米国のアレフ・エアロノーティックス(Alef Aeronautics)社は、同社開発の電動垂直離着陸型自動車「モデルA」の軽量版プロトタイプによる公道での飛行試験に成功し、その様子を収めた映像を2025年2月19日に公開しました。
映像では、カリフォルニア州の封鎖された市街地において、同車両が地上から助走なしで離陸し、別の車両の上空を飛び越えて着陸する様子が確認できます。
同社によると、自動車が公道で実際に走行から垂直離着陸を行う様子が撮影されたのは世界初。これまでにも有線による飛行試験や滑走路を使用した離陸、eVTOL(電動垂直離着陸機)による飛行タクシーの実証などは行われてきましたが、今回のような公道での実証は行われていませんでした。
また同社は、モデルAがオフロード走行も可能であることを示す別の映像も公開しており、通常の自動車としての性能も維持していることをアピールしています。
モデルAは2022年に初めてプロトタイプが公開された100%電気自動車で、地上走行時の航続距離は約350km、飛行時は約180kmを実現するとされています。2023年には米連邦航空局(FAA)から特別耐空証明を取得しており、自動車ディーラーを通じて航空機の予約販売を行う初の企業となりました。
開発の歴史は約10年前に遡り、2017年にはテスラやスペースXの初期投資家として知られるティム・ドレイパー氏が率いるドレイパー・アソシエイツから300万ドル(約4億4700万円)のシード投資を獲得しています。

同社CEOのジム・ドゥホブニー氏は今回の飛行成功について、「この走行・飛行テストは、現実世界の都市環境における技術の重要な証明となった。ライト兄弟のキティホークでの(人類初の有人動力飛行を記録した)ビデオのように、人類に新しい交通手段が可能であることを証明した瞬間となることを期待している」とコメントしています。

現在までにモデルAの予約は3300件に達しており、販売価格は30万ドル(約4470万円)からを予定。予約金は150ドルからで、1500ドルを支払うと優先予約枠が確保できる仕組みとなっています。量産開始は2025年内を予定しており、その後順次納車を開始する計画です。
さらに同社は、より一般消費者向けの次期モデル「モデルZ」の開発も進めています。モデルZは3万5000ドル(約520万円)からの価格設定を予定しており、2035年の発売を目標としています。
