電動革命の波に乗る! EV株投資の秘訣 第11回
by じんべい
10億回視聴されたイーロン・マスクとトランプ前大統領の公開対談
日本時間8月13日(火)の朝9時過ぎにテスラのCEOイーロン・マスクと前米大統領のドナルド・トランプ氏がXスペースで一般公開形式の対談を行いました。
対談後、イーロンが自身のXアカウントへの投稿で明らかにした情報では、トランプ氏との会話と、その後の他のアカウントによる議論を合わせた視聴回数はおよそ10億回に達したとされています。
そんな世紀の対談とも呼べる元米大統領とテスラ及びスペースXのCEOとのオンラインディスカッションでは何が語られたのか。テスラに関する情報を中心に筆者がまとめた対談内容を解説したいと思います。
トランプ氏はテスラEVを「素晴らしい製品」と絶賛
イーロンは持続可能なエネルギー経済への移行について次のように語りました。「それは私たちが目指すべき方向だ。人々はまだステーキを食べたり、ガソリン車を運転したりできる。それを悪者扱いすべきではないと思うが、持続可能性に向かって進むべきだと思う。将来的には太陽光発電が地球上のエネルギーの大部分を占めると考えている。太陽光発電とバッテリーを組み合わせ、それで電気自動車を充電することで、長期的に持続可能な解決策が得られる。これがテスラが目指している方向だ。 しかし、私たちの車を見ると、環境を大切にすることが苦しみを意味するべきではないと信じているので、車が美しく、走りが良く、速く、魅力的であることを確保している。モデルS、モデル3、モデルX、モデルYを組み合わせると『SEXY』になる。これはおそらく最も高価なジョークだろう。私は、インスピレーションを与える未来を目指そうという考えの大きなファンだ」
一方、トランプ氏はイーロンに対して、「あなた方は素晴らしい製品を作っていると言わざるを得ない。正直に言わなければならないが、だからといって誰もが電気自動車を持つべきだという意味ではない。これらは些細なことだが、あなたの製品は素晴らしい」と述べました。
アメリカ人の誇りとなる地下EV専用トンネルを全国へ
また二人は高速交通網についても議論し、イーロンは次のように発言。
「都市間に世界で最も進んだ高速接続を構築して、人々が迅速に移動できるようにすることも可能だ。トンネルを使えば交通問題を解決することができ、実際、ラスベガスではすでに大きな進展を遂げている。中国には都市間の素晴らしい高速鉄道があるが、トンネルを使えばもっと優れた高速交通手段を作ることが可能だと思う。アメリカ人が『世界で一番クールなものを持っている』と言えるようなものができれば、誇りに感じられるだろうし、地上の列車よりもはるかに安全だ」
これに対し、トランプ氏は、「ラスベガスでやったことは本当に素晴らしかったよ。見学したけど、それは驚くべきものだった。あれを全国に広めることができるはずだ」とイーロンのボーリング・カンパニーがラスベガスで開発を進めている3次元の地下EV専用トンネルを引き合い出し、それを全国に展開するべきだと主張しました。
さらにイーロンが「アメリカ人が再び未来に期待を感じることが重要だ」と言ったことに対しては、「彼らはアメリカンドリームを取り戻したいのだ。イーロン、君はアメリカンドリームだ。驚くべき人物だ。信じられないような成果を上げてきた。君は多くの人々にとって大きなインスピレーションだ」と発言し、イーロンがアメリカンドリームを体現し、多くの人々にインスピレーションを与える存在だと賞賛しました。
石油業界に配慮したイーロン・マスクの大人な対応
今回のイーロンとトランプ氏の対談の大半は、アメリカの外交・安全保障、経済・エネルギー、移民問題に関して現バイデン政権を批判する内容に終始した感じでした。テスラファン、テスラ投資家が期待する電気自動車や自動運転、AI、オプティマスといったテクノロジーに関するテーマについては語られることはありませんでした。
まあ今回はイーロンが技術関連の話をしたとしてもトランプ氏がその話題に乗ってくる保証はなく、トランプサイドのファンにとっても興味がある話題ではないと思うので、イーロンが意図的に避けたのかもしれないですね。とにかく、今回の2時間に及ぶ対談を聞いて、イーロンの話ぶり、司会ぶりからは「次の大統領選挙はトランプ氏しかいない。民主党政権のままだとアメリカは大変なことになるから、みんなでトランプ氏を支持しよう」というメッセージが伝わってきました。
またもう一つ印象に残ったのは、イーロンが重要視するエネルギー政策に関して、「世界を持続可能なエネルギー社会に移行する」というテスラのミッションでもある自身の主張をトーンダウンさせたこと。イーロンは、「トランプ氏は大統領在任中、アメリカのエネルギー自立を強く推進し、化石燃料産業、特に石油・ガス産業を積極的に支援。前政権時代は石油採掘やパイプライン建設に対する規制を緩和し、エネルギー産業の成長を促しました」と石油業界を支持基盤に持つトランプ氏に配慮した発言をしていました。このイーロンらしからぬ大人の対応には驚きました。
このことからも、「今日この場ではトランプ氏をたてて、まずはトランプ氏の支持者を増やし、次期大統領になってもらうことが先決だ」。このようにイーロンは内心思っていたんではないでしょうか。それが今日のXスペースでのイーロンの話ぶりに現れていた気がします。
文・じんべい
日本企業でサラリーマンをしながら、 米国株式投資や太陽光発電投資で資産形成し、2023年3月にサイドFIRE。 株式投資では、S&P500を積立投資しながら、 個別株はテスラを中心としたEV銘柄に集中投資を実行中。YouTubeチャンネル『じんべい【テスラとNio】について語るチャンネル』登録者数:約1万6000人。 X(Twitter)フォロワー数:約7800人。平日毎朝、Xにて前日のテスラ株価情報を発信、また毎週末にはYouTubeでテスラ株価ニュースを配信中。