ヤマト運輸、三菱ふそうトラック・バス、三菱自動車工業、米Ampleの4社は、2025年6月6日、バッテリー交換式電気自動車(EV)とバッテリー交換ステーションの実用性を検証する大規模実証を、9月から東京都内で開始すると発表しました。
今回の実証では、150台を超えるバッテリー交換式EVと14基のバッテリー交換ステーションを使用します。参加車両は、三菱ふそうの小型EVトラック「eCanter」と三菱自動車の軽商用EV「ミニキャブEV」で構成され、実証期間中に台数とステーション数を順次拡大する予定です。

実証の中核となるバッテリー交換は、従来の充電方式と比べて車両の待機時間を短縮することが想定されています。従来のEVは充電ステーションでの充電に急速充電でも数十分、普通充電では数時間を要するのに対し、バッテリー交換技術を手がける米国企業Ampleのバッテリー交換ステーションは全自動でバッテリー交換を行い、目標時間を5分間に設定しています。4社では、これにより配送車両が業務を中断する時間の短縮と、ドライバーの負担軽減につながるかを検証します。
実証における各社の役割は、三菱ふそうトラック・バスが小型EVトラック「eCanter」のバッテリー交換式車両の企画・提供・整備を担当し、三菱自動車工業は軽商用EV「ミニキャブEV」のバッテリー交換式車両の企画・提供・整備を受け持ちます。バッテリー交換技術を専門とする米Ampleはバッテリー交換ステーションの設置・運用を行い、ヤマト運輸が実際の集配業務でこれらの車両を使用します。

検証内容は5つの項目で構成されています。バッテリー交換式EVの大規模運用、異なるブランド・サイズの車両での交換ステーション共用、集配業務における実用性や車両性能の評価、内燃車や充電式EVとの経済合理性比較、そして運用における各種基礎データの取得です。
今回の実証に先立ち、三菱ふそうトラック・バス、Ample、ヤマト運輸の3社は、2024年8月から11月まで京都市で実証を実施しました。この実証では目標とする車両品質の確認、運用ノウハウの蓄積、車種や車両ブランドを問わずバッテリー交換ステーションが共用できることを検証しました。
今回新たに三菱自動車工業が参画したことで、2011年から軽商用EV分野での知見を持つ同社の経験を活用し、より幅広い物流事業者のニーズに対応できる体制が整いました。

米Ampleのバッテリー交換ステーションは、コンパクトかつ短期間での組み立てが可能な設計となっています。これにより東京都のような高密度な都市環境においても効率的なインフラ整備が可能とされ、実用的なEVシフトのソリューションとしての有効性を検証する予定です。
本実証は、東京都および東京都環境公社の2024年度「新エネルギー推進に係る技術開発支援事業」に採択されています。運輸部門が日本の総CO₂排出量の約19%を占める中、商用車の電動化は重要な課題となっており、今回の実証結果が業界のEV普及に与える影響が注目されます。
実証開始にあたり、4社は実証に参画する車両メーカーや物流事業者などのパートナーをfleet@ample.comにて募集しています。
