電動革命の波に乗る! EV株投資の秘訣 第53回
by じんべい
スペースXのIPOは大成功を収めました。ただ、成功という言葉だけでは伝わりにくいので、具体的な数字で見てみましょう。世界の企業時価総額ランキングによると、上場したスペースXの時価総額は、これを執筆している6月19日時点で約2.4兆ドル。いきなり世界トップ6にランクインしました。
1位エヌビディア、2位アルファベット(Google)、3位アップル、4位マイクロソフト、5位アマゾンという、誰もが知る巨大テック企業が並ぶ中、その直後の6位にスペースXが上場初日から食い込んだのです。
さらに注目すべきは、この時価総額が、同じくイーロン・マスク率いるテスラをも上回ったことです。スペースXは上場初日にして、世界有数の巨大企業の仲間入りを果たしました。

ロケット会社が、上場した瞬間にテスラを追い抜き、世界の時価総額ランキングの常連であるビッグテックと肩を並べる——これは「成功」というより「事件」と呼んだ方が近いかもしれません。
そして、じんべいが今最も気になっているのは、この熱狂が一巡したあとに何が起こるか、ということです。
なぜ「次はテスラ」なのか
ここ数カ月のイーロンは、スペースXのIPOを成功させるために、あえて「我慢」していたのではないか——これがじんべいの仮説です。イーロンという人は、放っておけば次から次へと、時に物議をかもすような新製品の構想や大胆な発言を投げ込んでくる人ですよね。でも、そういう「爆弾」を上場の直前に投下していたら、投資家の視線が分散したり、スペースXの評価そのものに不安が走って、IPOの値付けに水を差していたかもしれません。
だからイーロンは、マーケットの全神経がスペースXに集中するように仕向けた。少なくとも、それが崩れる可能性を1%でも下げたかったんじゃないか、と。そして冒頭でお伝えした通り、結果は誰の目にも明らかな大成功でした。
つまり、イーロンはもう「呪縛」から解かれた、というのがじんべいの見立てです。スペースXという最大の関門を通過した今、彼は再びテスラに全力を注げる。そして我々の前には、サイバートラック以来、実に3年ぶりとなる新製品の波が、立て続けに押し寄せようとしています。ここからは、その柱を順番に見ていきましょう。
サイバーキャブ——業績に最も早く効いてくる材料
まず1つ目はサイバーキャブです。これは、テスラの業績に最も早く、ダイレクトに効いてくる材料です。
最初に整理しておくと、「テスラの有料ロボタクシー」自体はもう動いています。テキサスのオースティンでは、モデルYやモデル3を使った有料配車サービスがすでに走っていて、安全監視員もいない完全無人運行もスタート。複数の都市にも展開が広がってきています。
では、何がまだなのか。それは、ハンドルもペダルもない専用車体「サイバーキャブ」で、有料のお客さんを乗せるという最後のピースです。量産されたサイバーキャブは公道テストに出てきていますが、まだ有料の乗客は乗せていない。ただ、まもなくフリートに加わるという発言も出ており、いよいよ秒読み段階に入ってきました。
中身も優秀です。バッテリーは約48kWhと小さいながら、量産EV史上最高水準の電費を実現。狙う製造コストは1台あたり約3万ドル(約480万円)。短距離を何度も回すロボタクシーに振り切った、見事な割り切りの設計と言えます。

そして、ぜひじっくり噛みしめてほしいのが、安全性のデータです。「無人運転なんて怖い」という声は当然あります。でも、米国の道路交通安全局(NHTSA)が公開しているロボタクシーのインシデント報告書を読むと、話はむしろ逆。事故の大半が、信号待ちや一時停止で「止まっていたテスラに、人間のドライバーが後ろから追突してきた」というもの。つまり、FSDが原因の事故ではないケースが大半を占めています。
ここで押さえておきたいのは、NHTSAの報告には、時速1マイルのバック接触のような、人間なら警察沙汰にもならない軽微な接触まで、すべて報告する義務があるという点です。件数だけ見ると多く見えますが、中身を一つずつ読めば印象はガラッと逆転します。人間が起こす事故の方が、よほど多くて、よほど深刻なのです。だとすれば、自動運転を1日でも早く広げることには、ちゃんと意味があるはずです。
もちろん課題もあります。最大のボトルネックは、無人FSDの完成度と、州ごとの個別承認です。サイバーキャブを使った限定的な有料運行が先行し、複数の州をまたぐ本格的なスケール運用にはもう少し時間がかかる、という二段構えで見ておくのが現実的でしょう。それでも、テスラの業績に最初に効いてくるのは、間違いなくこのサイバーキャブだと見ています。
オプティマスV3——投資家の期待を最も押し上げる本命
2つ目はオプティマスV3のお披露目です。実は、投資家の期待を最も大きく押し上げるのは、これではないかと見ています。
オプティマスは、テスラのヒューマノイドロボット。そのV3、つまり「量産を前提とした完成版」のお披露目は何度も延期されてきましたが、イーロンはフリーモント工場での量産開始時期を明言しています。量産を始めるなら、その前にお披露目があるはず——というのがじんべいの読みです。

イーロン自身、初期の生産ペースについては「もどかしいほど遅い」と認めていて、立ち上がりはゆっくりでしょう。それでも、フリーモントで年100万台、その先のギガ・テキサスでは年1000万台という、桁外れの目標が掲げられています。
なぜ、これが「期待の本命」なのか。クルマは、台数にも価格にも市場規模の上限があります。でもロボットは、工場の労働から家庭の手伝いまで、市場そのものが青天井です。イーロンが「いずれテスラで最大の製品になる」と言うのも、決して誇張とは言い切れません。テスラにとっての「次の稼げる柱」として、投資家の期待を爆発的に高めるポテンシャルがあります。
新型ロードスター——テスラのEVづくりの集大成
3つ目は新型ロードスターの発表です。これは、テスラのEVづくりの集大成と言っていい1台です。
このロードスター、実は「待たされ続けてきた」クルマの代表格でもあります。初代の試作車がお披露目されたのは2017年。当初の納車予定からずるずると延期が続いてきました。逆に言えば、待たされてきた分だけ、いつ発表されてもおかしくないタイミングまで来ているということです。
そして、このロードスターが面白いのは、スペースXの技術が投入されると噂されている点です。イーロンは「過去に見せたものとは全く別物」「最高にエキサイティングなお披露目になる」と、相当にハードルを上げています。ロケット由来の技術を積んだEV——まさに、テスラ×スペースXの象徴のような製品です。スペースXのIPOで世界中の注目がイーロン銘柄に集まっている今このタイミングで出てくれば、その話題性は計り知れません。

まとめ:じんべいの視点
ここまで、3つの製品材料を見てきました。最後に、じんべいの視点を整理させてください。
スペースXのIPOという最大のイベントは終わりました。役者は揃い、舞台は整った。サイバートラック以来、実に3年ぶりとなる新製品が、これから立て続けに発売され、お披露目されていきます。否が応でも、投資家の期待は高まっていくはずです。
じんべいとしての優先順位はこうです。
①サイバーキャブ——これは業績に最も早く直結します。
②オプティマスV3——これは「次の稼げる柱」として、期待を最も大きく押し上げます。
③新型ロードスター——これは集大成であり、話題性で市場の視線を一気に集めます。
この3枚のカードが順番に切られていけば、テスラ株は次のステージへ向かっていく可能性が十分にあると言えるでしょう。
ただ、最後にひとつだけ。これはあくまで、じんべいの個人的な予想です。新製品の発表は、ご紹介した通り、何度も延期されてきた「前科」があります。期待が先行して飛びつくのではなく、むしろ良い知らせで一時的に下げる場面、いわゆる押し目を、じっくり狙っていく。そんな冷静なスタンスを、これからも大事にしていきたいと思います。
スペースXという最大の関門を越えた今、舞台はテスラに移ります。サイバートラック以来の新製品ラッシュが、これからどのタイミングで、どんな順番で訪れるのか。引き続き注目していきたいと思います。

文・じんべい
日本企業でサラリーマンをしながら、 米国株式投資や太陽光発電投資で資産形成し、2023年3月にサイドFIRE。 株式投資では、S&P500を積立投資しながら、 個別株はテスラを中心としたEV銘柄に集中投資を実行中。YouTubeチャンネル『じんべい【テスラとNio】について語るチャンネル』登録者数:約3万人。 X(Twitter)フォロワー数:約1万人。平日毎朝、Xにて前日のテスラ株価情報を発信、また毎週末にはYouTubeでテスラ株価ニュースを配信中。

