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100億マイルの真実:テスラの「推論AI」が描く、完全自動運転への最終回答

2026 1/14
電動革命の波に乗る! EV株投資の秘訣
2026年1月14日
Peter H. Diamandisのポッドキャストで語るイーロン・マスク(出典:背景イメージは筆者作成)

電動革命の波に乗る! EV株投資の秘訣 第43回 

by じんべい

 こんにちは、じんべいです。

 2026年が明けて、テスラの株価は軟調な動きとなっています。昨年12月は米国でのロボタクシー完全無人化、そして稼働台数の拡大期待で株価は一時490ドル近くまで上昇しましたが、現在こちらの記事を書いている時点では450ドルを切っています。

 チャートを冷静に見れば、依然としてテクニカルには弱い局面が続いています。「このままズルズルいくのか、それとも反撃の狼煙を上げるのか」。私たちは今、極めて重要な分岐点に立っています。

 ロボタクシーの普及がもたらすであろう莫大な利益や、数千ドルという野心的な目標株価。これらは確かに、私たちが目指すべき魅力的な「目的地」です。しかし、どれほど目的地が輝かしくとも、そこへ至るための「エンジン」が今どのように進化しているのか、その技術的実態を掴んでいなければ、投資家として揺るぎない確信を持つことはできません 。

 実は今、テスラの開発最前線では、私たちの想像をはるかに超える「知能の爆発」が起きようとしています。そのキーワードが、イーロン・マスクが放った「100億マイル」という数字、そして自動運転の本質を突いた「超ロングテール」と「推論」の関係性です 。

 今回は、なぜテスラはこれほどまでに「経験」にこだわるのか、そしてエヌビディアのジェンスン・ファンCEOが語った「物理的AI」がどうリンクするのか。ここを深掘りすることで、皆さんが持つテスラ株の「本当の価値」を徹底解説していきます。これを知れば、目先の株価の揺らぎなんて、もはや「ノイズ」にしか聞こえなくなるはずです。

イーロンが突きつけた「100億マイル」の真意

 まず、テスラコミュニティを騒がせたイーロンのポストを振り返りましょう。

「安全な無監督自動運転を実現するには、およそ100億マイルの訓練データが必要だ。現実には、複雑さの“超ロングテール”が存在する」

2026年1月8日、イーロンが投稿した「100億マイル」に関する発言(出典:X @elonmusk)
2026年1月8日、イーロンが投稿した「100億マイル」に関する発言(出典:X @elonmusk)

 現在、テスラのFSD累積走行距離は約72億マイルです 。単純計算では今年の8月ごろに100億マイルへ到達しますが、ここで理解すべきは数字そのものではなく、なぜこれほどの巨大なデータが必要なのかという理由です。

2026年1月9日時点のFSD累計マイル数(出典:テスラ公式サイト)
2026年1月9日時点のFSD累計マイル数(出典:テスラ公式サイト)

 これは、自動運転における安全性の定義が、これまでの「ルールベース」から、全く新しい「推論ベース」のステージに突入したことを示唆しています 。イーロンの言う100億マイルとは、単に道を覚えるための距離ではありません。それは世界中のあらゆる「例外」を網羅するために必要な、いわば「人生経験の総量」なのです 。

 人間が一生かけて運転しても数百万マイルですが、テスラは数百万台のフリートを使い、人類数千人分の人生を毎日「経験」として取り込んでいます。この圧倒的なスケール感こそが、テスラの揺るぎない勝ち筋です 。

自動運転最大の敵「超ロングテール」の正体

 自動運転において、99%の状況に対応するのは実はそれほど難しくありません。しかし、残りの0.0001%――これがいわゆる「超ロングテール(長い尻尾)」の部分です 。

  • 交差点で警察官が手信号で誘導している
  • 道路の真ん中を人の集団が走っている
  • 車椅子に乗った人が後ろ向きに横断歩道を渡っている

 こうした「数億マイルに一度」のレアケースは無限に存在します。従来のWaymoなどが採用する「高精度マップ」と「プログラミング」による手法では、こうした場面に直面した瞬間にAIが立ち往生してしまいます。「馬に乗ったサンタが逆走してきたら止まる」といったコードをあらかじめ全て書くことは不可能だからです 。

超ロングテールを示した概念図(出典:筆者作成)
超ロングテールを示した概念図(出典:筆者作成)
テスラ公式サイトで公開されているエッジケースの一例(出典:テスラ公式サイト)
テスラ公式サイトで公開されているエッジケースの一例(出典:テスラ公式サイト)

 テスラのFSDが他と一線を画しているのは、このロングテールをプログラミングで解決することを諦め、すべてを「ニューラルネットワークの学習」に委ねた点にあります 。100億マイルを通じて、未知の状況でも「これは以前見たあの状況に似ている」と直感的に判断させるレベルにまで引き上げようとしているのです 。

ロングテールが「推論」を育てるという逆転の発想

 よく「テスラはデータが強いだけ」「他社は推論が強い」と言われますが、この二つは切り離せません 。自動運転における「推論」とは、論理的な計算ではなく、人間の「直感」に近いものです 。

 細い路地ですれ違うとき、私たちは「相手が譲ってくれそうな雰囲気だ」という非言語的な感覚で判断しますよね 。テスラのAIは、膨大なデータを通じてこの「考える力そのもの」を学習しています 。

「推論がロングテールを解決するのではありません。ロングテールが、推論を育てるのです」

 これが自動運転開発におけるパラダイムシフトです。他社がロングテールを「避けるべき邪魔者」として限定エリア(ジオフェンス)に縛る中、テスラはそれを「AIを賢くするための最高のご馳走」として歓迎しています 。難しい場面を経験すればするほど、AIの中に真の「賢さ(推論能力)」が宿っていくのです 。

ジェンスン・ファンが語った「Physical AI」との合流

 ここで、NVIDIAのジェンスン・ファンCEOの言葉を思い出してください。彼は2026年のCESで「Physical AI(物理的AI)」という概念を強調しました 。これは、デジタル空間だけでなく、現実世界を理解し相互作用するAIのことです 。

CESで自律走行のオープンモデルについて語るNVIDIAのジェンスン・ファンCEO(出典:エヌビディア公式サイト)
CESで自律走行のオープンモデルについて語るNVIDIAのジェンスン・ファンCEO(出典:エヌビディア公式サイト)

 ファンCEOは「物理世界の無数の例外を理解するには、膨大な実走行データと強力な推論能力の両輪が必要だ」と語りました 。これこそ、まさにテスラが今実行していることそのものです。

 世界最高のAIインフラ構築者が予見する未来の「正解」を、テスラは世界最速のスピードで、100億マイルという具体的な数字を掲げて実行しているのです 。他社が研究室でモデルを作っている間に、テスラは「実社会」という戦場で脳を鍛え上げています 。

爆発前夜の静けさと、投資家が今すべきこと

 現在72億マイル。目標まであと約28億マイルです 。シミュレーション上では今年の夏ごろに到達しますが、自動運転の進化は「ある日突然、一気に変わる」指数関数的な成長を遂げます 。

 100億マイルは完全なレベル5を実現するための到達点ですが、その手前の80億、90億マイルの段階でも、特定の都市でのロボタクシー開始には十分な安全性を証明できるはずです 。

 現在の株価が揺れ動いている理由は、市場がこの「知能の爆発」をまだ完全には信じきれていないからです 。多くの人はまだテスラを「電気自動車を売る会社」という古い物差しで測っています。しかし、真実を知っている私たちからすれば、今は「爆発前夜の静けさ」にしか見えません 。

 春ごろ、現在のFSD v14は次世代バージョンであるv15へと進化し、100億マイルへのカウントダウンが現実味を帯びてくる。そのとき市場は一気に、「これは単なる車ではなく、移動インフラを支配するAIそのものだ」と気づくことになるでしょう。

エキサイティングな未来を共に

 テスラ投資において本当に重要なのは、日々の株価の上下ではなく、「見えないところで何が積み上がっているのか」を理解し続けることだと思います。イーロンが語る「100億マイル」という途方もない数字は、単なる目標ではなく、テスラが自動運転の核心に近づいているという静かなメッセージでもあります。

 一つひとつのアップデートと、日々蓄積される膨大な走行データは、テスラという巨大な知能を育て、やがて私たちの将来の価値を形作っていくはずです。

 100億マイルの先にどんな世界が待っているのか。これからも、その変化と進化を見つめながら、エキサイティングな未来を追い続けていきたいと思います。

 それでは、また次の記事でお会いしましょう。

文・じんべい

日本企業でサラリーマンをしながら、 米国株式投資や太陽光発電投資で資産形成し、2023年3月にサイドFIRE。 株式投資では、S&P500を積立投資しながら、 個別株はテスラを中心としたEV銘柄に集中投資を実行中。YouTubeチャンネル『じんべい【テスラとNio】について語るチャンネル』登録者数:約3万人。 X(Twitter)フォロワー数:約1万人。平日毎朝、Xにて前日のテスラ株価情報を発信、また毎週末にはYouTubeでテスラ株価ニュースを配信中。

じんべい【テスラとNio】について語るチャンネル

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