スペースXは、フロリダ州での「スターシップ」ロケット開発施設の大幅な拡張計画を発表しました。同社は、テキサス州スターベースでの試験飛行と開発を継続しながら、フロリダ州スペースコーストにおいても製造と打ち上げ能力を拡大していく方針です。
ロイター通信によると、イーロン・マスク氏率いるスペースXは、フロリダ州のスペースコーストに新たなスターシップの発射台と処理施設を建設するため、少なくとも18億ドル(約2700億円)を投資する計画であることが明らかになりました。この計画は、テキサス州を超えて同社がロケットプログラムを拡大する重要な一歩となります。
3月3日に発表されたスペースXの声明によれば、NASAケネディ宇宙センターのハンガーX施設の隣に「ギガベイ」と呼ばれる新しい統合施設を建設する予定です。この施設は高さ380フィート(約116メートル)で、約4650万立方フィート(約132万立方メートル)の内部処理スペースを提供します。
また、スペースXはケネディ宇宙センターの発射施設LC-39Aにスターシップ発射台を今年中に完成させる予定であり、環境影響評価が継続中である両施設からのスターシップ飛行運用の可能性を探っています。フロリダでの最初のスターシップ打ち上げは2025年後半を予定しています。
フロリダ州のロン・デサンティス知事はXへの投稿で、「スターシップの運用をフロリダに移す計画について、おめでとうございます」とコメント。さらに「スペースXを含む大手宇宙企業がフロリダ州に投資していることから、NASAはワシントンDCの高額な新本部を廃止し、フロリダへの移転も検討すべきです」と述べています。
スペースXは、この拡張により、人類初の完全再利用可能な打ち上げ機であるスターシップの製造と飛行率を大幅に増加させることが可能になるとしています。同社は「スターシップは最終的に数百万トンの貨物を火星に送り、人類を複数惑星種にするために、自給自足の都市を建設することになる」と、その長期的なビジョンを示しています。
フロリダでのギガベイ施設は2026年末までに完成・運用開始を予定しており、同時にテキサス州スターベースにも別のギガベイを建設中で、同じく2026年末の完成を目指しているとのことです。