アマゾンの衛星インターネットサービス「Amazon Leo」が2026年4月13日、公式HPにて民間航空向けの新型アンテナを発表しました。イーロン・マスク氏率いるスペースXの「スターリンク」がすでに多くの航空会社との契約を積み重ねる中、後発のAmazon Leoはスペック面で真っ向から勝負を挑んでいます。機内インターネットの競争は、いよいよ本格化しています。
最大の注目ポイントは通信速度です。Amazon Leo航空用アンテナは最大1Gbpsのダウンロード速度と400Mbpsのアップロード速度を同時に実現する全二重フェーズドアレイ方式を採用しています。一方、スターリンクは3万5000フィートの巡航高度において135〜450Mbpsの速度を提供します。数字だけを見れば、Amazon Leoはスターリンクを大きく上回るスペックを掲げており、1基のアンテナで全座席をカバーできる帯域幅を持つとしています。
遅延については、スターリンクは低軌道衛星(高度約550km)を用いることで遅延を100ms以下に抑え、衛星間レーザーリンクにより大西洋上空や北極圏でも安定した接続を維持しています。Amazon Leoも同様に低軌道衛星と衛星間レーザーリンクを採用しており、地球上のあらゆるルートで安定した接続を目指しています。

実績面では、スターリンクが圧倒的に先行。2026年4月10日時点で、36の主要航空会社がスターリンクWi-Fiをすでに導入、あるいは今後の導入を表明しています。 ユナイテッド航空は2025年10月より主要路線の737-800型機で運用を開始、地域路線用(リージョナルジェット)も順次対応すると発表しています。日本でも、JAL系列のZIP AIRが2026年2月26日より、スターリンクWi-Fiの提供を始めました。
対するAmazon Leoは、デルタ航空およびジェットブルーとの契約をすでに締結しており、これから本格展開を目指す段階です。サービスの立ち上げ時期やより広範な航空会社への展開については、今後の発表が待たれます。
航空会社にとって見過ごせない差異が、アンテナの設置に要する時間とコストです。スターリンクのAero Terminal(アンテナユニット)はほとんどのビジネスジェットにおいて14万5000ドル(設置費用は別途)のメーカー希望小売価格が設定されており、設置には通常10〜14日かかり、定期整備と組み合わせて行われることが多いです。
これに対してAmazon Leo航空用アンテナは、統合モデムと簡易マウント構造により設置がわずか1日で完了するとしています。可動部品がない電子制御設計を採用しているため、メンテナンスの手間も少なく、航空会社の運用コスト削減につながる可能性があります。アンテナのサイズ(長さ147cm×幅76cm×高さ6.6cm)も低プロファイルで、機体の空気抵抗と燃料消費を最小限に抑える設計です。

Amazon Leoは通信速度と設置の手軽さで明確な優位性を打ち出しており、後発ながら航空会社にとって魅力的な選択肢となりえます。一方、スターリンクはすでに36社以上の航空会社との提携実績と豊富な運用経験を持っており、信頼性と広がりにおいては依然として一歩リードしています。
Amazonのサービス参入に対抗するかのように、スターリンクはハードウェア費用の無料化や月額料金の引き下げなど積極的な価格戦略を展開しており、両社の競争はますます激化しています。
空の旅における通信環境の革新は、この二大プレーヤーの競い合いによって、これまでにないスピードで進もうとしています。乗客にとっては、選択肢が増えるだけでなく、サービス品質の向上と料金の低下という恩恵をもたらす競争となるかもしれません。今後の展開が注目されます。

