アルファベット傘下の自動運転開発会社Waymoは2025年9月2日、米コロラド州デンバーでこの秋から完全自動運転サービスの基盤構築を開始すると発表しました。同社は将来的な商用サービス開始に向けて、冬季の厳しい気候条件に対応した最新の自動運転技術を投入します。
デンバーはコロラド州最大の都市で人口約70万人、「マイル・ハイ・シティ(標高の高い街)」の愛称で親しまれています。標高約1600メートルに位置し、ロッキー山脈の玄関口として知られ、スキーリゾートへのアクセス拠点となっているほか、航空宇宙産業やテクノロジー企業が集積する経済の中心地でもあります。
Waymoは、第5世代Waymo Driverを搭載したジャガーI-PACEと、最新の第6世代Waymo Driverを搭載したZeekr(ジーカー)RT車両の混合車隊でサービスを開始します。同社の次世代システムは、ミシガン州、ニューヨーク州北部、シエラネバダでの数年間にわたる冬季運転トレーニングから得た知見を活用し、厳しい気候条件下でも自律的に運行を継続できるよう設計されています。

同社は地域に根ざした事業展開を重視しており、州政府や市当局と密接に連携して事業を進めています。コロラド州のジャレッド・ポリス知事は「コロラド州民がより速く、より安全に、追加の交通手段で移動できるよう支援することに興奮しています。我々の州はイノベーションによって推進されており、Waymoのデンバーにおける自動運転車技術の到来は一歩前進です。コロラド州はWaymoを歓迎します」とコメントしました。
デンバー市のマイク・ジョンストン市長も歓迎の意を示し、「仕事や学校、ファーマーズマーケット、あるいは夜の外出にライドが必要な人々にとって、Waymoはデンバー市民が安全に目的地へ到達する素晴らしい手段です。Waymoの革新的で気候に優しいテクノロジーは、我々の街をより安全にするだけでなく、よりクリーンにします。初乗車が待ちきれません」と語りました。
現在Waymoは週に25万回以上の有料乗車サービスを提供し、フェニックス、サンフランシスコ、ロサンゼルス、オースティン、アトランタの5都市で運営しています。同社は2026年にダラス、マイアミ、ワシントンD.C.への展開も予定しており、急速に事業拡大しています。自動運転市場では、テスラのイーロン・マスクCEOが今年中にオースティンでの運行開始を宣言するなど競争が激化しています。
標高が高く冬季の気候条件が厳しいデンバーでの自動運転技術の実用化は、全米各地の多様な環境での展開に向けた重要な試金石となります。Waymoの技術革新により、より多くの都市で安全で便利な自動運転サービスが実現することが期待されます。