特集&エッセイ

少しずつ見えてきた2万5000ドルの次世代テスラEV! イーロン・マスクが起こそうとしている次なる革命とは?

EVcafeで考える 第17回

by がす

 イーロン・マスク「そのクルマに象徴される製造革命は、人々の度肝を抜くだろう」

 こんにちは!がすです。

 2023年9月に発売された伝記作家ウォルター・アイザックソンの「イーロン・マスク」で イーロン・マスクが、車両価格2万5000ドル(約356万円)といわれる次世代テスラEVの生産開発に取り組んでいることが明らかになりました。

 2万5000ドルの次世代テスラEVについてはかねてから噂がありましたが、この本の情報を契機に様々な情報や噂がとびかっています。そんな中、テスラは2023年11月30日に、発表から4年越しとなるサイバートラックをついに納車開始し、量産は不可能と言われた他社トラック業界の幹部たちを黙らせました。そのサイバートラック自体からも2万5000ドルの次世代テスラEVへのヒントがいくつか出てきています。

 本記事では、そういった最新情報から、がすなりの視点で2万5000ドルの次世代テスラEVについて考察をしたいと思います。

 今回、テスラが2万5000ドルの次世代テスラEVに取り組むにあたって、ひとつはっきりしていることがあります。それは、イーロン・マスクはこの2万5000ドルの次世代テスラEVの開発で自動車の製造革命を起こそうとしているということです。

 テスラではかつて「EVは玩具」と言っていた巨大自動車メーカー幹部らをモデル3やYの大ヒットで黙らせて、スペースXではNASAが「それは絶対に不可能だ」と断言していたロケットの再利用によるコストダウンを実現しました。「不可能」にチャレンジし続けることが宿命のようなイーロン・マスクという男の、次のターゲットが「2万5000ドルの次世代テスラEV」の開発に定まったのです。

 自動車などの分解調査レポートを得意とするエンジニアリング会社の重鎮サンディー・マンローは、時々イーロン・マスクと対談をしていますが、最新の対談でイーロン・マスクは2万5000ドルの次世代テスラEVの開発についてこう語りました。

「私は毎週、(開発中の低価格電気自動車の)生産ライン計画を見直します。私たちテスラはその取り組みにおいてかなり進んでいます。そのクルマに象徴される製造における革命は、人々の度肝を抜くだろう」

イーロン・マスクとサンディー・マンローの対談

 EVのコストダウンというとまず思い浮かぶのはバッテリーのコストダウンです。これは3年前のバッテリーデーで、テスラは新型4680バッテリーセルでコスト半減という目標を示していました。製法の改善や、素材の異なるリン酸鉄リチウム(LFP)バッテリーを開発するなど他のバッテリーメーカーであるCATLやBYD、LGらがしのぎを削っていますが、テスラの新型4680とてコストダウンには数年かかるといわれており、できたとしてもそもそも、バッテリーのコストダウンだけでEVがいきなり1万ドル安くなるような劇的なことはないと思われます。

 つまり前述のイーロン・マスクの発言にもあるように、2万5000ドルのテスラEVを実現するには、そのコストダウンその焦点は「生産ライン」にあるということです。

 イーロン・マスクは、モデル3の生産時に「生産地獄」(テスラの工場で生産ロボットやソフトが思い通りに機能しないことを解決し、無駄な部品や工程を改善する等、イーロン・マスクがエンジニアと一緒に連日会社に泊まり込みで生産ラインを改善していった)を経験したことから、工場を「マシンを構築するマシン」として重視するようになり、生産ラインについても専門のエンジニア以上に熟知しています。

イーロン・マスクのAIイメージ

 恐らくイーロン・マスクはEVの生産ラインを、2万5000ドルのEVを実現するために何度も設計、テストを繰り返していると思われます。

 例えばその中で、ミニカーをポンポン鋳造する発想で実現したダイキャストマシン(巨大な鋳造マシン)も使用するはずです。そのダイキャストマシンは、すでにモデルYやサイバートラックの製造で使われており、その金型にアルミ合金を流し込んで、ひとつの大きな部品を作ってしまうという手法です。通常は70個の鋳物で作る車体のフロント部分をたった1つの部品に置き換えます。テスラでの実用化成功を見たトヨタ、GM、ヒョンデ、ボルボ、NIOもこの製法を真似しようと準備しています。

 そのダイキャストマシンをテスラはさらに進めているようです。テスラ関係者らによると、テスラは他社とリードを広げるべく、従来の自動車の約400個の部品ではなく、EVの複雑な足回りのほぼすべてを一体でダイキャストできる技術革新(ギガキャスティング 2.0)に近づいているといるとのニュースがありました。

 このあたりの技術革新も2万5000ドルのテスラEVを実現するために使ってくると予想します。なぜならタイミング的にもぴったりだからです。

 先日発売されたサイバートラックでは、通常、現代の車内部に張り巡らされたワイヤーハーネス(車内の電源供給や信号通信ケーブル)を廃止して、代わりにギガビットイーサネットケーブルを張り巡らして配線の総量を77%削減し、高コストの銅の使用量を半分にしました。2万5000ドルのテスラEVでも同様の手法を取り入れてくることは想像に難くありません。こういった部分は自動車、自動車製造の常識や当たり前を疑い、見直してコストダウンや改善につなげるイーロン・マスクが得意とする部分です。

 特に2万5000ドルのテスラEVは、サイバートラックよりも大量生産するEVだと思いますので、そういったひとつひとつのコストダウンが大きく効いてくると思われます。

 現在の新モデル3ハイランドは、ウィンカーレバーもシフトレバーも無くなりましたが、この路線は2万5000ドルのテスラ次世代EVでも同じです。

イーロン・マスクのAIイメージ

 テスラが明言していませんが、この「2万5000ドルの次世代テスラEV」のシャーシなどのプラットフォームはテスラのAIでの完全自動運転EVロボタクシーと同じになるはずです。伝記「イーロン・マスク」にある通り、イーロン・マスクは「無人のロボタクシーでドアの開閉や空きっぱなしはどうするのだ?」などテスラ社内であらゆる想定の議論をしてロボタクシーの開発をしています。私は2万5000ドルの次世代テスラEVから、ハンドルとアクセルとブレーキペダルを取り除いて、その分、ドアの機能など自動運転のための機能を追加したEVがロボタクシーになると考えています。

 つまりロボタクシーとプラットフォームを共有することで大量生産によるコストを下げることができるわけです。

 もうひとつは今までの自動車販売には考えられなかったビジネススキームです。それはテスラがAIによる完全自動運転機能をアプリダウンロードで販売できるということです。この強力なソフトがあるため、車というハードで稼がなくても、ソフトで収益を上げるということが可能になります。

 そして、そのAIによる完全自動運転の実現に、テスラはめどがついているということも忘れないでください。テスラは完全自動運転(FSD)ベータの次のバージョン12から「ベータ」を外します。

 補足となりますが、テスラは新モデル3ハイランドでも後部座席にモニターを付けました。これは完全自動運転を見越して車内のエンタメ環境を充実させようとしているからです。これが今後、テスラEV全般、特にロボタクシーには強化されると思われます。テスラはかねてから要望されている、テスラ車内のアプリ参入を他社にまだ大きく開放していません。他社の有料のゲームアプリが出るだけではないと思います。それは、例えば観光案内のアプリを起動すれば自動運転で観光スポットへ行き、ナレーションが流れ、グルメツアーもできるかも知れません。あと例えば、私は旅行中に家にあるペット用のカメラでスマホから自宅の猫の様子を見るのですが、このアプリがテスラに統合されて「テスラのモニターにも表示されたらいいのに」とよく思います(走行中は猫が元気であれば笑顔のアイコンだけ表示されている等)。こういったテスラのアプリによるさらなる収益化もEVのコストダウンに貢献できる材料です。

 さて色々考えましたが、今どきのご時世の中、イーロン・マスクだけが「製造に革命」と言ってくれることが面白くて仕方ありません。テスラのこの次世代EVの登場を楽しみにしようではありませんか!

 ※本記事のメインカットは、AIで制作したイーロン・マスクのイメージです。

(文・AIイメージ作成 がす)

がす(来嶋 勇人)

 福岡県出身。(株)ファミリーマートのマーケティング本部でアプリやコーヒーのパッケージを作っていたが早期退職。無職になりテスラでハローワークに通い見つけた会社に入社。そこでゼロからスタートし、そこの関連会社の社長に抜擢され就任。現在はECやアニメーション事業を行っている。

 プライベートでは2024年からイーロン・マスクの公式パロディアカウント(フォロワー140万人)からオファーをもらいイーロン・マスク(パロディ)公認のAIデザイナーとなり、ハイクオリティなAI画像をイーロン・マスク(パロディ)に提供中。そのメールをやりとりしているイーロン・マスク(パロディ)はイーロン・マスク本人だと思っている。

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