六本木の東京ミッドタウンで行われた、フェラーリ フェスティバル 東京に参加してきました。フェラーリの歴史を彩る名車の数々と、初めてのフル電動フェラーリ「ルーチェ」を目撃できた体験は、興奮とともに、ある種の納得感を覚える内容でした。その模様を2回に分けてレポートします。
by EVcafe編集長 駒井尚文 @tesla365days
フェラーリ フェスティバルは、2026年9月26日から10月4日までの9日間でしたが、その前日、9月25日にプレス向けの内覧会が設定されていました。今回、そちらにお邪魔してきたのです。
フェスティバルに足を運んだ3つの理由
出不精なたちで、自動車メーカー主催のイベントにはあまり行きません。ほぼ別のスタッフにお任せというケースが多いのですが、今回は3つの理由で是非とも参加したかった。
まずやはり、フェラーリのイベントであること。誰もが知っている、伝統と格式の高い世界最高峰の自動車メーカーです。個人的にも、昭和のスーパーカーブームに熱狂した過去があります。F1などレースで活躍するフェラーリもよく見ていました。かつての憧れであった自動車メーカーが主催するイベントが、21世紀の今、どんな世界観を提供しているのか非常に興味があります。
次に、超高級EVである「ルーチェ」が見物できること。我々はEVメディアなので、これまでフェラーリとは全く縁がなかった。しかし今年5月にルーチェが発表されたことによって、俄にフェラーリとの接点が生じたわけです。
そして3つ目、実はこれが一番大きな理由ですが、ルーチェのデザインがジョニー・アイブによるものであること。かつてアップルでデザイン部門のトップを務め、スティーブ・ジョブズとともにiMacやiPhoneを生み出してきたアイブは、我々にとって神みたいな存在。そのアイブが初めてデザインした車がフェラーリ ルーチェです。是非、誰よりも早く実物が見たい。
会場は、六本木のミッドタウンにあるザ・リッツ・カールトン東京。さっそく受付を済ませます。アテンドしてくれるスタッフのお兄さんたちは皆長身でスマート、黒のスーツがビシっと決まっています。なんでこんなにカッコいいお兄さんばかりなの?

ロビーで提供されるドリンクは、ミネラルウォーター、ペリエ、フレッシュジュースが選べます。イベントが始まる前から雰囲気が尋常じゃなくお洒落です。テスラやBYDのプレスイベントにはときどき足を運びますが、それらとはまるで空気が違いました。
拘束時間が意外に長く、11時から始まって、すべて終了するのは15時過ぎ。式次第はこんな感じです
・フェラーリジャパンの社長(ドナート・ロマニエッロ)挨拶
・フェラーリCEO(ベネデット・ヴィーニャ)挨拶
・ラウンドテーブル
・ランチビュッフェ
・メディアツアー
ガーデン → ルーチェ → テーラーメイドアトリエ
15時10分終了なので、4時間以上も滞在することになります。

挨拶が始まりました。フェラーリが日本でこれほど大きなイベントを開くのは初の試みだそうです。ヴィーニャCEOは「こだわりが強い人々が非常に多い日本で、このイベントを開くことに意義があるのです」と語っています。
ロマニエッロ社長も、「日本で初めてフェラーリが登録されたのは1966年。それから60年が経って、日本の客層にも変化があります。最近は女性のお客さんが増えています 」という興味深い情報もありました。
ルーチェを見られるのは「招待客」だけ
ところで今回、プレス資料には「ルーチェは招待客のみに披露」という但し書きがありました。なんで? 素朴に疑問を感じたので、黒服のお兄さんに聞いてみました。
「一般客は、ルーチェを見られないんですね?」
「そうなんです。招待の方だけです」
一般の人も専用サイトから申し込めば、フェラーリフェスティバル東京を見学できます。ただし、見学できるのはガーデンに並んだフェラーリのみ。
では「招待客」とは誰なのか? PR担当者やジャーナリストたちの会話に耳を傾けていると、招待客とは主にオーナーさんのことでした。すでにフェラーリを所有している人たち。中には、何台も所有している人や親子でオーナーという人もいるでしょう。
新しいフェラーリは、そんな上客の方々にこそ最初に見せるんだと。そのためのフェラーリフェスティバルなんだということに気付きました。言うなれば「得意客至上主義」みたいな考え方ですね。
「過去と未来が共存してる日本に、ルーチェはよく似合う」
ヴィーニャCEOは、ルーチェを日本に持ってきた理由についても語っています。
「SNSを見ると、日本ではルーチェに対する反応が非常に良かった。イタリアとは違った。過去と未来が共存してる日本に、ルーチェはよく似合う」
5月のルーチェの発表は、どちらかと言えば「炎上」でした。デザインは賛否両論で、否定的な意見の方が圧倒的。特に母国イタリアでのリアクションが酷かった。かつてフェラーリの会長だったルカ・ディ・モンテゼーモロが「せめて、跳ね馬のロゴは外して欲しい」と言ったほど。

個人的には、青い色味が炎上の最大の原因ではなかったかと思っています。「これまでのフェラーリとは違う」という狙いが極端すぎて違和感しかなかった。その点、今回東京で見たルーチェは印象が全然違いました。
メディアツアーが始まりました。ガーデンには、17台のフェラーリが陳列されています。芝生エリアに14台、建物のそばにも3台。全部の車両価格を合計したら、おそらく10億円は軽く超えるんじゃないかと。

しかし正直、個人的には何の興奮もありません。ガソリンを燃やして走る車にはほぼ興味を失ってしまっている。自分の気持ちを再確認した瞬間でした。
YouTuberのオジさんが、元気にフェラーリを紹介する動画を撮影する様子を眺めながら、スタッフが運んでくれたお洒落なドリンクを堪能します。ソフトドリンクですが、1杯2000円ぐらいするんじゃないかというザクロのソーダを。
ついにルーチェの部屋へ。そして、あの幻のプロジェクトを思い出す
そしていよいよ、ルーチェとの対面です。専用の受付があって、この奥に車が置かれています。一般の人は、ここから先へは入れません。

プレス関係者は7〜8名ほどのグループに分けられて、グループごとに見学する仕組み。順番が来るまでは、受付前のロビーで待機となります。ロビーには、ジョニー・アイブがデザインしたと思われる、ルーチェのステアリングやメーター類が展示されています。
15分ほど待って、いよいよルーチェの展示室に入れることになりました。
間近で見るルーチェは、フェラーリというよりは、幻に終わったあの車を想起させる車でした。
以下後編へ

