thanks to the tireless work of SpaceX engineers, we succeeded with catch on our first attempt. pic.twitter.com/6wa5v6xHI0
— SpaceX (@SpaceX) October 13, 2024
「メカジラ」によるブースターキャッチの様子
2日後の10月15日には、スペースXは1日に2回のロケット打ち上げを実施。フロリダ州でスターリンク衛星23基、カリフォルニア州で20基を打ち上げ、これらは2024年の100回目と101回目の打ち上げとなった。スペースXは年間打ち上げ数で単一企業の新記録を樹立し、昨年の自社記録(96回)を更新。ブースターの帰還着陸は通算353回に達し、2024年は目標の100回打ち上げをすでに達成しています。
がす「スターシップのブースターキャッチは本当にすごかった。あれは感動しましたね」
駒井「本当に凄かったし、興奮しました。しかし、後々の情報によると奇跡的に成功したのかなと。その後トランプが打ち上げを見に行った時は、キャッチを失敗したらまずいから、途中で辞めて海に落としたんでしょうね」
がす「成功した時の現場の盛り上がり方もすごかったですね。一見、バカみたいなことをやっているように見えるけど、その技術はすごい。今度は上段の本体ロケットでやろうとしているんです。上段もキャッチすることができれば、宇宙に行って帰ってくることができる」
駒井「スペースシャトルよりも遙かに安くできますよね。あれに関わっていたボーイングが宇宙部門を切り離して売却するという話もありますけど、スペースXがあれだけローバジェットでロケットの打ち上げを繰り返していたら、ボーイングのようなレガシー企業は宇宙開発から撤退せざるを得なくなりますね」
3位 テスラ、サイバーキャブ発表「We, Robot」開催
テスラが2024年10月10日、ロサンゼルスで「We, Robot」イベントを開催し、待望のロボタクシーを初公開。イーロン・マスクCEOは「未来は未来らしくあるべきだ」と述べ、2025年にはカリフォルニアとテキサスで無人自動運転が可能になると発表しました。
シルバーメタリックの2ドア車両は、完全自動運転を想定しており、ステアリングやペダル類は装備されていません。シザードアを採用し、2人乗り、コードレス充電に対応。価格は3万ドル以下で、2026年から生産開始予定です。
駒井「延期を経て、『We, Robot』というイベントで発表されたロボタクシー(サイバーキャブ)には、ステアリングもアクセルペダルもありませんでした」
がす「そうですね。ロボタクシーとして2人乗りという仕様には批判もありますが、効率性を重んじるテスラらしい、事故対策や清掃の効率性を考慮した上での判断だと思います。大人数向けには、同時に発表されたサイバーバンもありますしね」
駒井「まだ明確ではないですが、テスラが無人ライドシェアの運営主体となり、一方で個人が無人Uberを副業的に運用することも可能になる。これは新しいビジネスチャンスを産みますね」
がす「まるで、iPhoneを買うような感覚で、免許がない人も車を所有できる時代の到来ですね。イーロン・マスクは完全にサイバーキャブに集中しているように見えます」
駒井「でも、イーロン・マスク以外のテスラの人たちは、コンパクトEVのモデルQ(モデル2)を早く売りたいでしょうね。それを出さなきゃ売り上げがこれ以上増えないだろうと、全員考えているはずです。やっぱりヨーロッパにしても日本にしても、アジアの他の国にしても、道路事情が全然アメリカと違うので、よりコンパクトな車が欲しいってみんな思う。ただ、イーロン・マスクはモデルQなんかには全く興味がない(笑)。サイバーキャブが何万台も走る未来がやってくると、自動車メーカーそのものがいらなくなるかもしれません」
2位 純資産4000億ドル突破
ドナルド・トランプ氏のアメリカ大統領選勝利後、テスラの株価が急騰し、11月8日には、時価総額が2年半ぶりに1兆ドルを回復。その後も上がり続け、12月11日には株価が424ドル77セントとなり3年ぶりに過去最高値を記録。同日、株価上昇とスペースX(企業価値3500億ドル、最大12億5000万ドルの株式取引に合意)の好調もあり、イーロン・マスクの資産は4000億ドルを突破しました。
がす「テスラ株が連騰して、イーロン・マスクの純資産が人類史上初めて4000億ドルを突破しましたね」
駒井「ええ。でも面白いのは、彼自身はあまり純資産額に興味を示さないことでしょうかね」
がす「イーロン・マスクの資産はほとんどがテスラやスペースXの株ですから、逆にいうと彼の指揮する企業価値がどんどん上がっているということで、非常に喜ばしいことですよね。まだ上がると思いますよ(笑)。例えばスペースXが火星に到達出来たら大変なことになりますよ」
駒井「560億ドルの報酬パッケージが判事に却下された話がありましたけど、個人資産が4000億ドルになった今、そのパッケージにはほぼ意味がなくなったのかも」
1位 ドナルド・トランプ次期大統領との関係強化
8月にXで実施されたイーロン・マスクとドナルド・トランプ氏の一般公開形式の対談。視聴回数は10億回に達したとされる
イーロン・マスクは、トランプ次期大統領の再選と共に前例のない影響力を獲得。1億2000万ドルの政治献金やX(旧Twitter)の右派メディア化を通じて選挙にも影響を与えました。新政権下では政府機関再編の提言機関(DOGE)の指揮も執ります。政治、メディア、宇宙開発での強大な影響力は利益相反の懸念も指摘されていますが、トランプ新政権はそれほど問題視せず、マスク氏は世論形成にも影響を及ぼす立場となりつつあります。
がす「DOGEに関しては、イーロン・マスクがそこについたっていうのは面白いですね。トランプはよくわかっています。トランプとイーロン・マスクの来年は本当に注目ですよ。とんでもないことがいっぱい行われると思います」
駒井「今回の大統領選挙では、トランプを応援していましたね。イーロンがこれだけコミットするならトランプがいいのかなと思っていましたよ」
がす「僕もトランプを応援していましたね」
駒井「それに、バイデンはやばすぎた。バイデン政権がアンチイーロンの記事を出すために、ロイターに巨額の資金提供していたという告発がありました※。で、そのアンチ記事をたくさん書いていたロイターがピュリッツァー賞を受賞している。もう、政権ぐるみでイーロン・マスクを潰そうとしていたんじゃないかと。ロイターはじめ、WSJとかブルームバーグとかのレガシーメディアは、イーロンに対する悪意ある記事がとっても目立ちましたよね」
がす「トランプは二度狙われていますが、イーロン・マスクの命も危ないですよ。こんなに影響力のある人はいないですからね。僕はそこを心配していますよ」
駒井「確かに、彼はもう火星に行った方が安全かもしれないですね(笑)」
The Biden Admin paid Reuters over $300 million in government contracts. 11 different Biden government agencies targeted Elon's businesses. All 11 agencies paid millions to Reuters. Reuters then won the Pulitzer Prize for "their work on Elon Musk and misconduct at his businesses" pic.twitter.com/3IGGtuHv7L
— Mike Benz (@MikeBenzCyber) December 17, 2024
※バイデン政権がロイターに巨額の資金提供していたという告発ついてのポスト
10大ニュース番外編:イーロン・マスク、ディアブロIVで世界のランキング入り
イーロン・マスクがポッドキャストで、人気ゲーム『ディアブロIV』の世界トップ20プレイヤーの一人だと明かしました。「奈落(ピット)」のティア(難易度)150のタイムアタックで世界19位を記録し、Xではプレイ映像も共有。アメリカ人としては2人しかランク入りしていない世界最富裕層のゲーマーとして話題となっています。
イーロン・マスクがポストした自身のタイムアタックのプレイ画像
がす「イーロンはハードなゲームが好きで、ディアブロIVってゲームで無茶苦茶難しいステージで世界でランキング20位くらいに入ってるんですよ。僕も同じゲームをやってるんですけど、全然追い付けないです。ほんといつ寝てるのかって思いますよ」
駒井「どこにそんな時間があるのでしょうね? Xへのポストもすごいボリュームですけど、あれはトイレの中からだと思ってます。ゲームは飛行機の中でやってるんでしょうかね。当然、自家用ジェットにスターリンクも積んでるでしょうし」
Fact checked: True pic.twitter.com/xL5TQYLXpI
— Andy (@AndrewGray7734) November 4, 2024
イーロン・マスクが人気ゲーム『ディアブロIV』の世界トップ20プレイヤーの一人だと明かしたポッドキャストと、そのランキング
【2024年 テスラ10大ニュース 対談ゲスト】
がす(来嶋 勇人)
福岡県出身。(株)ファミリーマートのマーケティング本部でアプリやコーヒーのパッケージを作っていたが早期退職。無職になりテスラでハローワークに通い見つけた会社に入社。そこでゼロからスタートし、そこの関連会社の社長に抜擢され就任。現在はECやアニメーション事業を行っている。プライベートでは2024年からイーロン・マスクの公式パロディアカウント(フォロワー240万人)からオファーをもらいイーロン・マスク(パロディ)公認のAIデザイナーとなり、ハイクオリティなAI画像をイーロン・マスク(パロディ)に提供。そのメールをやりとりしているイーロン・マスク(パロディ)はイーロン・マスク本人だと思っている。TikTokでは、「Elon Musk’s Mars Food」が計500万再生でバズり中。
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