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いすゞがBEVバス「エルガEV」を発売。日本勢が出遅れた国内路線バス市場次世代化のけん引役となるか?

2024 5/30
Mobility News
2024年5月30日
「エルガEV」ショートホイールベース・都市型モデル

 いすゞ自動車は、ディーゼルエンジンとハイブリッドで展開している路線バス「エルガ」のバッテリーEV(BEV)「エルガEV」の一部車両(ショートホイールベース・都市型モデル)を2024年5月28日に発売しました。

 現在、日本政府は「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を掲げていて、脱炭素化への取り組みはバス事業者各社にも求められています。そこでいすゞは、決められたルートを走行することの多い路線バスにおいてはBEVがカーボンニュートラル(CN)対応の動力源として有力な選択肢と考え、長年の路線バスの商品開発で培った実績を活用して、BEV路線バスのエルガEVを開発。2023年10~11月に開催された「ジャパンモビリティショー2023」で世界初公開しました。

 エルガEVは、座席数が少ない都市型のショートホイールベースとロングホイールベース、座席数が多い郊外型のショートホイールベースとロングホイールベースの計4モデルでの展開。今回先行で発売となったのは、ショートホイールベース・都市型モデルで、乗客定員70人、サイズは、全長×全幅×全高=10545mm×2485mm×3330mm、ホイールベース4990mmの車両です。

 このBEVバスの最大の特性はその安全性です。リアアクスルの左右それぞれにモーターを内蔵した「インアクスルモーター」を採用したことにより、フロアを低床化。バッテリーパックを屋根上と車体後部の床下に配置したことで、フロアレイアウトの自由度を高め、車内前部の乗降口から最後部座席まで段差のないバリアフリー化を実現し、従来の段差がある路線バスに比べて乗客の利便性と安全性を飛躍的に向上させました。また、BEVの特性でもあるスムーズな加速感と低騒音・低振動により移動時の快適性も増しています。

エルガEVは、車内前部の乗降口から最後部座席まで段差のないバリアフリー化を実現
エルガEVは、車内前部の乗降口から最後部座席まで段差のないバリアフリー化を実現

 また充電機能においては、国内主流の350Vで充電できる高電圧バッテリーを採用し、3.2時間で20%の残量から80%まで充電でき、一充電あたりの走行距離は360km(30km/h一定速、国土交通省届出値)となっています。V2L機能が搭載されていることで、災害時には救援車として、エルガEVから電力を取り出して家電機器などに電力供給が可能です。

バッテリーパックを屋根上と車体後部の床下に配置したことで自由なフロアレイアウトが可能になったエルガEV
バッテリーパックを屋根上と車体後部の床下に配置したことで自由なフロアレイアウトが可能になったエルガEV

 エルガEVはバスを運転するドライバーへの安全性にも配慮されています。路線バスのドライバーが操作しなれたエルガと親和性のある運転席周辺のメーター機器類や、BEVでありながらクリープ走行を可能にするなど、従来のバスと同等の操作性を確保し、日々、様々なバスを乗り換えて運転するドライバーの安全性と負荷軽減が配慮されています。

 先進安全機能では、ドライバーステータスモニター(DSM)によって運転席ピラー下部のカメラから運転中の乗務員の状態をモニタリング。居眠り・眠気、脇見を検知すると、運転席のシートバイブレーターが作動し乗務員へ警告します。

 また、ドライバーの異常を検知、もしくは運転席や車内の非常ブレーキスイッチを押すことでドライバー異常時対応システム(EDSS)が作動し速度を段階的に低下させ停車。車両が停止した後には自動でパーキングブレーキが作動し、坂道などでも安全に車両を停止させるという、国内路線バスで初めての機能が搭載されています。

 さらに、自車前方の歩行者・自転車を検知し、ドライバーへ通知するフロントブラインドスポットモニターも装備、車外事故低減に向けた安全性も高くなっています。

国内路線バスのドライバーが操作しなれたエルガと親和性のある、エルガEVの運転席周辺メーター機器類
国内路線バスのドライバーが操作しなれたエルガと親和性のある、エルガEVの運転席周辺メーター機器類

 そして、事業者側にも同BEVバスを活用するメリットがあります。エルガEVは、バスとして初となる、いすゞ独自のコネクテッド技術を活用した、遠隔で車両コンディションをモニターできる「プレイズム」を採用。先進のコネクテッドサービス「プレイズム」を通して、事業者のオフィスのPCで、バッテリー充電残量(SOC)、航続可能距離、充電状態などのBEV運用に欠かせない情報や万一の故障が把握できます。

 また、急速充電器での基礎充電が前提となるBEV路線バスの運行においては、施設のデマンドピーク上昇に伴う電気コストの負担増という新たな運用課題が発生します。そこで、いすゞでは運行管理サービスの一部機能を活用することで、運行計画と連動した充電計画や遠隔充電管理の機能が拡充され、事業者の施設側のエネルギーマネジメントシステムと連携することが可能に。施設側の電力予測や使用状況を踏まえた充電計画の立案と充電実施により、事業者の電気コストにかかる課題を解決してくれます。

ロングホイールベース・都市型モデルのエルガEV
ロングホイールベース・都市型モデルのエルガEV

 2025年4月に開幕が迫る「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」において運行される国産の先進BEV路線バスへの期待も高まっていますが、実は、中国のEVメーカーBYDのBEVバスがシェアの7割を占めるというのが、日本国内BEV路線バス市場の現状。いすゞが開発したエルガEVは、この新しい市場でどこまでシェアを広げ、日本勢が出遅れている国内路線バス次世代化のけん引役になることができるでしょうか?

 エルガEVのショートホイールベース・都市型モデルの東京地区メーカー希望小売価格は6578万1980円(消費税込み)。エルガEV全体の年間目標販売台数は150台。都市型のロングホイールベース、郊外型のショートホイールベースとロングホイールベースの各モデルは順次発売予定です。

「エルガEV」ショートホイールベース・都市型モデル
型式:ZAC-LV828L1
全長×全幅×全高:10545mm × 2485mm × 3330mm(設計値)
ホイールベース:4990mm
モーター種類:交流誘導電動機
最大出力 / 最大トルク:250kW(125×2) / 960N・m(480×2)
バッテリー種類:リチウムイオンバッテリー
バッテリー容量:245.3kWh(いすゞ社内参考値)
充電方式:急速充電(CHAdeMO)
一充電走行距離:360km(30km/h一定速、国土交通省届出値)
最小回転半径:7.8m
乗車定員:70人

ジャパンモビリティショー2023で世界初公開されたエルガEVの紹介動画

Mobility News
いすゞ自動車 エルガEV
「エルガEV」ショートホイールベース・都市型モデル

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