ヒョンデは、2025年7月10日、英国のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで高性能EV「IONIQ 6 N」を世界初公開しました。同モデルは、テスラモデル3パフォーマンスの有力な対抗馬として注目を集めています。
IONIQ 6 Nは最高出力650PS、最大トルク770N・mを発揮し、テスラモデル3パフォーマンスの460hp、最大トルク723N・mを大きく上回るパワースペックを誇ります。0-100km/h加速は3.2秒(Nローンチコントロール使用時)で、テスラの3.1秒と同等の性能を実現しています。

同モデルは、最高速度ではテスラモデル3パフォーマンスの262km/hには及ばないものの257km/hを記録し、高速域での性能も申し分ありません。また、84.0kWhのバッテリーを搭載し、350kW充電器使用時には10%から80%までわずか18分で充電可能です。

そして、IONIQ 6 Nの最大の特徴は、テスラにはないサーキット走行機能の充実です。独自開発の「N Battery」システムは、ドラッグレース、スプリント、エンデュランスレースなど異なる走行シナリオに応じてバッテリーの温度管理を最適化。「N Drift Optimizer」機能では、ドリフト開始、角度、ホイールスピンを個別に調整可能で、「N Track Manager」により、カスタムトラック作成や詳細なラップタイム分析も行えます。

テスラモデル3パフォーマンスも「Track Mode」を搭載していますが、テスラが実用性とパフォーマンスの両立を重視しているのに対し、ヒョンデは、より具体的で包括的なサーキット機能を提供することで、積極的にモータースポーツ要素を取り入れています。

IONIQ 6 Nはスワンネック式リアウイング、ワイドフェンダーなど視覚的にもスポーティーな外観を採用。空気抵抗係数0.27を実現しながら、高速コーナリング時の安定性を重視した設計となっています。サスペンション面では、完全に再設計されたジオメトリーと新開発のストローク感知式ECS(電子制御サスペンション)ダンパーを搭載し、サーキット性能と日常使いの両立を図ります。

「N Active Sound +」システムでは、モータースポーツ風の「Ignition」、未来的な「Lightspeed」、EV専用サウンドの「Evolution」など、運転シーンに応じた音響体験を選択できます。静粛性を重視するテスラとは対照的なアプローチです。「N e-Shift」システムによる仮想ギアシフト体験も、従来のスポーツカーに慣れ親しんだドライバーには魅力的な機能として映る可能性があります。
高性能EV市場における新たな選択肢となるIONIQ 6 Nの納車は、海外メディアによると2026年初頭に開始予定とされていますが、ヒョンデはまだ正式に発表していません。詳細な価格設定は、各地域での発売時に発表される予定です。

