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過去12年で株価が100倍となったテスラ! 再び大暴騰する日はいつ来るのか!?(後編)

 電動革命の波に乗る! EV株投資の秘訣 第2回

 by じんべい

 前編では、過去12年で株価が100倍となったテスラについて、テスラの歴史を変えた主要イベントをお伝えしました。この後編では、いよいよテスラの今後に焦点を当て、関係者のテスラ株価予想を紹介していきたいと思います。

 将来テスラ株価を押し上げる可能性があるイベント、すなわち株価アップ材料は次の4つと考えられます。

テスラの株価を押し上げる可能性がある重要イベント4選

1. サイバートラックの量産拡大

2. モデルYの改良型発売

3. 2万5000ドルのコンパクトEV発売

4. FSDの完成

 では、順に解説していきましょう。

1.サイバートラックの量産拡大

 サイバートラックはテスラが2023年に発売した同社初の電動ピックアップトラックです。

 2019年に行われたセンセーショナルな製品発表イベントから、昨年末の発売までに要した期間は丸4年……。テスラファンは、斬新で近未来的なデザインのサイバートラックの発売を心待ちにしていました。それがようやく昨年11月末に発売となったのです。

2023年に待望の発売となったテスラのサイバートラック
2023年末に待望の発売となったテスラのサイバートラック 写真提供元:Tesla, Inc. 

 ある調査によると、アメリカの電気トラック市場の規模は、2024年に771億ドルになるとされています。そしてまた同国は、世界のピックアップトラック市場で最も高い収益が見込まれる国ですが、テスラは、サイバートラック投入により、新たな収益源となるEV販売領域を開拓しようとしています。

 サイバートラックの予約注文数はすでに100万台を超えるとされて、製品のサイズのみならず、人気もモンスター級です。

 しかし現在、テスラはサイバートラック量産の立ち上げに苦労しています。もし同社が2023 Q4決算資料で示したように、2024年末までに年間生産能力を12.5万台まで拡大させることができ、2025年も顧客の需要を満たせるだけの量産体制を構築できれば、利益は増加し、株価にもプラスの影響を与えることは間違いないと思います。

2. モデルYの改良型発売

 テスラが販売している人気SUV、モデルYは2023年に世界で最も売れた車となりました。JATO Dynamics が収集した予備データによると、モデルYは、2023年1月から12月までに123 万台販売という記録を達成。これは、前年比64%増という驚異のペースで販売が拡大したことを示しています。2022年までは、トヨタのRAV4とカローラが世界ランキングをリードしてきました。しかし、2023年は、テスラのモデルYが、トヨタが長年守り続けてきたトップの座を初めて奪いました。

2023年に世界で最も売れた車、テスラのモデルY
2023年に世界で最も売れた車、テスラのモデルY 写真提供元:Tesla, Inc. 

 この全世界で爆発的に売れているテスラのSUVですが、ついに2024年に改良版が出るのではないかと噂されています。2023年秋、テスラは小型EVセダン「モデル3」の改良版をリリースしました。モデルYも同様にアップデートされた新型モデルの発売が今年あるのではないかと期待されています。

 もしモデルYの改良版が登場することになれば、今後さらにモデルYの販売台数が拡大し、テスラの業績に対してプラスとなり、株価上昇にもつながる可能性があります。

3. 2万5000ドルのコンパクトEV発売

 テスラのCEO、イーロン・マスクは2024年1月の決算説明会で、電気自動車の低価格モデルを2025年後半に投入する計画を投資家に明らかにしました。

 イーロン・マスクの言う「次世代」の小型EVは、作家のウォルター・アイザックソンが手がけたマスクの伝記で予告した2万5000ドルの大衆向けEVのことを指しています。もしテスラが2025年に低価格小型EVを発売することになれば、それは米国市場で最も安価なEVとなる可能性があります。

 2024年3月7日、米新興EVメーカーのリビアンは、小型で安価な電動SUV「R2」とクロスオーバー車「R3」を発表しました。R2の価格は4万5000ドルからで、同社の旗艦モデルである「R1」のSUVとピックアップの価格を大きく下回ります。

2024年3月に発売が発表されたリビアンのR2、R3、R3X
2024年3月に発売が発表されたリビアンのR2、R3、R3X

 リビアンが低価格モデルを発表した後、同社の株価は一日で13%を超える上昇を見せました。これは高金利で需要が急速に鈍化するなか、将来市場投入される低価格EVが、リビアンの売上げアップに寄与すると投資家たちが判断した結果だと考えられます。

 もしテスラが小型EVのデザインや価格、明確な発売時期を発表すれば、リビアン同様、テスラの株価も急上昇する可能性があります。

4. FSDの完成

FSDとは、テスラの完全自動運転向けソフトウェア「FSD(Full Self Drive)」のことを指します。これは現在、北米にて40万人のテスラオーナーに提供されていると言われています。そして多くのFSD利用者から、ある道路の区間をFSDを利用して運転した際に、目的地までの走行中、人の介入なしで移動できたという声がX(旧Twitter)上にあがっています。

 FSDは、まだ実際の機能としては、自動運転レベル2相当の ADAS(先進運転支援システム)とされています。レベル2とは、アクセル・ブレーキ操作及びハンドル操作の両方が部分的に自動化された状態ですが、運転操作の主体は依然として運転者です。

 これがレベル3となると、運転操作の主体はコンピュータとなり、特定の走行環境条件を満たす限定された領域では、コンピュータが運転操作の全部を代行する状態となります。さらにレベル4となれば、限定領域での自動運転が可能となり、最終段階レベル5では完全自動運転が実現します。

 もしテスラのFSDがレベル3以上の自動運転性能を有することになれば、FSD利用者が増加し、テスラのソフトウェア収入の大幅拡大が期待できます。これがテスラ株価の価値向上に大きく貢献することは間違いないでしょう。

 イーロン・マスクが目指す目標株価とキャシー・ウッド氏が予想する目標株価

 イーロンマスクは2023年12月、Xへの投稿で「テスラが今後5年間非常に好調に推移すれば、長期的な価値はアップルとアラム​​コの合計を超える可能性がある」と改めて発言しました。

 引用:https://twitter.com/elonmusk/status/1740913974135459902

 現在テスラの株価は、3月21日時点で175ドル、同社の時価総額は約5500億ドルです。

 出典:Google Finance

 それに対して、世界時価総額ランキング2位のアップルの時価総額は約2.7兆ドル。4位のサウジ・アラムコは約2.0兆ドルの時価総額となっています。この2つの企業の時価総額を足し合わせると約4.7兆ドル。つまり、イーロン・マスクの考えでは、テスラの株価は将来、現在価格から8倍を超える上昇を見せる可能性があるということです。

 出典:https://companiesmarketcap.com/

 また最先端テクノジー企業を中心に投資するファンドを複数運営し、テスラにも巨額投資を行う資産運用会社Ark Investの予測モデルによれば、2027年にテスラの株価は1株あたり2000ドルになるとされています。これは現在株価175ドルの11倍に相当します。

 イーロン・マスク、またArk Investのテスラ株価予想については、電気自動車に対する世界需要が拡大を続け、先述したような複数の事業戦略をテスラがしっかりと実行できた場合にのみ達成可能ということが前提です。

 現在は、世界的な高金利と高価格な電気自動車に対する需要低迷の影響を受け、今年は販売台数の伸びが鈍化するのではないかと見られているテスラですが、イーロン・マスク自身が思い描くビジョンを確実に実行に移し、今後も業績拡大を続けることができれば、テスラの株価は大きく上昇する可能性は高いと思います。

 つまり、テスラ株が再び暴騰する日は、今回お伝えした複数の戦略上のマイルストーンをテスラが達成した時だということです。

文・じんべい

 日本企業でサラリーマンをしながら、 米国株式投資や太陽光発電投資で資産形成し、2023年3月にサイドFIRE。 株式投資では、S&P500を積立投資しながら、 個別株はテスラを中心としたEV銘柄に集中投資を実行中。YouTubeチャンネル『じんべい【テスラとNio】について語るチャンネル』登録者数:約1万3000人。 X(Twitter)フォロワー数:約7000人。平日毎朝、Xにて前日のテスラ株価情報を発信、また毎週末にはYouTubeでテスラ株価ニュースを配信中。

 じんべい【テスラとNio】について語るチャンネル

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