テスラ&イーロン・マスク

トランプ氏銃撃を受け、イーロン・マスクが大統領選での支持を公表。2016年以降の両者の関係性とは?

世界が注目するイーロン・マスクとトランプ前大統領の関係性

 2024年7月13日、ペンシルベニア州バトラーでトランプ前大統領が演説開始直後に銃撃された事件を受けて、テスラのCEOイーロン・マスクは2024年アメリカ大統領選でのトランプ支持を初めて公表しました。

 今回の銃撃事件を受けイーロン・マスクは、自身のXアカウントに、銃撃を受けた直後トランプ氏が拳を振り上げる動画を投稿「私はトランプ大統領を全面的に支持し、彼の早期回復を願っています」とコメント。そのポストは1億8000万回表示され、220万件のいいねと、39万件のリポストで全世界に共有されました。

 7月12日にブルームバーグは、同日トランプ前大統領の再選を支持する政治資金団体に、イーロン・マスクが「かなりの額」を寄付したとの関係者の話を報道していましたが、マスク、トランプ陣営ともにコメントをしていなかったので、公にマスクのトランプ支持が公表されたのは、今回が初めてとなりました。

 イーロン・マスクは、前トランプ政権時代に経済諮問委員会に参加したこともあり、2人の関係性は、長年に渡り米国のマスコミにも注目されてきました。では、ドナルド・トランプが大統領となった2016年から現在までの、両者の関係性をインタビューやXの投稿などから見ていきましょう。

イーロン・マスクとトランプ前大統領の関係 (2016-2024年)

2016年11月:イーロン・マスク、大統領候補トランプの適性に疑問を提示

 ドナルド・トランプの勝利となった2016年実施の大統領選挙の直前、イーロン・マスクはトランプの適性に疑問を呈していたよう。CNBCのインタビューで、マスクはトランプ大統領候補について「おそらく適切な人物ではないと強く思います。彼は合衆国の評判を良くするような性格を持っているようには見えません」と述べました。

2017年6月:トランプ政権の大統領経済諮問委員会に参加、米国のパリ協定離脱後に辞任

 トランプ大統領誕生後、イーロン・マスクは政権の経済諮問委員会に参加。しかし、トランプ大統領が6月1日、地球温暖化対策の国際的枠組みであるパリ協定から離脱すると発表をすると、以下のようにツイートして同委員会を辞任しました。
「大統領諮問委員会を去ります。気候変動は実在します。パリ協定からの離脱はアメリカにとっても世界にとっても良くありません」

 また、同日には「パリ協定に基づき、中国は2030年までに米国が現在あらゆる電源から生産しているのと同量のクリーン電力を生産することを約束しました」ともポストして話題を呼びました。

2020年: 5月大統領選挙前、イーロン・マスクが州のCOVID-19パンデミック対策を批判、トランプ大統領はその行動を支持

 COVID-19パンデミック対策として、実施されたカリフォルニア州アラメダ郡のフリーモント工場閉鎖命令に対しイーロン・マスクは、「テスラは今日、アラメダ郡の規則に反して生産を再開します。私も他の皆と同じように生産ラインに立ちます。誰かが逮捕されるなら、私だけを逮捕するよう求めます」とTwitterに投稿しました。それに対して当時のトランプ大統領は「カリフォルニア州はテスラとイーロン・マスクに今すぐ工場をオープンさせるべきだ。 迅速かつ安全に行うことができる!」とツイートし、マスクの行動を公に支持。イーロン・マスクはそのツイートに「ありがとう!」と返信しました。

2022年7月:イーロン・マスク、トランプは大統領復帰から身を引く時と投稿

 2022年7月12日、トランプがイーロン・マスクに関して「もう一人のでたらめなアーティスト」と批判したことを受け、イーロン・マスクは「トランプが帽子を脱いで夕日の中に船出する時だと思います。彼を嫌っているわけではありませんが、トランプが身を引く時です。民主党も攻撃をやめるべきです。トランプが生き残る唯一の方法が大統領職に復帰することだと思わせないでください」と投稿しました。

2022年11月:トランプのTwitter凍結アカウントを復活へ

 Twitterを買収した直後の2022年10月27日、イーロン・マスクは、ドナルド・トランプの凍結アカウントの扱いについて議論を提示しました。11月18日、同SNS上で凍結アカウントを復活させるべきかの世論調査を実施。約1500万人が投票した結果は、51.8%が「はい」、48.2%が「いいえ」と答えました。これを受けて、11月19日にマスクは「国民はこう語りました。トランプは復権します。民の声は神の声」とポスト。トランプのTwitterアカウントを復活させました。

 しかし、トランプ自身はTwitterに戻ることを拒否し、「私はTRUTH SOCIALにとどまります。イーロンには感謝をするが、TRUTHは私の家です」とコメントし自身のプラットフォームであるTruth Socialの利用を続けると表明しました。

2023年3月:イーロン・マスク、トランプ起訴に懸念を表明

2023年3月30日にニューヨーク州マンハッタン大陪審は、34件の事業記録の改ざんについてトランプ前大統領を起訴することを決定。これは米国史上初めての元大統領に対する刑事起訴でした。トランプが逮捕されることについてイーロンマスクは 「もしそうなれば、彼は地滑り的勝利を収めるでしょう」と2024年大統領選への見解をXに投稿。その後、ドナルド・トランプ前大統領は8月、ジョージア州フルトン郡の拘置所に出頭し、逮捕され、保釈保証金を払って釈放されました。

2024年3月:イーロン・マスク、どちらの大統領も支持していないと投稿

ニューヨーク・タイムズがトランプとマスクの朝食会において、トランプ氏が資金注入を求め、もし大統領になった場合にイーロン・マスクを顧問にしたいと提案したと報道。その後マスクは、トランプ前大統領への寄付金を否定。「はっきりさせておきますが、私はどちらの大統領候補にも寄付をしていません」とコメント。

2024年7月:イーロン・マスクがトランプ陣営に多額の寄付をしたと報道される

 7月12日、ブルームバーグは、関係者からの話としてイーロン・マスクがトランプ候補の政治資金団体に多額の寄付をしたと報道しました。

2024年7月:トランプ前大統領襲撃を受け、全面的な支持を表明

 7月13日のトランプ氏銃撃事件を受けて、イーロン・マスクはXで全面的な支持を公表。また、「米国でこれほどタフな候補者はセオドア・ルーズベルト以来です」とトランプ氏の行動を賞賛しました。

 上記のように、2016年のトランプ大統領誕生以降、批判と擁護を繰り返しながらも、つかず離れずの関係性を維持してきたイーロン・マスクとトランプ前大統領。イーロン・マスクは、自身の影響力を踏まえてか、2024年大統領選においては、両候補に対して批判的ながらも中立な立場を続けてきました。

 しかしながら、7月12日の多額の寄付と今回の正式な表明により、その支持は明確となりました。莫大な資産とXでの約1億9000万人のフォロワーへの発言力を有するイーロン・マスクの動向は、今後大統領選挙の情勢に大きな影響を与えることとなりそうです。

メイン写真: Photo by Chip Somodevilla/Getty Images

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