商用車両のEV化が急速に進む中、トヨタグループの日野トラックは、ノルウェーのHexagon Purus(ヘキサゴンプルス)社と提携し、2024年後半に米国市場向けのクラス8の大型EVトレーラー「Tern RC8」を発売すると発表しました。
このニュースがアナウンスされたのは、5月20日から23日までラスベガスで開催されていた「アドバンスト・クリーン・トランスポーテーション・エキスポ」(先進クリーン輸送見本市。略称ACT EXPO)でのこと。ヘキサゴン社のメディアイベントで発表されるや、関係者やプレスの間で「BEVに消極的なあのトヨタ(グループ)が??」と、大きな話題を呼びました。
日野トラックと手を組むヘキサゴンプルス社は、ゼロエミッション・モビリティにさまざまな技術的ソリューションを提供する車両インテグレーション事業のグローバルカンパニーです。日野トラックとは、大型EVの実用化に向け、最大20憶ドル相当の長期契約を締結していました。
「Tern RC8」は、日野トラックの中でも米国で人気の高い「XLシリーズ4×2」のシャシーをベースに、ヘキサゴンプルスの最先端のゼロエミッション技術が搭載されています。eアクスル(BEVの駆動装置)には米国の車両部品メーカーDana(デーナ)社製を採用し、車載用リチウムイオン電池は、パナソニック エナジー社が供給することになっています。
パナソニック エナジーは、車載用リチウムイオン電池のテスラ社への売上依存がたびたび経営課題として挙げられ、供給先の拡大に努めていました。今回、初めて商用車への搭載が決定したことで、同社の只信一生社長執行役員は「今後の事業成長においても重要なマイルストーンだ」と語っています。リチウムイオン電池は、当座、日本国内工場から輸出され、2026年以降にカンザス州に新設する同社の工場から供給される予定です。
「Tern RC8」の車両そのものは、テキサス州ダラスにあるヘキサゴンプルスの新施設で製造されます。航続距離は約321㎞(200マイル)、定格車両総重量(GVWR)は約30トン(6万8000ポンド)、約2時間で80%の充電が可能だといいます。
カリフォルニア州のトラックに関する排出規制(ACT規制)で、2024年に販売されるクラス7およびクラス8トラックの5%をゼロエミッション車(ZEV)にすることが求められる今、「Tern RC8」の量産化に大きな期待が寄せられているのは間違いありません。
「Tern RC8」の販売は、日野トラックのディーラーネットワークを活用することになっています。同社の社長兼CEOのグレン・エリス氏は、今回のヘキサゴンプルスとの提携について「EVトラック市場に新たに導入されるTern RC8は、幅広い用途に対応できます。車両のEV化が必須であるカリフォルニア州での販売に重点を置きつつ、Ternの独占販売代理店となることは大変喜ばしいこと」と述べています。
メインカットは、日野トラックとヘキサゴンプルスが提携するクラス8の大型EVトラック「Tern RC8」(写真:Tern Trucks)
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