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テスラ 2026年Q1決算:数字より気になるFSD・ロボタクシー・オプティマスの「今」— イーロンの発言から読み解く次のステージ

2026 4/24
電動革命の波に乗る! EV株投資の秘訣
2026年4月24日
決算説明会で、イーロン・マスクは約1時間にわたり、投資家からの質問に答えた(出典:Tesla提供の画像をもとに筆者作成)

電動革命の波に乗る! EV株投資の秘訣 第50回 

by じんべい

 日本時間4月23日早朝、テスラが2026年第1四半期の決算発表を行いました。前日公開した決算プレビューでは正直厳しい結果を予想していましたが、蓋を開けてみると予想外の好内容でした。売上・EPS・粗利益率といった主要指標がそろってアナリスト予想をクリアし、株価は発表直後に3%上昇するなど市場に好感される内容でした。

 ただ、じんべいが今回の決算で数字よりも注目していたのは別のことです。「FSD」「ロボタクシー」「オプティマス」——テスラの次世代テクノロジーの三本柱が今どんな立ち位置にあるのか。それをイーロン自身の口から確かめることでした。

 今回の記事では、決算説明会でイーロンやテスラ幹部が語った三大テクノロジーの最新状況を、じんべいなりの考察を交えながら深掘りしていきます。

1. FSD:加入者128万人、51%増——Netflix型サブスク企業への変貌が始まった


 まずFSDの最新状況から見ていきましょう。今期Q1のFSDアクティブユーザー数は128万人。1年前が85万人だったので、前年比+51%という素晴らしい伸びを記録しています。Q4と比べても18万人増えており、着実に普及が進んでいることがわかります。

FSD加入者数は右肩上がりで増えている(出典:テスラ2026 Q1 Quarterly Update Deckをもとに筆者作成) 
FSD加入者数は右肩上がりで増えている(出典:テスラ2026 Q1 Quarterly Update Deckをもとに筆者作成) 

 FSDのアクティブユーザー比率も、昨年Q1の11%から現在は約14%まで上昇しており、確実に浸透フェーズに入ってきた印象です。

 この数字が投資家目線でなぜ重要かというと、もしこれが20%、30%と伸びていけば、テスラは1台売るごとに毎月99ドルの継続収益を積み上げる構造になるからです。つまり、単なる自動車メーカーではなく、Netflixのようなサブスク企業へと変貌する可能性があるわけです。FSD普及率の伸びが、そのままテスラの企業価値に直結していく——ここが今後の評価の分岐点になると見ています。

 ソフトウェア面では、イーロンはFSD V15について「今年末までのリリースを期待している」と述べており、これはソフトウェアアーキテクチャの完全な刷新になるとも言っています。現行のエンドツーエンド型ニューラルネットワーク構成をさらに根本から見直す、かなり大きな変更を示唆している可能性があります。また、V15がAI4ハードウェアで動作することも確認されており、ハードとソフトが揃って次の段階に進む準備が整いつつあります。

 一般ユーザー車両への監視が必要ないFSD解放時期については、「推測にはなるが、おそらく今年のQ4になると思う。特定の地域での安全性が確認できれば、段階的にリリースしていく」とイーロンは述べています。あくまで推測という前置きはありますが、Q4という具体的な時期が示されたのは一つの目安として重要です。

2. ロボタクシー:走行距離が前四半期比2倍、複数都市展開で規制当局への信頼を積み上げる

 続いてロボタクシービジネスです。今回の決算資料には有料ロボタクシーの累計走行距離チャートが公開されており、Q1の走行マイルは前四半期比でほぼ2倍に急増。累計走行距離は160万マイルに達しています。

今回初めて公開された累積有料ロボタクシー走行距離の推移(出典:テスラ2026 Q1 Quarterly Update Deck) 
今回初めて公開された累積有料ロボタクシー走行距離の推移(出典:テスラ2026 Q1 Quarterly Update Deck) 

 現在はカリフォルニアのベイエリアでセーフティドライバー付きの運行を続けながら、テキサスではオースティンに続き、ダラス、ヒューストンでの無人ロボタクシー展開も始まっています。複数都市での無人運転実績の蓄積は、規制当局への信頼醸成に直結する重要なマイルストーンです。

 今後のシナリオとしては、サイバーキャブの量産が始まれば既存のモデルYフリートを段階的に置き換えていく計画で、走行距離のさらなる拡大が見込まれます。利用料金はより低価格に、テスラ側の運営コストも低下していく——利用者は増え、コストは下がり、走行距離はさらに伸びるという好循環が回り始めることで、ロボタクシー事業は利益拡大の強力なドライバーへと成長していく可能性があります。

 サイバーキャブの生産については、イーロンが「生産をたった今開始したばかりだ。新製品立ち上げ当初のペースが遅いのは当然のことで、年末に向けて指数関数的に加速していくだろう」と述べています。慎重な表現ですが、年後半にかけてサイバーキャブの量産加速とFSD V15リリースという二つの大きなマイルストーンが重なってくる可能性があり、年後半は非常に注目の時期になりそうです。

3. じんべいが最も注目した発言:ロボタクシー拡大のボトルネックは「安全性」ではなく「度胸」だった

 今回の決算説明会で、じんべいが最も興味深いと感じたのがロボタクシー拡大の「ボトルネック」に関する投資家とのやり取りです。

 投資家から「ロボタクシー拡大の判断基準となる安全指標は何か」と問われたイーロンの回答が、非常に本質を突いていました。

「ロボタクシーの大規模展開を制限している要因の多くは、実は安全上の問題ではなく、利便性の問題なんだ。早い話、車が『びびって』動けなくなってしまう。最大限の安全性を優先するようにプログラムされているがゆえに、怖くて行動できなくなることがある」

 具体例として、次のような出来事も起きていたと明かしました。

「オースティンでこんな出来事があって、何台ものロボタクシーが左折レーンで立ち往生したんだ。WaymoがバスにぶつかってそのままになっていたせいでWaymoが道を塞いでいて左折できない。10数台のテスラのロボタクシーがそのバスをひたすら待ち続けていたんだけど、当然バスは動ける状況ではなく、結果としてその場は完全に膠着してしまったんだ」

 さらにイーロンは、工事中の道に曲がろうとして入れず、一周して戻ってきてもやはり入れず、また一周…という無限ループも実際に起きており、そのループを強制終了させる仕組みの必要性も語っていました。

 これは非常に重要な示唆です。つまりテスラのロボタクシーは、ほぼ全ての状況ですでに安全に走行できるレベルには達している。しかし「安全すぎる」がゆえに身動きが取れなくなるケースが残っている。今後の課題は安全性のさらなる向上ではなく、過剰な慎重さを取り除いてスムーズに走れるようにする、いわば「度胸のチューニング」なのだということです。

 この発言を聞いて、じんべいは思わず膝を打ちました。ロボタクシーの普及を阻むのは「まだ危ないから」ではなく「慎重すぎるから」というのは、一般的なイメージとは真逆ですよね。安全性という山はほぼ越えていて、残るのはいわば「人間らしい判断力」のチューニング。それが今テスラが取り組んでいる最前線なのだと理解すると、ロボタクシーの本格普及がそれほど遠くない未来の話だということが、よりリアルに感じられます。

4. オプティマス:フリーモント工場転換、年産100万台へ——テスラの「次の主力事業」が動き出す

 最後にオプティマスの生産準備状況です。今回の決算資料で明らかになったのは、Q2からカリフォルニアのフリーモント工場でオプティマスの第1世代生産ラインの設置を開始するという点です。モデルS/Xの生産ラインを転換して製造していく計画で、第1世代ラインの生産能力は年産100万台。さらにギガファクトリー・テキサスにも第2世代ラインの建設が進んでおり、こちらの長期的な設計能力はフリーモントの約10倍、年産1000万台規模とされています。

まもなく新しいバージョンのオプティマスが登場する(出典:テスラ) 
まもなく新しいバージョンのオプティマスが登場する(出典:テスラ) 

 モデルS/Xというテスラの象徴的なモデルが役目を終え、その生産ラインがオプティマスに切り替わる。これはテスラがいかにオプティマスを次の主力事業として位置づけているかを象徴する動きと言えます。

 生産開始は7月末から8月頃を想定しているとのこと。またオプティマスV3の公開時期については「2026年半ばに公開できるかもしれないが、あえて公開をためらっている部分もある」とイーロンは述べており、その理由として「競合他社がフレーム単位で分析して全てをコピーするから」と語っています。準備が整うまで待ちたいという慎重な姿勢ですが、裏を返せばそれだけ自信を持って開発が進んでいるということの表れでもあるでしょう。

 ソフトウェア面では、「デジタル・オプティマス」として実世界のAIを補完するデジタルワークロード自動化レイヤーの開発も並行して進められています。物理世界のオプティマスとデジタル世界のオプティマスが揃えば、イーロンが語る「世界で最もスケールの大きい製品」という言葉がより現実味を帯びてきますね。

まとめ:2026年後半、テスラの本当の転換点が来る

 今回の決算で改めて見えてきたのは、テスラがいよいよ「準備フェーズ」から「実行フェーズ」へと移行しつつあるということです。FSDの普及率拡大、ロボタクシーの複数都市展開、オプティマスの量産ライン設置——どれも今年後半に向けて具体的なスケジュールが示されました。

 特にロボタクシーのボトルネックが「安全性」ではなく「度胸のチューニング」だというイーロンの発言は、これからのFSDおよびロボタクシーの進化の方向性を端的に示していると思います。安全の山は越えた。あとは人間に近い判断力を磨くだけ——そう捉えると、年後半のFSD V15リリースとサイバーキャブ量産加速という二つのマイルストーンに向けて、一段とワクワクせずにはいられません。

 目先の株価よりも、この3つのテクノロジーの進捗を追い続けることが、テスラ投資家として最も重要なことだとじんべいは考えています。引き続き一緒に注目していきましょう。

文・じんべい

日本企業でサラリーマンをしながら、 米国株式投資や太陽光発電投資で資産形成し、2023年3月にサイドFIRE。 株式投資では、S&P500を積立投資しながら、 個別株はテスラを中心としたEV銘柄に集中投資を実行中。YouTubeチャンネル『じんべい【テスラとNio】について語るチャンネル』登録者数:約3万人。 X(Twitter)フォロワー数:約1万人。平日毎朝、Xにて前日のテスラ株価情報を発信、また毎週末にはYouTubeでテスラ株価ニュースを配信中。

じんべい【テスラとNio】について語るチャンネル

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