ホンダは、同社初の量産型BEVでもあるコンパクトEV「ホンダ e」の生産を2024年1月をもって終了、生産分が売り切れ次第販売終了とすることを発表しました。「ホンダ e」の販売期間は、2020年10月の国内発売から約3年間でした。
V2Hが搭載された「ホンダ e」は、国内のEVイベントなどでもよく出展されてきた一台。円をモチーフにした愛嬌のあるフェイスやシンプルな丸っこいデザインが、イベント会場でも子どもや女性に人気でした。
発売された2020年には、世界的に権威のあるデザイン賞「レッド・トット・デザイン」でプロダクトデザイン賞を受賞した「ホンダ e」。その愛らしいデザインだけでなく、ドアミラーのかわりとなるサイドカメラミラーシステムの6インチディスプレーや、世界初の5つのスクリーンを水平配置したワイドビジョンインストルメントパネルなど最新技術が多く採用されたBEVとしても注目を浴びました。
ただ、「ホンダ e」に搭載された最新技術の実用性や、インテリアの質感、最大259km(WLTCサイクル)の航続距離に対して、価格(税込495万円)が他社のEVと比較しても少し高額なのでは、との指摘は発売当時からありました。それが理由なのか、「ホンダ e」の年間販売目標台数は日本で1000台、欧州で1万台でしたが、累計販売台数は日本国内で1761台、欧州でも1万1987台にとどまり、すでに欧州では販売を終了。今回、日本でも生産終了が発表されたというわけです。
欧州で厳格化する環境規制に対応するために開発された経緯もある「ホンダe」は、もともと販売目標台数自体が控え目なEVでした。そう考えると、「都市型コミューター」と位置付けた街乗りBEVによって、EV市場に新しいスタイルを作った「ホンダ e」の量産販売自体が、ホンダにとっては実験的な試みだったともいえます。四輪車においては2040年までにEV・FCEV販売比率をグローバルで100%にする目標を掲げるホンダ。大きなニーズを抱えるコンパクトEV市場での、同社の次の一手も気になります。