日産が完全子会社化に反発、経営統合に向けた基本合意書を解約
自動車とホンダは2025年2月13日、経営統合に向けた協議の終了を正式に発表しました。2024年12月に締結した基本合意書を解約し、三菱自動車を含めた3社間の覚書も解約することで合意しましたが、ソフトウェア分野での協業は継続するとしています。
当初の計画では共同持株会社を設立し2026年8月の上場を目指していましたが、協議の過程でホンダから日産を完全子会社化する新たな提案が示されました。この提案は日産側の強い反発を招き、最終的に各社が独自に意思決定と経営施策を実行することが適切との判断に至りました。
背景には両社の状況や危機感の違いがありました。日産は米国や中国市場での販売不振により業績が急速に悪化しており、2024年11月には人員9000人削減と生産能力2割カットを含む再生計画を発表。一方で2025年1月には福岡県北九州市でEV向け電池工場の新設と同拠点の生産能力維持を表明し、これがホンダ側の「踏み込みが甘い」との評価につながりました。
ホンダは持ち株会社方式での統合では経営のスピードが上がらないと判断し、1月23日に日産への子会社化案を打診。しかし対等の関係での統合を想定していた日産社内では「日本最古の自動車メーカーの一つが、ホンダの完全子会社になるなんて冗談にしか聞こえない」など強い反発が広がり、2月5日の取締役会で交渉自体を白紙に戻す方針を確認しました。
日産、ホンダの両社長が決算会見で説明
決算会見で日産の内田社長は、完全子会社化という形では自主性を守ることや日産の持つポテンシャルを最大限引き出すことへの確信が持てなかったと説明。一方、ホンダの三部社長は、株式交換による経営統合がワンガバナンス体制の早期確立につながるとの判断から提案したと述べました。
EVやソフトウェア開発力の強化、協業によるコスト削減などが期待された今回の経営統合は実現に至りませんでしたが、三菱自動車を含めた3社での戦略的パートナーシップは継続される方針です。自動車産業がEVシフトによる大変革期を迎える中、両社はそれぞれ独自の道を歩むことになります。
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