ホンダは、3つの観点からHonda 0シリーズの革新的な技術を発表
2024年10月9日、ホンダが2026年からグローバル市場に投入予定の新型EVシリーズ「Honda 0」について、その核となる次世代技術を公開しました。「Honda 0 Tech Meeting 2024」と題された発表会で明らかにされた技術は、ホンダが掲げる”Thin, Light, and Wise.”(薄く、軽く、賢く)がコンセプト。
2024年1月に米ラスベガスで開催されたCES 2024においては、「SALOON(サルーン)」「SPACE-HUB(スペース ハブ)」の2台のコンセプトモデルを発表したほか、フラッグシップモデルとなるSALOONについては、コンセプトモデルに近い形で2026年の発売を予定していることを発表。また、2030年までにはHonda 0シリーズとして小型から中大型モデルまで、グローバルで7モデルを投入する計画です。
Honda 0シリーズは、ゼロからの発想で創り出される全く新しいEVシリーズとして位置づけられています。専用に開発されたアーキテクチャーを基盤に、5つのコアバリューを提示。それらは、「共鳴を呼ぶ芸術的なデザイン」「安全・安心のAD/ADAS」「IoT・コネクテッドによる新たな空間価値」「人車一体の操る喜び」「高い電費性能」です。
今回の技術発表では、”Thin”(薄く)、”Light”(軽く)、”Wise”(賢く)という3つの観点から、Honda 0シリーズに搭載予定の革新的な技術が紹介されました。
“Thin”(薄く)と “Light”(軽く)
”Thin”と”Light”の実現に向けては、新開発のEV専用プラットフォームが中核となります。このプラットフォームには2.0GPa級ホットスタンプ材(超高張力鋼板)が採用され、薄く低全高なスタイリングと乗員の安全・安心の両立を目指しています。また、薄型バッテリーパックと新開発の小型e-Axleの採用、さらにホンダ独自の低床フロア技術により、重量物を低く車両中心に配置することで低重心、低慣性を実現します。
バッテリーパックは、メガキャストと3D摩擦攪拌接合技術の採用により、約6%の薄型化を実現。また、ホンダのハイブリッド車での経験を活かし、10年後のバッテリー劣化率10%以下を目指すなど、長期的な性能維持にも注力しています。また、ボディー構造がシンプル化されることで、従来比約100kgの軽量化にも寄与します。
“Wise”(賢く)
”Wise”の実現に向けては、ホンダ独自のソフトウェアデファインドビークル(SDV)の開発が進められています。独自のビークルOSを搭載し、ユーザーレベルでの移動体験最適化を目指します。
AD(自動運転)/ADAS(先進運転支援システム)について、ホンダは既に自動運転レベル3を実用化していますが、Honda 0シリーズではこの技術をさらに発展させます。高速道路での渋滞時アイズオフ技術や、OTAによる機能アップデートを通じて、自動運転レベル3適用範囲の拡大を目指します。
また、操縦性能の向上にも力を入れており、ステア・バイ・ワイヤの採用や、ホンダ独自のロボティクス技術を活用した高精度の3次元ジャイロ姿勢推定と安定化制御により、快適なハンドリングと安定した走行を実現。
エネルギーマネジメントにおいては、ハイブリッド車で培ったバッテリーマネジメント技術と新開発のサーマルマネジメント技術を組み合わせ、EPAモードで300マイル(483km)クラスの航続距離を実現するほか、冬季の暖房使用時にも効率的なエネルギー消費を可能にする技術を導入しています。
また、知能化とデジタル技術の活用により、ユーザーのストレスを最小化しながら、運転や車内空間での楽しさを最大化。IVI(In-Vehicle Infotainment:車載インフォテイメント)における操作のシンプル化を徹底するとともに、XR(拡張現実)技術を活用したクルマに乗っていない人ともつながる仮想同乗体験など、さまざまなコンテンツを充実させるとしました。
ホンダは、これらの次世代技術を搭載したHonda 0シリーズの新たなモデルを、2025年1月に開催予定のCES 2025において公開する予定です。