スズキは2025年7月10日、同社初のバッテリーEV(BEV)となる新型「eビターラ」の先行情報を公開しました。今年度中に日本市場への導入を予定しており、2024年11月の世界初公開から、ついに市販化の最終段階に入ったことになります。

新型「eビターラ」は、2024年11月にイタリア・ミラノで初公開されたスズキのBEV世界戦略車第一弾です。2023年のコンセプトモデル「eVX」の量産版として位置づけられており、今年春からはインドのスズキ・モーター・グジャラート社で生産が開始されています。

車両のベースとなるのは、BEV専用に新開発されたプラットフォーム「HEARTECT-e」です。49kWhと61kWhの2種類のバッテリーをラインナップし、上位の61kWhモデルでは1回の充電で500km以上の航続距離を実現します。性能面では49kWhモデルで最高出力105.8kW、61kWhモデルで128kWを発揮し、最大トルクは192.5Nmを達成しています。

駆動方式は2WDとAWDを用意しており、特に注目されるのが1970年のジムニーから受け継がれてきたスズキの四輪駆動技術を活かした電動AWDシステム「ALLGRIP-e」です。前後に独立した2つのeAxleを配置することで、パワフルな走りと緻密なトルクコントロールを実現し、悪路走破性を高めるTrailモードも搭載されています。
「High-Tech & Adventure」をデザインテーマに掲げ、EVとしての洗練さと先進性、SUVの力強さを併せ持つデザインに、多機能性がもたらすワクワク感を融合させたSUVとして開発されました。車両のサイズは全長4275mm、全幅1800mm、全高1640mm、ホイールベース2700mmで、インテリアには10.1インチと10.25インチの2画面ディスプレイを採用しています。

2025年2月には日本で実車が初公開され、大きな注目を集めました。スズキは2030年までに6種類のBEVを展開する計画を発表しており、eビターラはその第一弾として重要な位置づけとなっています。
また、スズキは2024年10月にトヨタとの電動車事業協業を発表しており、eビターラをベースとした新型EVのSUVがトヨタにOEM供給される予定です。
新型「eビターラ」は、2025年夏頃から欧州、インド、日本など世界各国で順次販売を開始する予定です。


