電動革命の波に乗る! EV株投資の秘訣 第62回
by じんべい
2026年10月21日(米国時間)、テスラは2026年第3四半期の決算説明会を開きました。オープニングリマークの最後に、イーロンはこう語りました。
「長年の停滞の後、成長が戻ってきた」
ここ数年、テスラの販売台数は伸び悩んできました。テスラに投資をしている方は、もどかしい思いを抱えてきたはずです。だからこそ、イーロン自身が「成長が戻ってきた」と言い切ったことには、決算の数字以上の重みがあります。
一方で、株価は時間外取引で約4%下落しています。言葉と株価のこの温度差は、どこから来るのか。今回は説明会でのイーロンや幹部の発言をもとに、テスラが今何に注力し、どこにボトルネックを抱えているのかを、じんべいなりに読み解いてみます。
1. 数年ぶりの数字 —「2030年頃に年間500万台」
イーロンは、2030年頃に年間500万台を目指すと語りました。直近12カ月の納車台数は約174万台なので、約3倍の規模です。テスラが具体的な台数目標を口にするのは、数年ぶりのことです。
なぜ今なのか。それは需要の裏付けが揃ってきたからだと見ています。イーロンは、需要の伸びが生産を上回っていて、その原動力はFSDだと説明しました。決算レポートの数字も、それを裏付けています。
- 乗用車の受注残:過去4年で最大
- 在庫日数:わずか11日
- 北米の新車のFSD装着率:75%(第2四半期は55%)
第3四半期の納車台数は前年比2%減でした。ただしテスラは、制約は需要ではなくバッテリー供給だったと説明しています。「売れないから減った」のではなく、「作れる量が足りなかった」ということです。かつての目標が「願望」だったとすれば、今回の目標には需要という「裏付け」があります。ここが大きな違いだと考えています。

2. ロボタクシー —「売る会社」から「走らせる会社」へ
説明会で最も具体的な話が多かったのが、ロボタクシーです。イーロンは、来月からダラスで一般向けの無人サイバーキャブ配車を始めると語りました。オースティンのサイバーキャブのフリートは、ローンチから10倍に拡大しています。完全無人の累計走行距離も、9月末で約200万マイルと前四半期の8倍になりました。
そして、じんべいが一番重要だと感じたのが次の発言です。
「サイバーキャブの大半はテスラが所有し、サービスとしての輸送(TaaS)になるだろう」
ラース・モラヴィ氏は、年内にサイバーキャブを顧客へ届けると話しています。ただし主役は、あくまでテスラ自身による保有です。車は売れば一度きりの売上ですが、自社で走らせれば、走るたびに収益が積み上がります。そう考えると、500万台という数字の一部は、テスラ自身が「買い手」になる台数とも読めます。

イーロンは「規制で止められない限り、運行を許可された国では、乗客マイルの過半数をテスラが担う」とまで語りました。大胆な発言ですが、同じソフトウェアで都市を横展開できる強みを考えると、単なる大風呂敷とも言い切れません。
ただし、業績への寄与は2027年第2四半期頃からで、本格化するのは第3〜第4四半期とされています。アショク氏は、監視なしFSDの顧客車両への展開を2027年第2四半期に始める「可能性がある」と話しました。FSD v15とあわせて、カギを握るのは来年です。
3. オプティマス —「試作」から「製品」へ、しかし量産はまだ先
オプティマスは、フリーモントで量産品質のボットの生産が始まりました。年間100万台規模のラインも、大部分が設置済みです。イーロンは「オプティマスは地球上で最大の製品になる」と確信を語りました。1〜2カ月後には、事前プログラムではない本物の動画を公開するとも予告しています。
AI4の10倍の計算能力を持つAI5は、2027年4月頃にオプティマスへ搭載される予定です。顧客への納品は、その約1年後になる見込みです。
一方で、イーロンは慎重な言葉も残しています。AI、設計、信頼性、寿命といった課題の解決は来年末までかかります。週2万台(年約100万台)の生産到達には「少なくとも1年、おそらくもう少しかかる」とのことです。ラインはあっても、中身がまだ追いついていない。これが今のオプティマスの正直な現在地だと思います。

4. じんべいの総括 — 復活の道筋と、残る「時間差」
整理すると、テスラの現在地は次の3点です。
① 需要は戻ってきた。ボトルネックはバッテリー供給
② ロボタクシーは都市拡大の段階に入った。収益化は2027年春以降
③ オプティマスは製品段階に入った。量産と顧客納品は1年以上先
研究開発費は前年の16.3億ドルから27.6億ドルへ増え、設備投資も倍以上に膨らみました。その結果、営業利益率は2.6%にとどまっています。株価の下落は、「投資は今、果実は来年以降」というこの時間差を市場が嫌った結果だと、じんべいは見ています。
それでも、道筋ははっきり見えてきました。テスラは今、単なる自動車メーカーからAI・ロボティクス企業へと変わる過渡期の真っただ中にいます。じんべいとしては、目先の株価に一喜一憂せず、近く訪れる節目を一つずつ確認していきたいと思います。来月のダラス展開、オプティマスの動画、そして2027年春です。引き続き一緒に見守っていきましょう。
※これはあくまでじんべい自身の見方です。投資の最終判断は、ご自身の調査と責任のもとで行っていただくようお願いします。

文・じんべい
日本企業でサラリーマンをしながら、 米国株式投資や太陽光発電投資で資産形成し、2023年3月にサイドFIRE。 株式投資では、S&P500を積立投資しながら、 個別株はテスラを中心としたEV銘柄に集中投資を実行中。YouTubeチャンネル『じんべい【テスラとNio】について語るチャンネル』登録者数:約3万人。 X(Twitter)フォロワー数:約1万人。平日毎朝、Xにて前日のテスラ株価情報を発信、また毎週末にはYouTubeでテスラ株価ニュースを配信中。

