NASAは2026年5月26日、ワシントンの本部で記者会見を開き、月の南極域に人類初の恒久拠点を築く「ムーンベース」計画について、初期ミッション3件と、月面で使用する有人探査車、参画企業との契約を発表しました。アイザックマン長官は「ムーンベースは、アメリカと人類にとって初の他天体上の拠点になる」と述べ、持続的な滞在と火星探査への布石になる計画だと位置づけました。なお、スペースXのイーロン・マスク氏はXに「Time to build major base on the Moon!(月に巨大基地を建設する時だ)」と投稿しています。
LIVE: We're sharing the latest updates on @NASAMoonBase, our lunar habitat where astronauts will work and live. https://t.co/7oWZYx0GYx
— NASA (@NASA) May 26, 2026
NASAの公式資料によると、ムーンベースはアルテミス計画の中核で、南極域を科学・技術実証・探査の拠点とする構想です。建設は3つのフェーズで進みます。フェーズ1(現在〜2029年)は最大25回のミッション(うち21回が着陸)で約4トンの物資を運ぶ実験段階、フェーズ2(2029〜2032年)は核分裂炉を含む電力システムの初期構築で最大60トンを輸送、フェーズ3(2032年以降)で有人滞在を本格化させ、年間最大38トンの物資を運ぶ計画です。

月面で使用する2機の有人探査車も公開されました。アストロラボの「CLV-1」は同社の「FLEX」をベースとし、重量は約2000ポンド(900キログラム)で、平坦な地形で時速6マイル超で走行します。ルナーアウトポストの「ペガサス」は軽量モデルで、最長1年の運用に対応し、手動・自律・遠隔のいずれの方式でも時速9マイル(14.5km/h)超で走行します。NASAはアストロラボに2億1900万ドル、ルナーアウトポストに2億2000万ドルでそれぞれ発注し、CLPS(商業月面輸送サービス)を通じて2028年までの月面展開を計画しています。


初期ミッション1件も示されました。第1弾「ムーンベースI」は2026年秋以降の打ち上げを目標とし、ブルーオリジンの着陸船「ブルームーン・マーク1(エンデュランス)」でペイロードを運びます。着陸地点はシャクルトン・クレーター付近の尾根です。第2弾「ムーンベースII」は年内の打ち上げを予定し、アストロボティックの着陸船「グリフィン」で1100ポンド超の貨物を運びます。これにはアストロラボの小型ローバー「FLIP」が含まれます。第3弾「ムーンベースIII」も年内が目標で、インテュイティブ・マシーンズの着陸船「ノヴァC・トリニティ」による科学観測を行い、欧州宇宙機関(ESA)や韓国の研究機関のペイロードも搭載します。3件は年内に発表される十数件のミッションの先陣です。

参画企業の契約では、月面への輸送を担うブルーオリジンに1億8800万ドル(性能に応じ追加2億8040万ドルのオプション付き)が発注されました。着陸候補地を調査するドローン「ムーンフォール」は、機体の製造をファイアフライ・エアロスペースが担い、2028年の打ち上げを目標とします。

今回のムーンベース初期契約で着陸船・ローバー・ドローンの担い手に選ばれたのはブルーオリジンやアストロラボなどで、スペースXは含まれていません。ただしアイザックマン長官は会見で、別途計画される「アルテミスIII」についても言及し、2027年半ばに地球周回軌道でオリオン宇宙船とスペースXのスターシップおよびブルームーンの着陸船とのドッキング試験を目指すと述べました。


