国際標準化機構(ISO)は2026年3月、高速道路などの自動車専用道路における自動運転システムに関する国際規格「ISO 23792-1:2026」および「ISO 23792-2:2026」を発行しました。いずれも日本が主導して開発したもので、自動運転システムの基本要件や車線変更機能の要件・試験法を定めています。
自動運転には、その自動化のレベルに応じてレベル0からレベル5までの段階があります。今回の規格が対象とするのはレベル3で、「システムが全ての運転操作を担うが、緊急時にはドライバーが対応する」段階です。レベル2までは、どんな状況でもドライバーが常に監視・介入できる状態を保つ必要がありますが、レベル3では、システムが正常に作動している間はドライバーがハンドルから手を離したり、視線を道路から外したりすることが認められます。カーナビを眺めたり、スマートフォンを操作したりといった行為が、条件付きで許容される段階です。ただし、システムから「運転を代わってください」と要求があった場合は、ドライバーがすみやかに運転を引き継ぐことが前提となります。
今回の規格が対象とするシステムは「モーターウェイ・ショーファー・システム(MCS)」と呼ばれ、高速道路などの自動車専用道路での走行を対象としています。一般道と異なり、歩行者や自転車、信号、複雑な交差点がないため、自動運転が比較的実現しやすい環境です。日本ではすでにホンダが2021年にレベル3対応車「レジェンド」を世界で初めて市販するなど、実用化で先行しています。

規格策定の背景には、自動運転システムの仕様や試験方法がメーカーごとに異なることで、国際的な普及が進みにくい状況がありました。たとえば、あるメーカーの自動運転システムが安全かどうかを確認するための試験の手順が統一されていなければ、各国の当局がその安全性を判断する基準もバラバラになります。共通の国際規格を設けることで、どのメーカーの製品も同じ基準でテストされ、安全性の比較や認証がしやすくなります。なお、公益財団法人交通事故総合分析センターのデータによると、高速道路における事故の約半数は時速50キロ以下の渋滞時に発生しており、脇見や漫然運転といったヒューマンエラーが主な要因とされています。自動運転の普及はこうした事故の低減にもつながると期待されています。
「ISO 23792-1:2026」は、MCSの共通的なシステム要件を定めたもので、システム状態の定義や状態遷移の条件、単一車線内での自動走行に関する要件と試験法が含まれます。一方、「ISO 23792-2:2026」は、自動車線変更に特化した規格です。車線変更は前方の状況変化への対応と隣接車線の後方確認を同時に行う必要があり、単一車線の維持よりも高度な技術が求められます。同規格では、車線変更先の前後に必要な空間の検知方法、車両制御の条件、制御継続が困難な場合の対応方法などを規定しています。
両規格は、日本が国際議長を務めるISO/TC 204(高度道路交通システム)/WG 14(走行制御)に日本から提案し、「ISO 23792-2:2026」が3月19日、「ISO 23792-1:2026」が3月27日にそれぞれ発行されました。

