2026年5月28日、トヨタ自動車は、高級ブランド「レクサス」が開発を進めていた次世代EVセダン「LF-ZC」の量産モデル開発を中止したことが明らかになりました。
「LF-ZC」は2023年10月に開催された「ジャパンモビリティショー」でコンセプトモデルとして世界初公開されたモデルです。当初は2026年中の生産開始を目標としていましたが、2024年末に一度スケジュールが見直され、2027年半ばへの延期が発表されていました。日経アジアの報道によると、今回の開発中止はその後の最終判断とみられます。同モデルは航続距離として当時の一般的なEVの約500kmに対して約1000kmを掲げ、全固体電池の搭載やギガキャスト工法の大規模導入を予定していました。

開発中止の背景として、世界的なEV需要の変化と、商品企画・製造への負荷を踏まえた社内の車両開発プロジェクトの見直しが挙げられています。北米や欧州でのEV市場の拡大ペースが鈍化するなか、トヨタはハイブリッド車(HEV)を含む複数の電動化技術を並行して進める「マルチパスウェイ戦略」を維持しており、今回の決定はその方針に基づいたものとみられています。
一方、「LF-ZC」向けに開発を進めてきた要素技術については開発が継続されます。車体後部をアルミ鋳造で一体成型する「ギガキャスト」、航続距離の大幅な延伸を可能にする「全固体電池」、新たなソフトウェア基盤といった技術は、今後の他の車両開発へ引き継がれる方針です。

この動きは、レクサスが2026年5月7日に世界初公開した新型BEV「TZ」の存在と合わせて見ると、同社の戦略的な方向性が浮かび上がります。「TZ」はレクサスブランド初となるBEV専用の3列シートSUVで、全長5100mm・全幅1990mmという大型ボディを持ち、日本国内では2026年冬頃の発売が予定されています。


トヨタは中国市場など一部ではセダンタイプのEV展開を継続しているものの、グローバル展開を担うレクサスブランドにおいては、北米向けの大型SUVなど需要が見込めるセグメントへ開発・生産リソースを優先的に振り分ける判断をしたとみられています。


