ボリビアのロドリゴ・パス大統領は、2026年8月6日の同国建国201周年を記念した演説の中で、今後数カ月のうちに通信インフラが未整備の地域を中心に、スターリンクのアンテナを5000基以上設置する方針を発表しました。対象となるのは農村部の学校で、政府が推進する「Aula Conectada(接続された教室)」プログラムの一環となります。
今回の展開は、まずラパス、コチャバンバ、サンタクルスの3県にある農村部・準都市部の学校を対象に始まります。これらの地域は山岳地帯が多く、集落が点在しているうえに都市部からの距離も大きいため、光ファイバーなどの地上インフラを敷設するコストと時間の負担が大きいという事情があります。低軌道(LEO)衛星を用いるスターリンクは、こうした地上工事を必要とせずに通信網を届けられる点が評価されており、ボリビア政府は最終的に全国規模でのカバレッジ達成を目指すとしています。
設置作業を担うのは、ボリビアの国営通信事業者Entelです。パス大統領は演説で、「通信が届かない場所にこそアンテナを設置し、それぞれの教育機関が世界とつながれるようにする。子どもたちがインターネットを利用できる環境を整えたい」と述べました。
ボリビアでは今年2月、Entelとスターリンクの提携によるサービス提供がすでに始まっており、大統領令5509号により低軌道衛星インターネット事業者に市場が開放されています。住宅向けプランは月額460ボリビアーノ(アンテナ・電源機材込みの初期キットは2200ボリビアーノ)で提供されており、農村部の学校・医療施設・一般家庭を主な対象としています。今年6月には、スターリンク側からボリビア国内14校・1000人超の生徒・教員が新たに接続されたことも公表されています。
Starlink is connecting more than 1,000 people including students and teachers across 14 schools in Bolivia to reliable high-speed internet, enabling them to build digital skills and improve literacy levels 🛰️♥️ pic.twitter.com/fbK8LoeyJu
— Starlink (@Starlink) June 5, 2026
学校向け衛星インターネットの導入は、中南米各国で同時多発的に進んでいます。パラグアイでは国営通信会社Copacoがスターリンクキット1600基の導入を進めており、農村部の教員・生徒約5万人の接続を目指す計画が進行中です。アルゼンチンでも通信規制当局Enacomが同様の農村部接続プロジェクトを発表しています。ペルーでも2022年の認可以来「Conecta Selva」計画が展開され、学校・医療施設あわせて1300超の拠点に接続を提供してきました。
同様の動きはアフリカ大陸でも広がっています。マラウイでは今年6月、農村部30校・生徒10万人・教員1500人がスターリンクによって新たに接続されたことが発表されました。ザンビアでは国際NGOと連携した学校のコンピュータ教室への導入事例が報告されているほか、ナミビアでは通信大手Paratusが手がける「Eduvision」プログラムにより1万2000人超の生徒の学習成果が改善したとされています。地上インフラの整備が難しい地域における教育格差解消の手段として、スターリンクの存在感は世界的に広がりを見せています。

