北欧のEV先進国であるデンマークにおいて、2026年2月の新車販売台数でトヨタのバッテリーEV(BEV)「bZ4X」がモデル別首位を獲得しました。
2026年3月1日に発表されたデンマーク自動車輸入業者協会の集計によると、2026年2月の同国における新車販売台数は全体で1万1933台(前年同月比2.8%増)となり、そのうち電気自動車は9736台と、新車販売台数の81.6%を占めました。個人購入者セグメントでは、電気自動車が市場の94.4%を占めており、この状況はさらに顕著です。モデル別では、bZ4Xの登録台数が1364台を記録しました。これは2位にランクインしたシュコダの新型コンパクトSUV「Elroq(エルロック)」(681台)や、3位のフォルクスワーゲン「ID.4」(575台)に対し、約2倍の差をつける圧倒的な結果です。

デンマークの2026年2月新車販売ランキング
(デンマーク自動車輸入業者協会の集計)
- トヨタ bZ4X – 1364台
- シュコダ エルロック – 681台
- フォルクスワーゲン ID.4 – 575台
- シュコダ エニャック iV – 467台
- アウディ Q4 e-tron – 400台
- テスラ モデルY – 350台
- シャオペン G6 – 300台
- ルノー 5 – 262台
- BMW iX1 – 231台
- シトロエン C3 – 223台
一方で、これまで市場を牽引してきたテスラは「モデルY」が350台(第6位)、「モデル3」などを含めたブランド全体でも419台と落ち着いた推移を見せています。また、欧州市場でシェアを拡大しているBYDも、当月のデンマーク市場においてはトップ10圏外にとどまっており、bZ4Xの販売台数が突出した結果となっています。2025年以降に行われた大幅な商品改良が、現地ユーザーに高く評価されたものとみられます。

こうした動きは日本国内市場でも先行して見られていました。トヨタが発表したデータによると、2025年10月から12月の3カ月間、bZ4Xは日本国内の登録車BEV(軽自動車を除く電気自動車)カテゴリーにおいて販売台数第1位を連続して記録しました。この期間の販売台数は3448台に上り、これまで同セグメントを牽引してきた輸入車勢を上回る実績を残しています。2025年末時点での改良モデルの受注台数は累計約1万1000台に達しており、国内のEV市場における主要な選択肢としての地位を確立しました。
販売好調の背景にある具体的な改善点としては、BEV特有の懸念事項であった航続距離と充電性能の大幅なアップデートが挙げられます。2025年10月に実施されたbZ4Xの改良では、最新の電動駆動ユニット「eAxle」の採用や空力性能の最適化により、一充電走行距離が従来の最大567kmから746km(WLTCモード、Zグレード FWD)へと約32%も向上しました。また、冷間時のバッテリー暖機性能を高めるバッテリープレコンディショニング」機能を新採用し、低外気温下での急速充電時間を短縮。さらに、メーター表示には「80%までの充電完了時間」や「エアコン使用による航続距離の変化」を具体的に示す機能が追加され、実用面での安心感が高められています。

デンマークにおけるbZ4X躍進の要因としては、こうした製品力の向上に加え、極めて戦略的な価格設定とファイナンス施策が功を奏したことが挙げられます。現地での販売価格は29万9990クローネ(約660万円)からと、競合他社と比較しても非常に競争力のある水準に設定されました。特に「金利0%キャンペーン」や、頭金を抑えた月額3999クローネ(約8万8000円)からのリースプランの投入が、合理的で堅実な選択を好むデンマークの個人ユーザーの需要を強力に喚起しました。かつてデンマークのメディアが指摘した冬場の性能課題に対し、トヨタが調査と改善を継続し、ブランドへの信頼を回復させたことも大きな要因です。
欧州市場で高い評価を受ける実力車や、これまで市場を牽引してきたテスラ車をbZ4Xが大きく引き離したことは、トヨタの勢いを象徴しています。テスラ「モデルY」のデンマークでの販売価格は32万9990クローネ(約726万円)からとbZ4Xより高めに設定されていることも影響しているとみられます。テスラの普及が一巡したことに加え、トヨタをはじめとする既存メーカーがEV専用モデルの弱点を克服し、より手厚いアフターサービスや有利なローン条件を提示し始めたことで、市場の勢力図が変化しつつある現状を反映しています。

