テスラは2026年9月25日、アメリカ・ネバダ州の工場で大型商用EVトラック「セミ」の量販仕様を発表し、本格量産体制を明らかにしました。
イーロン・マスクCEOは「ディーゼル燃料に比べて電力コストが大幅に低く、経済的に合理的である」と強調。また、加速性能の高さに触れ、近い将来に自動運転機能を導入して長距離輸送の安全性向上と疲労軽減を図る方針を明言しました。

テスラはこれまで、ペプシコなどの初期顧客へ納入した約200台を通じて、1750万マイル超の実証走行を実施してきました。寒冷地や山道など過酷な環境で収集したデータを改良に反映し、最重要視される車両稼働率で98パーセント以上を達成。今回発表された量販仕様は、こうした現場の知見を反映した設計となっています。
バッテリーには自社開発の「4680セル」が採用されました。軽量化と高効率化により、総重量8万2000ポンド(約37トン)の満載時でも実走行で500マイル(約805キロメートル)の航続距離を確保しています。さらに、短距離の配送用途向けに航続距離325マイル(約523キロメートル)の仕様も用意されます。
駆動用モーターのステーター(固定子)は「サイバートラック」と共通化され、製造コストを抑制。駆動系のオイルは1種類に統合されて保守性が向上したほか、電子制御ステアリング「ステア・バイ・ワイヤー」の導入で油圧機構を全廃し、中型SUV並みの小回り性能を実現しています。ヒートポンプを中心とする熱管理システムも刷新され、厳しい気温下での高効率化が図られました。
Semi Rollout https://t.co/eTDVRTFjOf
— Tesla Semi (@tesla_semi) September 25, 2026
キャビンには電動パワーウィンドウと遮音ガラスが採用され、静粛性が向上。また、ドライバープロファイル機能により、スマートフォンを携帯した運転手が乗車するとシート位置やミラー角度が自動設定され、複数人での運行時の利便性が高められています。
充電インフラでは、独自規格「メガチャージャー」による最大1.2メガワット(1200キロワット)の急速充電に対応し、約30分でバッテリー容量の60パーセントを充電可能です。主要物流ルート沿いへの配備に加え、事業所向けの夜間充電設備の設置支援も行われます。
ネバダ工場では年間生産5万台を目標に本格量産を開始し、イベントの最後には初期導入企業へ量販仕様車が納車されました。今後は専用サービス網や出張修理、遠隔アップデートを通じて安定した運行を支える体制を構築していく方針です。

