特集&エッセイ

投資家必見!イーロンの8兆円報酬プランより大事な、2024年株主総会の核心とは?

電動革命の波に乗る! EV株投資の秘訣 第8回

by じんべい

 2024年6月13日(現地時間)、米国のEVメーカー、テスラの年次株主総会が開催されました。この総会では、2018年に決まっていたCEOイーロン・マスクへの報酬パッケージプランに対する株主投票が話題となりました。

 その発端は、テスラの株主がイーロン・マスクへの報酬が高すぎるとして起こした訴訟です。ビジネス紛争を取り扱うデラウェア州衡平法裁判所は、2024年1月に原告側の主張を認め、総額560億ドルのマスクの報酬パッケージの取り消しを命じました。この判決にイーロン・マスクは激怒し、今後の裁判対応も考慮してテスラ本社をデラウェア州から南テキサスへ移転するプランを打ち出しました。

 今回の株主総会では、報酬パッケージプランとテスラ本社の移転についても投票が行われました。これらが否決されれば、自身がテスラを去る可能性があるとマスク本人が示唆したため、イーロン・マスクCEOを失いたくない世界中のテスラ株主が投票に参加しました。その結果を見守った株主総会となったのです。

 その株主総会では、話題となっていたイーロン・マスクの2018年報酬プランが株主の大多数の賛成(テスラの公式発表では72%の賛成票)によって再承認されました。この決定は、デラウェア州の裁判所が報酬契約を無効とした判決に対するテスラ株主の意向となりました。

 ただし、これによって1月に裁判官が下した判決が自動的に無効になるとは思いません。判決結果を覆すには、今後の控訴や裁判官とのさらなる手続きが必要となるでしょう。しかし、今回の投票でテスラの株主がイーロン・マスクの報酬パッケージを再承認したことで、テスラは法的根拠を得ることになりました。裁判におけるテスラの立場は有利になります。判事は以前、テスラの取締役会がマスクの支配下にあり、株主の利益を代表していないと考えていました。しかし、再投票で株主が賛成したことで、判事の主張は無効となり、株主が報酬パッケージを支持していることは明らかになりました。

 今回、テスラCEOの報酬パッケージが再承認されたことは、イーロンが引き続きテスラでリーダーシップを発揮するための重要な一歩と見られています。以前、Xの投稿でイーロンは「会社の25%の支配権」を握らない限り、テスラでAI製品を開発するのは「気が進まない」と示唆しました。この発言により、テスラ株を保有する投資家は不安を覚えました。株主総会でイーロンの報酬プランが再承認されなければ、イーロンはテスラを去るのではないかという懸念から、テスラ株価もここ数ヶ月間、少なくない影響を受けました。イーロンの発言以降、テスラの株価は上値を抑えられ、ほぼ横ばいの状態が続いています。

 しかし、報酬プランが認められたことで、イーロンは自身の資産に直接影響を与えるテスラ事業の拡大に専念することが期待されています。自動運転やヒューマノイドロボット開発といったAI事業を成長させるため、彼は自身のリソースを最大限割いてくれることでしょう。

 今回の株主総会でイーロンの報酬プランと並んで重要な決議とされていたのが、テスラ本社のテキサス州への移転です。先日の年次株主総会で株主の承認を受け、テキサス州への再登記に成功しました。株主総会の投票結果が発表される前に、テスラはすでにその準備を進めており、テキサス州法人となるために必要なすべての申請を完了したと自社のウェブサイトで発表しました。

 この移転により、テスラは税制面で優遇される可能性があるほか、ギガテキサスという自社の製造拠点により近くなることで、さらなる成長と拡大が見込まれます。

テスラ投資家が知るべき株主総会の重要ポイント3選!

 ここまでは、今回の株主総会で投票にかけられた重要決議がテスラに及ぼす影響について述べましたが、テスラ投資家にとって重要なのは株主総会でイーロン・マスクが何を語ったのかということです。イーロンの報酬プラン再承認とテキサス移転はあくまで株価の重しを取り除いたに過ぎません。今後のテスラの成長が、株価飛躍へのカギです。

 ここからは、先日の株主総会で発表された今後のテスラの事業拡大と、株価成長に影響を与える可能性があるトピックを以下の3つに厳選して紹介します。

1.テスラが今後導入する新モデルは3つ

2.ロボタクシーのティーザー映像公開

3.オプティマスはテスラ株価を8,000ドルに押し上げる!?

それでは順番に解説します。

1.テスラが今後導入する新モデルは3つ

 先日の株主総会で投資家が一番期待していたのは、新モデルの情報がイーロン・マスクの口から語られるのではないかということでした。もちろん、新製品発表についてはテスラがお披露目イベントを実施して大々的に行うのが慣例ですが、高額報酬プランの承認によって気分を良くしたイーロンがつい口を滑らせ、新情報を出してくれるのではないか?そんなことを期待していたのは、私だけではないと思います。

 しかし残念ながら、新モデル発表は今回ありませんでした。それでも投資家の注目を集めた新モデルに関連するプレゼン資料がこちらです。

出典: YouTube | 2024 Annual Stockholder Meeting

 写真をよく見ると、既存モデルの中に3つ、白いベールに包まれた車があります。株主総会後、テスラ投資家の間では、「この新タイプのEVは一体何なのか?」とSNS上で話題となりました。

 この新モデルを含めたテスラEVラインアップのビジュアルは初出しではありません。以前も似たような資料が公開されました。ただ今回少し違うのは、新モデルが資料の中で配置されている位置です。既存のモデル3とモデルYの左側に2台、サイバートラックとセミの右側に1台配置されています。

 これはあくまで私の推測ですが、左端上部の新モデルは低価格モデル、その下がロボタクシー、そして一番右が新型ロードスターなのではないかと考えています。テスラは今年4月の第1四半期決算発表の場で、2025年後半に低価格モデルを導入すると述べました。また、8月8日にはロボタクシーをお披露目する予定となっているので、既存ラインアップと比べて安価であることが期待されるこの2車種が左端に配置されているのではないでしょうか。

 また、一番右の新モデルが新型ロードスターと推察する理由は、新型ロードスターが最大25万ドルを超える超高級車になる可能性があることと、スペースXの共同開発によって生み出される特別なEVであるからです。

 最近のイーロンの投稿でも、「新しいテスラ・ロードスターは飛ぶことができる」と述べており、おそらく新型ロードスターは特殊エンジンからロケットブースターのような爆発的な推進力を得て、運転手に宙を飛んでいるような錯覚を引き起こすほどのスピードを体感させる車になるのだと思います。

 そのような特殊コンセプトの車だからこそ、サイバートラックやセミの近くに置かれているのだと思います。新型ロードスターは1秒未満でゼロから時速60マイル(約97キロ)に達することを目指しており、年末にお披露目となる予定です。

 このように、テスラは今年後半から来年にかけて、これから新たなテスラの製品歴史を形作る様々なスペシャルEVを市場導入する予定です。テスラ投資家のみならず、自動車関係者は今後のテスラの新製品ニュースからますます目が離せません。

2.ロボタクシーのティーザー映像公開

 2つ目の株主総会注目ポイントは、イベント内でロボタクシーアプリを使っていると思われる動画が公開されたことです。これはイーロン・マスクがステージに登場する前に流れたテスラの企業紹介動画の中にさしこまれていました。

 動画内のロボタクシーアプリには、ピックアップ地点がピン留めされ、そこにモデルYが向かっている様子が映し出されていました。画面には気温やモデルYの到着時刻も表示されており、明らかに配車アプリであることがわかります。イーロンは4月の決算発表の電話会議で、テスラはAirbnbとUberを組み合わせたようなロボタクシー事業を計画していると述べており、今回の株主総会でもそのことを改めて強調しました。

出典: YouTube | 2024 Annual Stockholder Meeting

 8月8日には、いよいよこのロボタクシー構想が明らかになります。実際にはどのようなアプリが出来上がってくるのか、ロボタクシー専用車両の発表もあるのか、期待が高まります。

 3.オプティマスはテスラ株価を8,000ドルに押し上げる!?

出典: YouTube | 2024 Annual Stockholder Meeting

 イーロン・マスクは、テスラが現在開発中の人型ロボット「オプティマス」が25兆ドルの価値を持つと発言しました。この記事を執筆している現在、テスラの時価総額は約5500億ドルです。つまり、テスラがオプティマスの成功によって時価総額25兆ドルに到達した場合、テスラの株価は現在の株価178ドルの45倍、約8000ドルになることを意味します。

 「いやいや、そんなのは絵空事だろう」と疑いの目を向ける人は多いと思いますが、イーロンはいたって真剣です。これまでも不可能と思われた大衆向けの電気自動車の量産化に成功し、高層ビルのような巨大宇宙ロケットを開発し、それを大気圏まで飛ばしただけでなく、機体を地球に着陸させて戻すという誰もが想像できなかった偉業を成し遂げました。また、ニューラリンクの超小型チップを脳に埋め込んだ被験者が、思考によってコンピューターマウスを動かせるようにもなっています。

 将来、このオプティマスが映画「スター・ウォーズ」に登場するC-3POやR2-D2のように、人と対話し、家事から育児、工場での作業まで携わることができるようになれば、その世界的な需要はすさまじいものとなるでしょう。

 今回の株主総会の結果から、イーロンが再び情熱と活力を持って、テスラのAI事業に取り組むことが確約されました。これは長期でテスラ株を保有したい投資家にとって大きな安心材料です。これから、テスラがイーロン・マスクのリーダーシップの下で、更なる躍進を続けてくれることを期待したいと思います。

メイン写真:現在発表されているテスラ・ロードスターのイメージ(提供元:Tesla, Inc. )

文・じんべい

 日本企業でサラリーマンをしながら、 米国株式投資や太陽光発電投資で資産形成し、2023年3月にサイドFIRE。 株式投資では、S&P500を積立投資しながら、 個別株はテスラを中心としたEV銘柄に集中投資を実行中。YouTubeチャンネル『じんべい【テスラとNio】について語るチャンネル』登録者数:約1万3000人。 X(Twitter)フォロワー数:約7000人。平日毎朝、Xにて前日のテスラ株価情報を発信、また毎週末にはYouTubeでテスラ株価ニュースを配信中。

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