テスラは、完全電動の大型トラック「セミ(Semi)」について、欧州向け仕様を正式に発表しました。米国仕様とは異なる設計変更が加えられているのが特徴で、欧州での納車開始は2027年を予定しています。正式なお披露目は、2026年9月15日から20日までドイツ・ハノーバーで開催される商用車見本市「IAAトランスポーテーション」の会場で行われる見通しです。
主なスペック
航続距離:550km(満載40トン・WLTP基準)
エネルギー消費量:1.0kWh/km
急速充電:30分で航続の最大60%を回復
出力:最大800kW
車両重量(空車):9100kg未満
車両総重量:40トン
電動PTO(ePTO):最大25kW
欧州仕様では、米国仕様に備わっていた従来型のサイドミラーが廃止され、カメラによるモニタリングシステムに置き換えられています。また、ヘッドライトのデザインは「モデルY スタンダード」に近い形状を採用しており、外観面でも米国仕様との差別化が図られています。バッテリー容量は米国のロングレンジ仕様(航続約800km)より小さいとみられ、車両重量から欧州仕様は米国の「スタンダードレンジ」に近い位置づけと推測されます。

欧州仕様の発表と時を同じくして、テスラは9月24日、米ネバダ州に建設したセミ専用工場の開所式を予定しています。実際には量産ラインはすでに今年4月から稼働しており、今回のイベントは生産開始そのものというより、いわば披露の場という位置づけです。
工場の年産能力は5万台とされていますが、2026年中にその水準へ到達することはなく、実際の生産台数は数千台規模からのランプアップにとどまる見通しです。欧州向けの本格展開はあくまで2027年から。今回のイベントの意味は、株価を再評価させるような材料としてではなく、セミという製品にようやく専用の生産拠点が備わった、という点にあります。

欧州の大型EVトラック市場には、すでにメルセデス・ベンツ「eActros 600」(航続約500km)、ボルボ「FHエアロ エレクトリック」(最大700km)、ルノー「E-Tech T 780」(最大660km)などが投入されており、航続距離だけを見ればセミが特に優れているわけではありません。一方でテスラは、最大800kWの急速充電網や、稼働・整備コストの低さを強みとして訴求する方針とみられます。
納車開始まではまだ時間がありますが、テスラは欧州でもセミ専用のサービスセンターや認定整備工場、出張対応の整備体制を整える計画を明らかにしています。米国内での量産がようやく本格化し、専用工場も稼働し始めたセミが、2027年にはいよいよ欧州の物流市場にも本格参入する形となります。

