スペースXは、携帯通信サービス「スターリンクモバイル」向けに米国全土をカバーする地上5Gネットワークを構築します。その基地局にクアルコムのプラットフォームを採用すると発表しました。展開は2027年に始まり、全米の数万カ所に基地局を設置する計画です。
クアルコムが2026年11月4日にプレスリリースで発表し、スターリンクも同日、公式Xアカウントで「当社の5G基地局はクアルコムのチップを活用し、2027年から展開を加速する」と投稿しました。
基地局には、クアルコムの「Dragonwing QRU100」と「Dragonwing QDU100」を採用します。QRU100は無線ユニット(RU)向けで、送受信それぞれ64系統を持つ「64T64R」Massive MIMOの無線処理を担います。QDU100は分散ユニット(DU)向けで、遅延に厳しいレイヤー1処理を高効率で行います。クアルコムは商用グレードのレイヤー1ソフトウェアも提供し、上位レイヤーはスペースXが自社で開発します。省電力な処理によって基地局の消費電力と運用コストを抑え、大規模展開の経済性を高めます。複数の周波数帯に対応し、両社は今回の提携を将来の「AIネイティブな6Gインフラ」に向けた一歩と位置づけています。
スペースXは「場所を問わず人々がつながり続ける、初の完全統合型の全米衛星・地上ネットワークを構築している」とコメントしています。都市部では地上の基地局、地上網の届かないエリアではダイレクト・トゥ・セル衛星を使い、両者を組み合わせてほぼどこでも通信できる環境を目指します。
スペースXは2025年9月、エコースターから周波数免許を約170億ドルで取得することで合意しました。今年3月のMWC26では、ダイレクト・トゥ・セルのサービスを「スターリンクモバイル」に改称しています。米メディアによると、スペースXは少なくとも8万カ所の鉄塔の利用に向けて米国の鉄塔会社と協議しているとされます。
米国の携帯市場は、AT&T、ベライゾン、Tモバイルの大手3社がほぼ独占しています。衛星通信で圧倒的な規模を持つスペースXが自前の地上網を整備すれば、本格的な全米キャリアとして大手3社と正面から競合することになります。ただし、具体的な展開スケジュールやフェーズごとの基地局数は明らかにされていません。周波数や全国カバレッジの確保も今後の課題です。サービスの開始時期や料金体系を含め、今後の発表が注目されます。

