中国の自動車メーカーBYDは、2025年2月10日、全モデルに高度運転支援システム「天神之眼」を搭載するインテリジェントドライビング戦略を発表しました。
「天神之眼」は、搭載するセンサーの構成に応じてA、B、Cの3つのバージョンが用意されます。最上位の「天神之眼A」は3基のレーザー光を利用して対象物の距離や形状を計測するLiDARを採用しハイエンドブランド「仰望」に搭載。「天神之眼B」は1基のLiDARを採用、「騰勢(Denza)」ブランドおよびBYDブランドの一部モデルに搭載されます。
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注目すべきは、エントリーレベルの「天神之眼C」です。LiDARを使用せず、2基の広角カメラと1基の望遠カメラを組み合わせることでLiDARに匹敵する検知能力を実現し、7万~20万元(約146万~418万円)のBYDブランド車に搭載されます。従来、20万元以下の価格帯では搭載が困難とされていた高度運転支援システムを低価格帯の車種にも搭載し、運転の安全性を向上させていきます。
「天神之眼C」は、自社開発の車両向けスマートアーキテクチャ「XuanJi」に、中国のAIスタートアップ、ディープシークが開発した生成AI技術を導入し、高度な運転支援システムを実現。高速道路や都市高速道路においては、NOA(目的地を設定すると自動的に運転する機能)のナビゲーションに基づいた経路に沿って、インターチェンジやジャンクションなどランプの出入り、車線変更、一部の障害物の回避、迂回などの運転操作が可能です。さらに、メモリー機能付きNOAにより、通勤などの頻繁に利用するルートにおいて、複雑な交差点の通過、自動追い越し、あらゆるシナリオでの迂回や譲り合いなどの機能を実現するとしています。
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BYDは2018年に「電動化が前半戦、インテリジェント化が後半戦」と位置付けていました。今回の発表では「BYDの強みはビッグデータ。自動運転システムレベル2以上の機能を持つ車を累計440万台以上販売してきており、中国において最大の自動車分野のクラウドデータベースを有している。また、世界最大のR&D(研究開発)エンジニアチームと新エネルギー車の製造システムを擁しており、今後、産業チェーン全体で協調的な開発を推進し、インテリジェント化運転の普及を図る」と表明しました。
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