スペースXは、米投資会社グレイン マネジメントが保有する全米規模の800MHz帯周波数を取得することで合意しました。2026年9月9日、公式Xにポストしています。
グレイン マネジメント側も、スペースXが同社の全米800MHz保有分をすべて取得すると発表しています。取引にはFCC(米連邦通信委員会)の承認が必要で、価格は公表されていません。
取得するのは、800MHz帯でペアになった最大14MHz幅の周波数です。具体的には817〜824MHzの上り、862〜869MHzの下りで、3224の郡にまたがり、米国人口のほぼ全域をカバーします。
スターリンク・モバイルはすでに2GHz帯の中帯域を持っていますが、中帯域は容量面で優れる一方、800MHzの低帯域はより遠くまで届き、壁や木々も通り抜けやすいため、日常的なカバレッジが現実的になるとされています。またスペースXは、既存のスマートフォンの多くがすでにこの帯域に対応していると説明しています。
イーロン・マスク氏は今回の取得を、米国全土の完全な携帯カバレッジに必要な「周波数パズルの最後の重要なピース」と表現し、「非常に大きな出来事」だと述べました。
スペースXは2025年以降、周波数の獲得を急速に進めてきました。EchoStarからAWS-4、Hブロック、AWS-3のライセンスを現金と株式で計196億ドルで取得し、65MHz幅を確保しています。これはスペースXが、スターリンクのダイレクト・トゥ・デバイス(D2D)サービス向けに、専用かつ連続した周波数を初めて手に入れたものでした。
今回の800MHz帯は、もともとT-Mobileがスプリント買収で引き継いだまま一度も展開しなかったものです。T-Mobileは29億ドルの現金とグレインの600MHz保有分と引き換えにグレインへ譲渡し、取引は8月に完了しました。その後の入札には、スペースXとASTスペースモバイルの双方が9月上旬までに予備的な提案を提出していたとされています。
スペースXは、FCCの最終承認を得た後、衛星とモバイル端末を直接つなぐコンステレーションと地上網の整備を組み合わせた柔軟なネットワークを、スターリンク・モバイルで運用するとしています。同じ週にはFCCがスターリンク・モバイルの第2世代コンステレーション申請を承認し、2GHz帯に最適化した1万5000基の衛星が認められました。
市場の反応も大きく、発表を受けてT-Mobile、Verizon、AT&Tの株価は時間外取引で5%以上下落しました。一方で、これでスペースXがすぐに既存キャリアの完全な代替になるわけではないとの見方もあり、FCCの審査や地上網整備の進み方が今後の焦点となりそうです。

