スペースXは2026年5月20日、新規株式公開(IPO)に向けた登録届出書(S-1)を米証券取引委員会(SEC)に正式提出し、一般公開しました。4月1日に行われていた非公開の機密提出に続く、今回の公開提出により、史上最大規模とも言われる今回のIPOに向けた手続きが大きく前進しました。
S-1で明らかになった2025年のスペースXの業績は、売上高が185億ドル(約2兆7800億円)に達した一方、純損失は約50億ドル(約7500億円)となりました。赤字の主因は2026年2月に実施したxAIとの統合に伴うコストで、現時点でxAIは単独では赤字継続の状態です。
収益の柱となっているのは衛星ブロードバンド事業のスターリンクで、2025年の売上高は114億ドル(約1兆7100億円)と全体の61%を占め、前年比50%増で成長しています。調整後EBITDAは72億ドル(約1兆800億円)、調整後利益率は63%に達しており、スターリンクが現時点でスペースX傘下で唯一の収益事業となっています。

今回のIPOでは「デュアルクラス株式構造」が採用されています。一般投資家に割り当てられるクラスA株は1株1票であるのに対し、マスク氏が保有するクラスB株は1株10票の議決権を持ちます。S-1によれば、マスク氏はクラスB株の93.6%を保有しており、上場後の総議決権の85.1%を握ることになります。さらにマスク氏はCEO・CTO・取締役会長を兼務し、クラスBの取締役を選任・解任する権限も持ちます。この結果、スペースXは上場後も「コントロールド・カンパニー(支配株主がいる会社)」として認定され、取締役会の過半数を独立取締役で構成するという取引所規則の適用が免除されます。配当については、クラスA株主に対して「当面の間は配当を実施する予定はない」と明記されています。
今後のスケジュールについては、6月4日に投資家向けロードショーが始まり、6月11日に公募価格が決定、6月12日にナスダック市場でティッカーシンボル「SPCX」として取引が開始される予定です。調達目標額は最大750億ドル(約11兆3000億円)、上場時の企業評価額は1兆7500億ドル(約263兆円)を目指しており、実現すれば2019年のサウジアラムコIPOを超える史上最大規模となります。
主幹事証券にはモルガン・スタンレー、バンク・オブ・アメリカ、シティグループ、JPモルガン、ゴールドマン・サックスの5行が名を連ね、合計21行の金融機関が引受に参加します。
テスラがナスダック100に組み込まれているなか、スペースXが目標評価額での上場を果たせば、ナスダックの「Fast Entryルール」(上場から1カ月以内の指数組み入れ要件)の適用対象となる可能性があり、マスク氏が創業した2社が同指数に並ぶことになります。6月12日まで残り3週間、IPO前最後の大きな節目を迎えました。


