米自動車大手ゼネラルモーターズ(GM)傘下の自動運転車部門「クルーズ」が、2024年後半にも無人自動運転サービスの再開を目指していることが分かりました。さらに、2025年初頭には料金徴収の開始も視野に入れているとブルームバーグが報じています。
クルーズは2023年10月、サンフランシスコで発生した歩行者との衝突事故を受けて事業を停止していました。この事故では、クルーズの車両が歩行者を6メートル引きずる形となり、被害者は数カ月間入院を余儀なくされました。事故後、カリフォルニア州当局はクルーズの無人運転許可を取り消し、同社は事故の詳細について十分な情報を提供しなかったとして批判を受けました。
この事態を受け、クルーズは事業再建に向けて動き出しています。新たな最高経営責任者(CEO)を迎え、経営陣を一新。規制当局との関係修復にも努めています。新体制のもと、年内の完全自動運転再開を目指し、早ければ来年初めには料金徴収も開始したいとしています。
現在、クルーズはフェニックス、ダラス、ヒューストンの3都市で、安全運転手付きのテスト走行を実施中です。フェニックスでは4月から、ダラスとヒューストンでは最近になって走行を開始しました。これらの都市で地図データや走行データを更新しながら、技術の検証を進めています。
GMのメアリー・バーラCEOは、投資家向け電話会議で、「クルーズの技術は大幅に進歩し、より厳しい安全基準を満たしています。安全運転手なしの走行再開に向けて、着実に進んでいます」と述べました。さらに、「技術は模範的なドライバーよりもはるかに優れたものになっています。より安全な技術を用いて、迅速に無人走行に戻れると確信しています」と語りました。
一方で、クルーズの財務状況は依然として厳しい状況が続いています。2024年第2四半期には12億ドル、上半期全体では18億ドルの損失を計上しました。GMは今後もクルーズへの支援を継続し、8億5000万ドルの資金提供を行うことを発表。これにより2025年第1四半期まで資金を確保できる見通しです。また、GMはクルーズの資金調達と開発継続のため、新たなパートナーや投資家も探しています。
自動運転技術の実用化に向けて、安全性の確保と信頼回復が急務となっているクルーズ。再出発となる無人走行サービスの再開と、その後の事業展開に注目が集まっています。